「百済」の珍説2006/05/24

  「百済」をなぜ「クダラ」と読むかについて、「大国」の意であるという俗説に対して、拙論http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuudai で、それは語呂合わせだと論じました。   最近、これに類似した珍説があるのを知りました。

「奈良そのものがナラ(━原文はハングル)からきたもので、朝鮮の南西にあった百済は日本語でクダラといった。これはあの国(クナラ━原文はハングル)のなまったものだ。」  八巻俊雄著 『ものと人間の文化史130 広告』(法政大学出版局 2006年2月)2頁

  ここではクダラは「あの国」の意であるという説が出てきています。これも単なる語呂合わせなのですが、色々な珍説・奇説が出てくるものだと感心します。   今回は「大国」説ほど信じる人はいないと思うので、悪影響はないでしょう。クダラナイ説の紹介でした。

コメント

_ prankster ― 2009/07/08 11:22

朝鮮語をちょっと学習した者です。
朝鮮語で「くに」を意味する「ナラ(Nara)」は訓民正音の頃の記述では「ナラッ(Narah)」でした。発音が時代を経ると単純化するという原則からして、現在の発音は語尾のhが脱落したものでしょう。
さらに遡る古代にも語尾にパッチムがあったはずですが、そうだとすると、日本語化するときに母音を補って発音されたはずです。仮にhだったとすると韓国語のh音が日本語のk音に転化することから「ナラカ」とか「ナラク」となったはずです。
金達寿説によると百済からの帰化人が朝廷の有力者を占めていて母国語で「ナラ」と呼んだそうですが、母国語ならばパッチムを無意識に脱落させるとは思えないし、それを聞いた日本人が語尾を脱落させるとも考えにくい。いずれにしても、 現代韓国語の「くに」が偶然「ナラ」と発音されることからのこじつけでしょうね。

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