「在日」の範囲とルーツを隠すこと2006/08/04

>帰化した人も「在日」です。 >帰化した人の子どもも「在日」です。 >日本人との間に生まれた、ダブルの子も「在日」です。 >ようするに、遡ると「法126」「法126の子」に行き付く人は全て「在日」です。>

 「在日」判定に、126系列の朝鮮人の血を受け継いでいるかどうか、という基準を設けるとは驚きですね。この血統の子孫は日本に住んでいてもいなくても、すべて「在日」ということになりますね。アメリカ人と結婚してアメリカに住んでいる人の子孫までも「在日」となります。帰化して日本人として生きてきた人には、あなたは本当は日本人でも韓国人でもない「在日」なんですよ、と言うのでしょうね。

 在日か否かの判定基準に、このような極端なことを持ってこられましても、当該の人の人権侵害にならないように判定してください、しかし周囲に喋らない方がいいですよ、としか言いようがありません。

>繰り返し申し上げますが、そのルーツを遡る時、自分を隠してしまわなければならない状況がある限りは、「在日」は存在し続けるのです。>

 ルーツが朝鮮でも、隠したい人は隠せばいいし、隠したくない人は言えばいいのです。  ルーツなるものを隠す、隠さないは本人の事情によるものであって、自由な選択の一つです。隠すほうがいい場合もあるし、隠さない方がいい場合もあります。周りの人はその選択を尊重すべきでしょう。  ルーツを隠すことが人格差別ということはあり得ません。在日でも本国人でも、ルーツが白丁の場合はほとんどすべて隠します。白丁を隠すな、それを誇りにせよと言っても、それは重大な人権侵害=差別発言になるでしょう。

在日の慣習と族譜2006/08/12

> 「帰化しても、その子孫も在日」と言うのは、例えば、帰化して日本人となった数世代後であっても、コリアンの慣習を引き継いでいれば、冠婚葬祭のおり等に、様々な慣習の違いが発覚してトラブルを起こすことが想像されますが、そういう意味で、いつまで経っても在日なのでしょう。>

 これはどうでしょうか。日本の場合、各家で宗教宗派が違うことが多いですが、一部の宗教を除いて冠婚葬祭でトラブルはないでしょう。日本の民俗的慣習ではその点は寛容です。

 在日は自分の民俗慣習を忘れているか知らない場合が多いです。親の葬儀ではどのようにしていいか分からず、葬儀屋の言われるままに執り行ったという話が多いものです。  有名な知識人の岩波新書の本のなかに、この体験が書かれてあります。民族的(=反日的)な言動を繰り返す人でも、肝心の葬祭ではこうなるのかと印象深いものでした。

 在日が冠婚葬祭でトラブルを起こすことは、某特定宗教に関係しない限りあり得ないでしょう。これは日本人と同様です。

> コリアンは何代も前の先祖の名前が言えるくらい家系図もしっかりしていると聞きます。その影響なのでしょう。是非はともかく、過去を重んじる民族だということがよく分かります。>

 これは族譜(チョッポ)と言います。内容はかなり難しいもので、ちょっと勉強しないと読めるものではありません。それにすべて漢字で書かれていますので、漢字を理解できない本国人にはどうでしょうか。在日では本国の親族と関係を保っている家では族譜はありますが、今はもう三・四世の時代で関係が切れていることが非常に多く、持っていないのが普通です。  コリアンが過去を重んじるというのは、対日本の関係の歴史(民族的優位に立とうとする歴史)ではその通りですが、自分と直接関係するところになると極めて疑問です。

>これは族譜(チョッポ)と言います。‥‥すべて漢字で書かれていますので、漢字を理解できない本国人にはどうでしょうか。>

 この拙文で「すべて漢字で書かれている」という部分は間違いでした。最近の族譜には名前(漢字名)にハングルが振られているものが登場しています。なお他はすべて漢字です。

 ところで韓国人と結婚した場合、族譜にどのように記載されるか、よく分からなかったのですが、三谷憲正さんが『オンドルと畳の国』(思文閣出版 2003)30頁に自分の実例を報告しているのを見つけました。彼は「高憲正」という朝鮮風の名前を付けられ、「済州人」とされています。

 日本人であることを奥さんの一族から否定されたのですが、彼は別に抗議するわけでもなく淡々と書いています。朝鮮における歴史資料捏造の例を報告した、ということでしょうかね。

在日の帰化2006/08/18

> 在日コリアンの子孫の方々が、「特別永住資格」で持って未来永劫に日本に住み続けるのは不合理だと考えます。未来永劫に日本に住み続けたいのならば、帰化して日本国籍を取得すべきでしょう。>

 「特別永住資格」は法律(平成3年5月10日付け法律第71号)で定められています。その内容は、この資格が臨時のものとはされておらず、在日の問題を法律上最終的に解決するものと位置付けられています。つまり未来永劫は極端ですが、非常に長期にわたって有効となるものです。  これを不合理と考えても、現実はそのように動きます。

 在日の将来はどうなるかについては、この法律の成立に努力した坂中英徳さん(元東京入管局長)の『在日韓国・朝鮮人政策論の展開』(加除出版)という本が参考になります。彼は、在日が21世紀半ばまでには消滅するだろうという見通しを語っています。

 つまり在日は帰化すべきだというようなことを言わなくても、在日の方から自然消滅していくということです。彼の見通しが正しいかどうかは、これからの推移を見守るしかありませんが、在日を担当する権力側の責任者の言ですから、その中身は重いものです。特別永住資格はこのような見通しのもとに成立したのです。

