重村智計さんが語る植民地史 ― 2008/03/26
重村さんは現代の朝鮮半島情勢専門家で、マスコミにもよく登場する方です。彼が歴史を語るのは珍しいのですが、昨年発刊された『今の韓国・北朝鮮」がわかる本』(三笠書房)に、次のような一節がありました。
>明治から昭和にかけての日本の指導者に、もっと歴史を見通す品格があれば、今の日本と韓国・北朝鮮の関係は良くなっていたはずだ。隣の国を植民地にするのは、教養も歴史観もない決定であった。さらに、その統治方法にも問題があった。帝国主義を非難された欧州諸国でさえ、隣国を植民地にしなかった。 この過去の日本人の失敗の責めを、現在の日本人は負わされている。この歴史の現実から、逃げないでほしい。それが、今の韓国と北朝鮮を理解する一歩なのだ。>(31頁)
この本は現在の韓国・北朝鮮情勢を解説するもので、成る程と感心するところが多いのですが、植民地時代に触れたこの部分だけには違和感を感じました。60年以上経った現在に至るも、この時代のことが政治・外交問題になるので、当時の日本人たちについ恨み事を言いたくなったのかも知れません。 詳しく論じられていないのが残念ですが、彼は日本は隣国を植民地にしたのが「失敗」で、欧州のように遠国を植民地にすればよかった、と言っておられるようです。逆に朝鮮にとっては、日本ではなく欧州の植民地になればよかった、とも言っておられるようです。 彼は歴史の専門家ではないので、これはおそらく誰かの受け売りだろうと思います。鋭い分析に基づく記述を進める重村氏にはちょっと似つかわしくない部分です。