水野・文『在日朝鮮人』(15)―外国人の地位を求めた2016/07/25

朝連や建青が求めていたのは、敗北した日本国民とは区別される‘解放国民’、つまり外国人としての処遇だった。 ‥‥連合国民をはじめとする外国人に与えられていた特別配給(日本人の主食配給が一日2.7合に対して4号が支給された)も朝連や建青は、外国人としての立場から一貫してその適用を要求した。(108~109頁)

【註】 朝連とは「朝鮮人連盟」の略。終戦直後に結成された。北朝鮮を支持。後の朝鮮総連に繋がる。 建青とは「朝鮮建国促進青年同盟」の略で、朝連の共産主義化に反対して結成された。 後の民団に繋がる。両方を合わせて終戦直後の在日社会を代表する組織と言える。

1952年、一片の通達を通じて在日朝鮮人を一律に「外国人」としたが、在日朝鮮人側も自らを「外国人」として律していたわけである。(143頁)

 以上のように、在日朝鮮人は自分たちが「外国人」であることを望んでいたことが分かります。 そしてこれは本国政府の考え方でもありました。

在日朝鮮人の国籍問題は講和条約の発効(1952年)を控えて開かれた日韓予備会談でも議論されたが、韓国側は国籍の選択権よりも在日朝鮮人を一律に韓国国民として認定することを日本政府に迫った。(126頁)

 自分たちは解放されたんだ、もう日本人ではなくなったんだ、という気持ちは、在日すべてが共有し、本国政府も同じように考えていました。 日本政府は当事者の意向通りに、日本国籍を正式に喪失させたのでした。

【これまでの拙稿】

水野直樹・文京洙『在日朝鮮人』(1)―渡日した階層 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/06/8066021

水野・文『在日朝鮮人』(2)―渡航証明と強制連行 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/11/8069125

水野・文『在日朝鮮人』(3)―強制連行と強制送還  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/17/8072649

水野・文『在日朝鮮人』(4)―矛盾した施策 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/25/8077594

水野・文『在日朝鮮人』(5)―強制連行と逃走  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/29/8080041

水野・文『在日朝鮮人』(6)―渡航の要因 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/05/09/8086320

水野・文『在日朝鮮人』(7)―人口の急増 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/05/14/8089137

水野・文『在日朝鮮人』(8)―戦前の強制送還者数 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/05/19/8092119

水野・文『在日朝鮮人』(9)―ハングル投票  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/06/19/8115076

水野・文『在日朝鮮人』(10)―在日朝鮮人子弟の教育 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/06/22/8116734

水野・文『在日朝鮮人』(11)―尹東柱   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/06/26/8118773

水野・文『在日朝鮮人』(12)―財産を形成した在日 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/07/12/8129867

水野・文『在日朝鮮人』(13)―関東大震災への疑問 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/07/19/8134282

水野・文『在日朝鮮人』(14)―終戦直後の状況 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/07/22/8135824

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