社会的低位者の差別発言2020/05/09

 『毎日新聞』2020年5月7日付けの「コロナショック 相次ぐ偏見、非難、中傷--『感染差別』との闘い続く」と題する記事を読む。

https://mainichi.jp/articles/20200507/dde/012/040/015000c

 この記事の最後のところで、社会学者の明戸隆浩さんが次のように発言している部分に、確かにそうだなあと同感しました。

一般に、収入が減ったり、仕事を失ったりして余裕がなくなると排外主義が強まる傾向がある。

 これは別に言い換えますと、社会的地位の低い人が「排外主義」になり、差別発言も激しくなる傾向が強いということです。 これによく似た発言をした人が金時鐘さんです。かなり以前ですが、彼は地方新聞紙上で次のようなことを言っています。

(差別の)本当にひどさは、そのことで(被差別者)が自分を省みる内省力がなくなっちゃうことなんだね。‥‥ エゴイズムは差別するものだけでなく受ける側にもある。 むしろその度し難さは受ける側にこそあるというのが私の持論だが、こんなことは随分見てきているし、よく知っている。

 どこの新聞か忘れましたが、この発言だけは記録に留めたものです。 「被差別者」とは金さんの場合、在日朝鮮人や部落民らをはじめとする社会的地位の低い者を指しています。 こういった地位の低い人たちがどれほどエゲツない発言をするのか、彼は体験していたのでした。

 これは私の体験でも一致します。 若い時に数ヶ月ほどでしたが同和企業でアルバイトしたことがありました。 そこではいわゆる被差別民も働いていましたが、彼らの差別発言がどれほど激しく日常的だったか。 差別発言は被差別者ならば許容されるのだろうか?などと、当時は思ったものでした。

 今も鮮明に覚えている発言は、当時ベトナムの結合双生児「ベトちゃんドクちゃん」がテレビで放映されていました。 それを見て「あんなの、治すなんてせずに早く殺したらええねん」と言い、周囲の人たちがそれに賛同したことでした。

 その後も社会的底辺にある人ほど、エゲツない差別発言というか、人間の本音を遠慮なくそのまま出すものだということを知りました。 「品」という言葉を使うなら、荒々しく粗野な発言は「下品」な場所で発せられるということになりましょうか。 低学歴で社会的地位の低い人たちは文章を書くこと自体が苦手という場合が非常に多く、だから彼らは口で勝負しようとするのか、荒々しく粗野な発言となるわけです。 ただしこれはそういう傾向が強いということで、みんながそういうわけではありません。 

 ところでインターネット上で排外主義・レイシズムの匿名投稿がよく見かけますが、この投稿者は、高学歴で社会的地位の結構ある人の割合が高いそうです。 考えてみればその通りで、彼らの多くは誤字・脱字せず句読点などの間違いもなく、そしてそれなりの筋が通るように書けます。 そういった人が匿名となると「下品」な場所に下りてきて、あのような排外主義・レイシズムの投稿をするのですねえ。 

 毎日新聞で明戸隆浩さんの発言を読んで、昔のこと思い出しながら書いてみた次第。 取りとめのない文章になりました。

コメント

_ 海苔訓六 ― 2024/01/17 11:27

自分も最近趣味で被差別部落見学するようになりましたが、二回、地元の被差別部落民に恫喝されました。
一人は男性、一人は女性でしたが「てめぇ!そんなことしてると刺されるぞ!」というような言葉遣いでした。男性がそういう言葉遣いするのはこちらのブログ記事で被差別部落民の「言葉の汚さ」という説明を読んでいたので予想していたから、まあそんなもんだろう程度に思いましたが、女性も声にドスをきかせて「おい、てめぇ!このやろう!そんなことしてると刺されるぞ!」と恫喝してきたので、女性もそういう言葉遣いするんだ!とちょっと驚きましたね。

_ 辻本 ― 2024/01/17 17:46

 被差別部落の見学ですか。
 部落解放運動は、差別の現実を知れ、と社会に要求しながら、実際に部落の見学はさせないようにしています。
 同和対策事業に15兆円もの公費を投入したのですから、事業の成果がどうなっているのか見学するのは納税者の権利だと思うのですが、解放運動は拒否しますねえ。
 ですから同和地区一覧表などの資料の公開は差別であり人権侵害であるとして裁判まで起こすのですが、裁判では解放運動側の主張が認められています。
 実際に行ってみたら、これでは差別されても仕方ないと思われるだろう、ということなのでしょうねえ。

 映画「福田村事件」では、被害者の薬行商の人たちが被差別部落出身であることが強調されていたので、実際にその部落を見学に行った人がいたようです。
 これを解放同盟は問題視し、映画監督らと話し合い・確認をしたという話を聞きましたねえ。
 映画製作に解放同盟は協力していたはずなのですが。

_ 海苔訓六 ― 2024/01/24 17:54

部落解放同盟側の反論としては「納税者であろうが、プライバシー権の侵害は認められていないから、同和事業の成果を確かめる云々の権利の話は別儀。見学といっても勝手に地域内をウロウロされれば、単なる不審者だと捉える。そんな不審者がいる状況では、安寧な生活は送れない。そこは法律に守られている」とのことです。
確かにそういう主張も一理あると思います。

_ 辻本 ― 2024/01/25 08:05

 部落差別や解放運動の歴史を教えられ、部落問題に関心を持つように啓発されれば、部落ってどんな所か?と思うのは自然なことです。
 そして部落問題に関心を持って行ってみると、“ああ、ここが部落なのか”と一般地区との違いを発見することになるでしょう。
 逆に部落問題に関心がなければ、“何だ、うちの住んでいる所と変わらない”と思うことにもなるでしょう。
 そもそも“行くな”と言われたら、だったら部落問題を教えるな、と私なら反論しますねえ。

 なお住民のプライバシーを配慮しながら見学するというのは、同和地区に限らずすべての地区・地域-たとえ観光地であっても行なわねばならない常識です。

_ 海苔訓六 ― 2024/01/26 08:04

同和対策事業に15兆円使われてきたことに対しては
「各地方自治体では使用した費用を翌年に繰越して一般財源として使用できるようにして、債務にならないように制度化してあった。だから、一般公共事業に使用されたから15兆円になってるというだけの話。この15兆円は殆ど道路や公共施設に使用され、債務にならないから行政も有難く利用していたので特に問題はなくお互い様」とのことだそうです。
こういう反論も一理あると思いました。

_ 辻本 ― 2024/01/26 09:11

同和対策事業の財源は、国庫補助8割、道府県と市町村は各1割ずつです。
事業を担当するのは市町村ですから、市町村では1割の負担だけでした。
だから「行政も有難く利用していた」のです。
いずれにしろ、原資は国民からの税金です。
なお道路や公共施設の建設などに使われたのですが、その用地買収に解放運動幹部が介入し、高値で買わされたというのは有名な話です。
また同和事業には必ず地元同和企業が介入せねばならず、そのおかげで同和企業はかなりの利益を上げていましたねえ。

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