韓国の兵役免除の根拠は?2012/08/26

 先のロンドンオリンピックのサッカーで、韓国の朴鍾佑選手が試合後に「独島は我々の土地」と書かれたプラカードを持って回ったため、銅メダルを貰えなかったことと関連して、韓国の兵役免除が話題になりました。

 韓国ではオリンピックで銅メダル以上、アジア大会では金メダルをとった者には、兵役が免除されます。兵役法という法律にあるとのことです。

 そこで韓国の兵役法を調べてみたのですが、どうも分かりません。 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1747/heieki.html

 第64条(第1国民役の兵役免除等)①地方兵務庁長は、第1国民役であって第1号(身体等位行き6級に該当する者に限る。)から第3号の1に該当する者に対しては、願いにより徴兵検査をせずに兵役を免除することができ、第1号に該当する者中から身体等位が5級に該当する者及び第4号に該当する者は、願いにより徴兵検査をせずに第2国民役に編入することができる。<改正99・2・5法5757>

 1.全身畸形者等外観上明白な障害者

 2.国外で家族と共に永住権を得た者(条件付き永住権を得た者を除く。以下同じである。)又は永住権制度がない国で無期限滞留資格を得た者

 3.軍事分界線北側地域から移住してきた者

 4.第65条第1項第3号の事由に該当する者

 このなかの4の「第65条第1項第3号」とは、次の通りです。

 3.受刑・高齢等大統領令が定める事由によりその兵役に適合しないと認められる者

 以上により、兵役法ではオリンピックで金メダルをとった者は兵役の免除となる、という規定がないのです。

 なお第64条にある「第1国民役であって第1号(身体等位行き6級に該当する者に限る。)から第3号の1に該当する者」とは次のことです。

 第8条(第1国民役への編入)①大韓民国国民の男子は、18才から第1国民役に編入される。

 第9条(第1国民役編入者の調査)①行政自治部長官は、毎年18才になる男子に対して第1国民役編入者の調査に必要な住民登録電算資料を兵務庁長に通報しなければならない。<改正99・2・5法5757>

 ②第1項の規定による電算資料通報の範囲及び手続等に関して必要な事項及び第1国民役編入者であって国外出生等の事由により住民登録されていない者の調査等に関して必要な事項は、大統領令で定める。<改正99・2・5法5757>

 ③第1項の規定による第1国民役編入者の調査に関して必要な事項は、兵務庁長が定める。<改正97・1・13>

 ここでもオリンピックのメダリストは関係ありません。

 なお、第60条で徴兵検査や召集を延期できる者のなかに「国威宣揚のための体育分野優秀者」が入っていますので、あるいはこのことなのかも知れません。しかしこれは、兵役の延期であって、兵役免除ではありません。  参考までにスポーツ選手の兵役延期について、兵営法施行令第124条のに次のような条項があります。

http://www.cyberspacei.com/jesusi/focus/co/mil/millaw3.htm

제124조의2 (체육선수의 입영등 연기)① 법 제60조제2항제3호의 규정에 의하여 입영등을 연기받을 수 있는 사람은 다음 각호와 같다. 1. 경기단체에 선수로 등록된 사람으로서 대한체육회장이 추천한 국가대표선수 2. 국민체육진흥법시행령 제2조제2호의 규정에 의한 우수선수중 국내 전국대회에서 한국신기록을 수립한 선수 또는 국위선양에 현저한 공이 있는 선수로서 문화관광부장관이 추천한 사람

 第124条の2(体育選手の入営延期) ①法第60条第2項第3号の規定によって、入営等の延期を受けることのできる者は、次の各号の通りである。  1、競技団体で選手に登録された者として、大韓体育会長が推薦した国家代表選手  2、国民体育振興法施行令第2条第2号の規定による優秀な選手のなかで、国内全国大会で韓国新記録を樹立した選手または国威宣揚に顕著な功績がある選手として文化観光部長官が推薦する者

 これは兵役の延期ですから、免除ではありませんので、直接には関係ないでしょう。

 オリンピックのメダリストの兵役免除の根拠法について、ご存じの方がおられればお教えください。

コメント

_ 小川 ― 2012/08/28 05:58

韓国文化体育部長官の以下のコメントがあります。

「文化体育部チェ・グァンシク長官“パク・ジョンウ、
I OC決定関係なく兵役特典与える”」

チェ長官はまた“兵役特例が現在の兵役法26条にその内容がオリンピック大会で3位以上なら兵役特例を与えている”として“ここはメダルに関する話ではない。 サッカーが3位入賞をしたので多分兵務庁で肯定的に解釈するだろうと考えている”と話した。

http://www.kjclub.com/jp/exchange/theme/read.php?tname=exc_board_65&uid=190680&fid=190680&thread=1000000&idx=1&page=1&number=114718

