日本から親韓派がいなくなる―『週間朝鮮』2014/02/16

 韓国の週刊誌『週刊朝鮮2293号』(2014年2月10日)に、JPニュース代表のユ・ジェスンさんという方の論考があります。韓国の記者が書く記事としては、ちょっと異例的なものなので紹介します。

‥‥昨年の年末に、日本の記者たちと忘年会をした。‥‥韓国語を忘れないために2~3ヶ月に一回は韓国に旅行するという朝日新聞の記者が酒に酔って心の内を滝のようにぶちまけた。      「‥‥一体これからどうしようというのか?安部首相も正気ではなく、朴槿恵大統領も決して一国の指導者らしくなく、言行が軽く、日本に不満があるなら日本に直接当たって言えばいいものを、何故外国にまで行って人のことを言うのか。 怒らせることもないのに。 今は失望して、これからはもうこれ以上私的に韓国を訪問することは絶対にしないぞ!」 他の記者たちの話も、これに似ていた。

最近いわゆる親韓派の日本人たちに会えば、昨今の韓日関係について切々と訴えたり、そうでなければ韓国特派員を経験した記者たちのように両国関係が ‘うんざりする’ という表現をしょっちゅう使う。 過去にはある問題で韓日両国が対立することがあれば、彼らは一部の右翼政治家の歴史認識の不足から来るものだといって、韓国の立場に立って話したりしていた。 実際に日本の記者たちは、記事やコラムの形で韓日関係の歴史について無知の日本人たちに理解を求めようとしたし、親韓派の外交官たちはどうすれば両国が仲良く関係を続けることができるか、お互いの情報交換はもちろん民間交流にも先頭に立って来た。     しかし今はこのような親韓派の日本人たちがほとんどいない。 会えば一様に韓国批判である。 このように今日本では親韓派・知韓派の元がなくなっているのである。

現在韓国人の立場から最も深刻なことは、これまでの数十年間、韓国と韓国人に対して愛情をもって交流してきた親韓派の日本人たちが背を向けていることだ。 それでも韓国言論の東京特派員たちは、彼らの切なる訴えなんかに目もくれてやらない。 彼らが背を向ける理由が、明らかに一定部分われわれにあるのだが、韓国の言論メディアのどこもこれに関心がない。

先週会った複数の韓国の特派員はこのように話した。 「本当に韓日関係は深刻だ。歴史問題では我が韓国が正しいのだが、李明博前大統領の独島訪問過程で出てきた国王(天皇のこと)謝罪要求発言は時と場所がそれだけに‥。 独島が我が土地だという事実だけを象徴的に見せてやれば十分だった。 結局藪をつついて蛇を出してしまった。 また朴大統領が海外訪問までして日本を批判するのは、第三者から見ても決して大人とは言えない姿だった。 外交というのは時にはリップサービスもしながら、国益のために押したり引いたりの駆け引きを最大限しなければならないのだが、そのようなこともせず、外国との首脳会談でただひたすら批判からはじめるのは、かえって相手国に意地悪しているという結果をもたらした。」

特派員は実際に記事としてこのような話を書くことが出来ないと訴える。 もしあるがままに書いたら、すぐに(韓国の)読者たちから袋叩きに合うからという。 特派員本来の姿勢に戻って日本に対する肯定的な記事を少しでも書けば、どんなに正しい内容であっても「売国」というカテゴリーに捕われて厳しい罵倒を受けるというのだ。 日本の右翼が怖いのではなく、韓国の読者たちがもっと怖いというのである。

それだけでなくソウルの本社デスクでも「扇情的」な記事だけを望むという。 そのために韓国の読者たちは、一部の特派員による(日本人の)妄言一辺倒のニュースだけに接するようになり、日本全体を見るのではなく、扇情的な一部日本人だけを見るほかない。 このような悪循環が現在も続いているのである。

このような一連の繰り返しは後日、どれほど多くの人的・物的な国益損失に繋がっているか、それについて深刻に考える人たちが現在誰もいないという事実が、まさに大韓民国の不幸だということができる。

 韓国人記者でも日本についてこのように冷静に書く人がいるんだなあという感想とともに、これを書いたユ・ジェスン記者、本国で「売国」「親日派」と批判されないか、ちょっと心配になります。