外国人の公務員 ― 2007/11/03
> 日本国内で在日朝鮮人を公務員として採用した市町村はあるのでしょうか?>
現在は、かなりの地方自治体の職員採用で国籍条項が撤廃されています。 どれくらいの数かの資料は知りませんが、かなりの数になるでしょう。 10年以上前ですが、ある市では韓国・朝鮮・中国・ブラジル国籍の職員が10名ぐらいいるということを聞いたことがあります。
>あるとしたら、なにか弊害が起きているのでしょうか?例えば、公務員法に違反して、職務上知りえた情報を部外に漏洩したり等。>
それは聞いたことがありません。 なお外国人でも公務員ならば公務員法が適用されます。漏洩は処分されます。
>朝鮮総連の関係者が市役所に勤務したら、大きな問題だと思います。ましてや法務省入国管理局や公安調査庁などに配属されたりしたら、国益を大きく損なうでしょう。>
「大きな問題」について、詳しく論じていただけないでしょうか。 なお入管や公安は国家公務員ですので、国籍条項があります。日本国籍者でないと、職員になれません。従って朝鮮総連関係者でも、日本国籍ならばこういったところの職員になることが可能です。
>身近に日本人と同じ顔をした外国人が国の省庁で働いていると考えただけで、非常に気分が悪くなります。>
日本人とは違う顔の外国人なら、ご気分はどうなりますか。あるいは日本人とは違う顔の日本国籍者ならば、ご気分はどうなりますか。
韓国の法意識 ― 2007/11/10
07年4~5月頃の韓国で大きな話題になったことの一つに、財閥総帥による報復暴行事件があります。日本ではほとんど報じられませんでしたが、あらましは次の通りです。
韓国第9位の大財閥[ハンファ(韓華?)グループ]の会長の息子が、飲み屋のトラブルで喧嘩し、怪我をして帰宅。それを見た会長が激怒して、自社員や私設警護員ら30人を引き連れて報復。それも車で工事現場等に連れ出して暴行、また別の場所へ連れて行ってまた暴行と、これを3回繰り返すという執拗さ。 ついに犯行がバレて逮捕となった事件です。
事件の経過はともかく、韓国の朝鮮日報の社説でこの事件が取り上げられました。そのなかで次のような一文がありました。
>金が多ければ多いほど、権力が大きければ大きいほど“適法”よりは“適正”の基準を満たさなければならない。しかし今度の金会長の行動は、法的には不法であるだけでなく、常識では想像することはできない。>(5月11日付け、訳は辻本)
ここで注目してほしいのは「“適法”よりは“適正”の基準を満たさなければならない」という部分です。
「適法」かどうかは法律というかなり客観的な基準があるのですが、「適正」というのはある人には適正に見えても他の人には不適正と思われる可能性があるもので、主観的です。 しかしこの新聞の論調の前提には、主観の方を重要視し、逆に法律を軽視する考えがあるようです。
日本では法律を守ることが第一で、これが適正かどうかの決め手となるものです。少なくとも適法と適正とは矛盾しません。 ところが韓国では違います。「適法」と「適正」が矛盾した関係にあり、「適法」よりも「適正」を優先する考えなのです。
韓国の大手紙、しかも社説にありますから特殊な考えではなく、一般社会にも染み込んでいる法意識と思われます。
(参考論考) http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuuichidai の追記 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daiyonjuugodai の註5
韓国の法意識(続) ― 2007/11/17
韓国のインターネットのニュースで、財閥総帥の報復暴行事件について下記の記事がありました。(2007年5月) http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2007/0504/10025320.html
>金升淵(キム・スンヨン)ハンファグループ会長が大企業総帥としては初めて警察の調査を受けた。 息子を殴った遊興飲食店の従業員に対して報復暴行をした疑いだ。 この事件で金会長は「法よりも力で解決しようとした」という評価を受けている。 ジョインス風向計が2日、これに関連し世論調査を行った結果、回答者の半分以上(67.5%)が「韓国社会では法より力が通用する」という見方に「同意する」と答えた。 「同意しない」という回答は28.9%だった。 これは韓国社会が社会的地位によって法を偏向的に適用するという認識に基づくものと考えられる。 社会的地位が高い階層は法よりも権力(経済・力・人脈など)を通じて問題を解決する、という見解が多いということだ。 「同意する」という回答は、50歳代を除いた全年齢層、大学在学以上の高学歴層(76.1%)、事務職従事者(76.4%)、ソウル居住者(75.4%)・出身者(84.5%)、月所得250万-349万ウォン(81.8%)および350万ウォン以上(73.7%)の高所得層に多かった。 今回の調査の誤差限界は95%の信頼水準で±3.5ポイント。 >
この記事で注目されるのは、「韓国社会が社会的地位によって法を偏向的に適用するという認識‥‥社会的地位が高い階層は法よりも権力(経済・力・人脈など)を通じて問題を解決する」という部分です。 これは拙論 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuuichidai の追記で次のように論じたところと一致するものです。
>彼らには、人の行動を制約する法律やルール(以下「法」という)というのはお上が下々に対して課するもの、つまり支配のためのものであるという発想があるようです。だから支配される立場である下位の者ほどそれを守らねばならないが、逆に支配する立場の上位に昇ればそれだけ守る必要がなくなる、守らない程度の大きさがその人の社会的ステータスを表す、となっていきます。従って「法」を生真面目に守るのは低い地位の人間のすることだ、というような価値観になります。>
拙論ではさらに、これは古代アジア的価値観につながるものと論じました。この評価はさておき、韓国人と日本人の法意識・価値観の違いについては事実として認められるのではないか、と思います。
韓国ドラマにおける洗濯場面 ― 2007/11/23
ある韓国ドラマに、足踏みで洗濯する場面がありました。
古来朝鮮では、洗濯槌(パルレ パンマンイ)による叩き洗いで、足踏み洗いは植民地時代や戦後の韓国の民俗事象として全く報告されていないものです。 あまりに珍しいので、参考になるだろうと更に見ていくうちに、韓ドラに嵌ってしまいました。
それはともかく、ここ3ヶ月ほどの間に見た韓ドラのなかで、いくつかの洗濯場面が出てきました。
・一番多かったのは、手揉み洗いです。これには水道の蛇口の下でする場合と水を汲んだ盥でする場合の二通りがありました。
・手揉み洗いでも洗濯板を使う場合が多かったです。
・朝鮮古来の洗濯槌による叩き洗いは、都会のビルの屋上で行なっている場面がありました。しかし昔ながらの川での叩き洗いは見当たりませんでした。
・足踏み洗いは上述したものがありました。
ところで日本の洗濯の歴史を概説すると
‣中世戦国時代までは足踏み洗い、
‣江戸時代は盥で手揉み洗い、
‣幕末の居留地から西洋式の洗濯板が知られるようになり、
‣明治後半に洗濯石鹸が工業化されて安価に入手できるようになるとともに洗濯板による手揉み洗いが普及し、
‣戦後になると洗濯機が出現して、機械による洗濯が定着します。
韓ドラの洗濯風景は、日本の洗濯史を見るようで興味深いものです。
こういったことを考えながら見ていくうちに、韓ドラに嵌ってしまったという次第。
このような観点で韓ドラを見るのは、世界広しと言えども私ぐらいしかいないでしょうねえ。