水野・文『在日朝鮮人』(10)―来日した朝鮮人子弟の教育2016/06/22

38年に下関の学校が作成した資料は、全校児童の約20%を占める朝鮮人児童の性格を「無気力、不熱心、勉学心乏し、積極的気風を欠く」「剛情強い所があるかと思うと軽率、雷同的」「不道徳的行為を平気でやる」「虚言を何とも思わず、羞恥心に乏しい」など、あらゆる否定的な言辞で貶めた上で、それを矯正するには「日本人意識日本精神」を持たせ、「日本人の真の力を敬仰景慕せしめ日本児童たることを至高とし感謝する情念を養う」ことが必要であるとしている。(63~64頁)

 人権思想が普及した現在の目で見れば、確かにひどい言い方です。 しかし当時はこういう言い方で通用する時代だったということですね。 当時の朝鮮人の子供たちの状況が想像できます。 親に連れられて日本にやって来たが、日本語が分からないから学校の授業についていけず、学校は面白くなく、日本人の仲間はできず、言葉が通じる朝鮮人の子供同士が集まって悪さをする、そして親は仕事に忙しくて放ったらかし、という状況です。

 これは現在の日本の外国人子弟の教育問題と共通するものがあります。 同様の問題が80年前にも現出していたということになります。 そして学校や教師は当時の教育のやり方で対処するしかなかったということですね。

 なお植民地下朝鮮での朝鮮人の子供たちの就学率は段々と上昇しますが、それでも昭和10年代では男子40%、女子10%でした。日本人の100%近い就学率と大きな違いがあった時代です。

日本統治下朝鮮における教育論の矛盾   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/02/01/1156247

水野直樹・文京洙『在日朝鮮人』(1)―渡日した階層 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/06/8066021

水野・文『在日朝鮮人』(2)―渡航証明と強制連行 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/11/8069125

水野・文『在日朝鮮人』(3)―強制連行と強制送還  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/17/8072649

水野・文『在日朝鮮人』(4)―矛盾した施策 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/25/8077594

水野・文『在日朝鮮人』(5)―強制連行と逃走  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/29/8080041

水野・文『在日朝鮮人』(6)―渡航の要因 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/05/09/8086320

水野・文『在日朝鮮人』(7)―人口の急増 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/05/14/8089137

水野・文『在日朝鮮人』(8)―戦前の強制送還者数 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/05/19/8092119

水野・文『在日朝鮮人』(9)―ハングル投票  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/06/19/8115076

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