兵役法26条は
第26条(公益勤務要員の業務及び召集対象)①公益勤務要員は、次の各号の業務に服務させなければならない。<改正97・1・13、99・2・5法5757>

 1.国家機関・地方自治体・公共団体及び社会福祉施設の公益目的に必要な警備・監視・保護・奉仕又は行政業務等の支援業務

 2.削除<99・2・5法5757>

 3.文化暢達及び国威宣揚のための芸術・体育分野

②第1項第1号の規定による業務に服務しなければならない公益勤務要員は、補充役に対し、第1項第3号の規定による分野として服務しなければならない公益勤務要員は、補充役又は現役兵入営対象者中大統領令が定める芸術・体育分野の特技を有する者であって文化観光部長官が推薦した者に対してそれぞれ召集する。<改正99・2・5法5757>

③第1項第1号の規定により社会福祉施設の奉仕業務に服務しなければならない公益勤務要員は、地方兵務庁長が選抜し、選抜の基準及び手続等に関して必要な事項は、兵務庁長が定める。<新設99・2・5法5757>

④第2項に該当する現役兵入営対象者は、補充役に編入する。

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1747/heieki.html

とあります。兵役法施行令第47条2項によると、オリンピックで3位以上の入賞者とアジア大会で1位 の入賞者は公益 ....

というところまで行きつきましたが、韓国語を知りませんので最終確認はできませんでした。

兵役法施行令?↓

http://www.cyberspacei.com/jesusi/focus/co/mil/millaw3.htm

つまり、兵役免除ではなく、貢献したスポーツ分野でさらに活躍することが「公益勤務要員」ということでしょうか。

間違っていたらすみません。

_ 辻本 ― 2012/08/28 20:15

>兵役法施行令第47条2項によると

 第49条①の4、5ですね。

제49조 (예술 · 체육요원의 공익근무요원추천등)
① 법 제26조제2항의 규정에서 "대통령령이 정하는 예술 · 체육분야의 특기를 가진 사람"이라 함은 다음 각호의 1에 해당하는 사람을 말한다. <개정 99.12.31>
‥‥
4. 올림픽대회에서 3위이상으로 입상한 사람(단체경기종목은 실제로 출전한 선수에 한한다)
5. 아시아경기대회에서 1위로 입상한 사람(단체경기종목은 실제로 출전한 선수에 한한다)

 第49条(芸術・体育要員の公益勤務要員の推薦など)
①法第26条第2項の規定で“大統領令が定める芸術・体育分野の特技を持った人”というのは、次の各号1にの該当する人をいう。<改定99.12.31>
‥‥
4、オリンピック大会で3位以上で入賞した人(団体競技種目は実際に出場した選手に限る)
5、アジア競技大会で1位に入賞した人(団体競技種目は実際に出場した選手に限る)

 この項目は見落としていました。ご指摘ありがとうございました。

 やはり兵役免除ではないようですねえ。
 ところで、今回の朴鍾佑選手、銅メダルは授与されなかったのですが、兵役の公益勤務要員になるのでかねえ。法を厳密に解釈すると、難しいように思えるのですが。

_ 小川 ― 2012/08/28 22:01

私のコメントの間違いの指摘と修正ありがとうございました。
長年、日本の法律の下の執行官としての経歴はありますので勘所は心得ていると思っているのですが、外国語や外国文化について詳しくありませんのでご容赦ください。

>ところで、今回の朴鍾佑選手、銅メダルは授与されなかったのですが、兵役の公益勤務要員になるのでかねえ。法を厳密に解釈すると、難しいように思えるのですが。 <

=韓国が国家として、メダリストをどう扱おうが日本人の関与するところではありません。しかし、韓国が国を挙げて歴史のねつ造を行っていて捏造教育の下であらゆる行動の理念が決められていることに注目しなくてはならないと思っています。
この問題(朝鮮人の対日本戦略)に関して、日本人・日本政府の考え方や対処の仕方はあまりにも貧弱だと思っています。日本人的な寛容さは世界では通用しないと思っているし、意志を明確に表さないのはかえって相手にとって失礼なこととも思います。
「この線を越えたら許さんぞ」という意思を表すことも時には必要だと思っています。
そういう外交的な制裁も必要だと思います。
制裁をするならば自国の損失も当然覚悟すべきです。

話を元に戻しますが、芸能や文化交流など政治的対立とは区別すべきという意見もありますが、人間は感情的動物なので100%そういう考え方で物事は動きません。しかし、芸能人やスポーツマンを政治的対立軸で身動きができない状況にしている国家はとても民主主義国家とは言えないと思います。

_ 大山田 ― 2012/09/14 10:29

軍の宣伝部的なところに配属されるならいざ知らず、国が兵役を免除してしまうことは、兵役を懲役扱いしてるように思うんですが。
なんとも奇妙な国であります。

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