通名登録制度を悪用した事件 ― 2013/11/02
外国人の通名登録制度を悪用する事件が発生しました。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/131101/stm13110121480007-n1.htm
外国人が日本で名乗る通称を悪用して携帯電話を不正売買したとして、埼玉県警組織犯罪対策課と大宮西署は1日、組織犯罪処罰法違反(隠匿)と詐欺容疑で、韓国籍の無職、文炳洙(ぶんへいしゅ)容疑者(通称・青山星心(しょうご))=別の同容疑で処分保留、さいたま市西区清河寺=を再逮捕した。通称を悪用した犯行を組織犯罪処罰法で立件するのは全国初という。 同課の調べでは、文容疑者は区役所で短期間に通称登録を何度も変更。新旧の通称を使い分け、平成22年10月以降、約160台のスマートフォンやタブレットなどの端末を購入、古物商へ転売したとみられる。 再逮捕容疑は8月7日、「青山星心」の通称で、さいたま市の家電量販店でスマートフォン2台を詐取。過去の通称だった「清永泰斗」を名乗り東京都内の古物商で転売し、約7万2千円を得たなどとしている。 同課によると、文容疑者は端末代を分割して月々の料金に上乗せする制度で端末を購入したが、支払いは一切せずそのまま転売。同課の調べに「料金を踏み倒す気はなかった」と犯意を否認する一方、売却で得た金は競馬などのギャンブルに使ったという。 頻繁に通称変更することを不審に思った区役所の届け出を受けて捜査したところ、犯行が発覚した。文容疑者は通称の違う複数の身分証を使い分け、売買を重ねていた。
今は外国人登録制度がなくなり在留カード制で、通名登録は住民票で行なうことになりました。これは近年の制度変更で、現在どのように運用されているかは勉強不足で分かりませんが、おそらく変わっていないのではないかと思われます。
外国人の登録通名の変更方法は、二種類あります。一つは婚姻等の身分行為に伴うもので、この届出をしておけば登録通名を変えることが出来ます。これは日本人が婚姻等によって戸籍名を変えるのと同じです。
もう一つは、任意に変える場合です。これをしようとしたら、その名前を使って生活してきたという疎明資料が必要です。かつては外国人登録の切り替え時(昔は最長3年ごと)に、その疎明資料をもって登録通名を変えることができました。
また切り替え時ではなくても、住所変更等を届出た際に疎明資料があれば通名を変えることができました。 いずれにしても、登録通名はいつでも自由に変えれるというものではありませんでした。
今回の事件は「区役所で短期間に通称登録を何度も変更」とありますから、疎明資料をどのように用意したのか、あるいは婚姻等の身分行為の届出などの方法を使ったのか、等々の手口に関心があります。
また「新旧の通称を使い分け」「通称の違う複数の身分証を使い分け」とありますので、もはや無効となったはずの旧の通名の記載のある公的証明書をいつまでも持ち続けてきたことになるのですが、そのようなことがどのようにして可能だったのか?にも関心があります。
悪意を持つ犯罪者は、法の抜け穴を見つけるものです。制度上は歯止めがあっても、彼らは簡単にすり抜けるんだなあ、と思いました。法の厳格な運用が求められていると思います。