 私は、在日は帰化すべきだと言っても仕方ないと思っています。ただ、いつのまにか消滅しているというような没主体的というか恥ずべきことにならないよう願うのみです。

>多くの日本人は、帰化不許可となった特別永住者や帰化申請していない特別永住者に対して良いイメージを持てないのではないでしょうか。そうだとしたら、特別永住者の立場は年々悪化すると私は推測します。> > あと二十年もしたら突然、特別永住者の社会的な立場が急激に悪く成ると私は推測します。二十年後、特別永住者一世の一番若い人は80歳です。> >帰化しても差別されるなら帰化しないほうが良い、と考えるのか、積極的に帰化を考えるのかは、現在のところ様々であるように私には見えます。>

 国籍法第五条に帰化の要件として下記の6項目が挙げられています。

1、引き続き5年以上日本に住所を有すること

2、20歳以上で本国法によって能力を有すること

3、素行が善良であること

4、独立の生計を営むに足る資産または技能があること

5、国籍を有せず、または日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

6、(略)日本政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、もしくはその団体を結成したり加入したことがないこと

 在日の帰化において、問題となるのは3と4です。

 3では、ヤクザ、犯罪者、闇金や風俗のような違法状態の職業にある者、違反を繰り返す者等々は素行善良とは言いがたく、帰化は困難です。

 4では、生活保護を受けている者、何で生活費を稼いでいるか不明の者、税務申告していない者等々は帰化が困難です。

 以上の場合は、帰化したくても帰化できない人たちとなります。別に言えば帰化できない人生を自ら選択した人たちです。

 他に要件をクリアして帰化できるのに、あえて帰化しない人も多くいます。帰化者に対する嫌悪感は、今なお在日社会にあります。帰化を拒否する人は、上述の帰化できない人とは帰化していないという状況が一致しますので区別は難しくなります。

>特別永住者の立場は年々悪化すると私は推測します。あと二十年もしたら突然、特別永住者の社会的な立場が急激に悪く成ると私は推測します。>とおっしゃる見通しは、可能性が十分にあります。

帰化と戸籍について2006/08/26

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/05/?offset=10 に関連して、質問と回答です。

>彼の場合、親の同意も得て申請をしたのですが結果はNG。理由が「三親等以内の親戚で前科者がいるから」でした。彼も驚いていました。ムショ送りがいたなんて!!> >三親等って結構厳しいですねー。外国では当たり前のことなんでしょうかね?帰化するのは本人1人なのだから…とは言っても犯罪者の親族を簡単に日本人にするわけにはいかんという心情的な所も分からないではありませんが。>

ご紹介されました事例http://korean3rd.seesaa.net/article/1663014.html の前提には >彼は高校卒業時、就職を機に帰化しようとしました。>とありますから、未成年です。彼本人だけでの帰化は困難で、家族全員での帰化申請と思われます。その家族に犯罪者がいれば、帰化はできないでしょう。なお犯罪者でも罪を償ってから5年以上何事もなく過ごせば、申請は可能なようです。

> とはいっても彼が一生帰化できないかといえばそうではなくて、日本人と結婚して子供を産めば帰化はできるようになるそうです。結婚が帰化における最強のカードのようですね。>

 帰化の要件は前に記した通りですから、結婚が最強のカードとはなりません。素行不良者はどんなことがあっても困難でしょう。

  > <帰化すると戸籍に三代まで> とのことですが、戸籍に前の世代が書かれて無ければ、結果的に <「元朝鮮人」とか「新日本人」> と書かれたのと同じことではないでしょうか。> > 因みに、例えば、日本人が新しい戸籍を作っても、専門家には過去が分かると聞いています。>

 おそらく明治の初めの壬申戸籍作成時に、エタ・非人身分だった人たちが「新平民」と書かれた史実から連想されたデマと思われます。「元朝鮮人」「新日本人」という記載はあり得ません。  戸籍は出生・婚姻・養子・死亡、および身分関係、国籍の有無を証明するものです。別に言えば当人の過去と現在を証明するものです。その範囲での過去なら、専門家でなくても分かります。

>当人の過去が戸籍で証明される、とのことですが、戸籍に親である外国人の外国名と、其の外国名の親との身分関係、例えば「金大中の長男」というように親の本名と関係が書かれるのでしょうか。> >戸籍を見れば素人でも、戸籍の主が帰化者一世または帰化者二世であることが分かる、ということでしょうか。帰化前の国籍も戸籍から分かるのでしょうか。>

 戸籍の父母欄には実名が、そして父母欄の下欄に長男か二男か等の関係が記載されます。  事項欄に帰化および帰化届出の年月日、原国籍、従前の氏名が記載されます。

> 新戸籍を編成すると、その戸籍だけでは親のことなどが分からない、ということですね。>

 戸籍の父母欄には、出生時の父母の実名が記載されます。

> ということは、就職面接のときなどに親のことを尋ねられる可能性が大きいのではないでしょうか。そして、正直に答えれば、後日、不採用の通知などが来る可能性が有るのではないでしょうか。>

 1980年までには、就職時に戸籍を提出することあるいは採用側が戸籍を取り寄せることは禁じられております。また1970年代に母子家庭を排除するという就職差別が暴露されて社会問題になってから、親のことを尋ねることも禁じられております。

> 嘘を言って入社とか結婚とかすれば、嘘がばれるのではないかと心配で落ち着かないでしょう。>

 嘘の内容の重大性によりますが、採用取り消しや婚姻解消の正当な理由になります。

>結局、帰化事項が戸籍から消えても、相手にとって重要な場面では、帰化事項が消えない場合と違いが無いと思いますが、如何でしょうか。>

 「相手にとって重要な場面」という仮定ですが、およそ理解できない想定ですので、答えられません。