嫌韓派の論者たち2017/10/19

 嫌韓雑誌や嫌韓本が売れているようです。 かつては私も購入していましたが、ここ数年は全く購入していません。 なぜなら、内容が以前と変わりなく面白くないからです。 買うのが勿体ないし、といって話題になっているのに全く知らないというのも何ですので、もっぱら立ち読みです。 このごろは机と椅子を置いてくれている本屋が多くなっているので、立ち読みではなく座り読みですね。これで十分です。

 ケント・ギルバードの『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』。 40万部も売れているそうです。 私も儒教についてはそう詳しくないので偉そうなことは言えませんが、この人の場合は儒教の知識が全くないと言っていいと思います。 古代中国の孔子・孟子、中世の朱子学と陽明学の違い、日本近代に儒教が及ぼした影響(教育勅語など)等々の知識ぐらいはあると思っていたのですがねえ。 保守とか右派論客と呼ばれる人たちの文章をざっと読んで書いた感想文に「儒教」という言葉を挟み込んだだけの本みたいでした。 こんな本がたくさん売れているのですから、むしろどんな人がこれをわざわざ買って読むのかの方に関心が行きます。 そうだ!その通りだ!と溜飲を下げながら読むのでしょうかねえ。 

 呉善花も嫌韓雑誌の常連です。直接投稿だけでなく対談もするし、他の嫌韓論者の文章の中にも彼女の名前が出てきますから、かなり影響力を持っています。 彼女の初期の著作である『スカートの風』は体験に基づくものでしたから面白かったですが、近頃の文章は嫌韓ブームに乗っているだけのように見えます。 自分の考えについて検証・裏付け・確認の作業をしているとは思えないからです。

 例えば、彼女は『漢字廃止で韓国に何が起きたか』という本を10年ほど前に出しています。 この本で彼女は、韓国は漢字廃止によって知的荒廃をもたらしたと論じました。 この「韓国の知的荒廃」論が影響力を持ち、あちこちで引用されてきたし、今も彼女の名前を挙げてこれを論じる人もいます。 しかし彼女はこれについて事実かどうか、何の検証もしていません。 ただ自分がそのように思っているというだけの印象論に過ぎません。 大学教授ですから一応研究者なのですが、なぜ研究の基本である検証作業をしないのか、不思議です。 古田博司は、そんなことは漢字があった李朝時代から続いているという異論をどこかで唱えていましたねえ。 しかし、そんな彼女に多くのファンができて、全国の講演でかなりの人を集めるというのですから、これはこれで興味ある現象です。

 結局、ケントも呉も嫌韓の民衆を喜ばせる講釈師の役割をしていると考えます。 なおこれはこの二人に限ったことではなく、嫌韓論者の全般に言えることではないかと常々思っています。

【拙稿参照】

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(1)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/01/10/7183064

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(2)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/01/12/7190236

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(3)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/01/15/7193473

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(4)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/01/19/7197589

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(5)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/01/22/7200651

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(6)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/01/27/7205232

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(7)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/01/31/7208311

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(8)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/02/02/7210006

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(9) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/02/05/7213236

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(10) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/02/08/7216206

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(11) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/02/10/7218555

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(12) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/03/09/7240684

コメント

_ (未記入) ― 2017/10/19 22:05

>講釈師の役割をしている

 こんな諺を知っていて書いたのでは?

 「講釈師、見てきたような嘘をいい」

_ 邯鄲 ― 2017/10/20 22:43

特亜の考え方に.儒教という名前が着いたのですよ.

日本は儒教じゃない,それが儒教だ,やっぱり儒教だ,という具合に.

_ 河太郎 ― 2017/10/21 22:56

>ケント・ギルバードの『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』。 40万部も売れているそうです。 

私もその一人ですが、内容には全くと言っていいほど違和感は感じませんでした。

>この人の場合は儒教の知識が全くないと言っていいと思います。 古代中国の孔子・孟子、中世の朱子学と陽明学の違い、日本近代に儒教が及ぼした影響(教育勅語など)等々の知識ぐらいはあると思っていたのですがねえ。 

私も、高校で習った、孔子は道徳論、孟子は性善説、荀子は性悪説、朱子学は名分論、陽明学は知行合一ていどの違いしか分からないので彼の所論に違和感ないのでしょうかね。ぜひ中国専門家のこの本の批評を聞きたいものですね。


>保守とか右派論客と呼ばれる人たちの文章をざっと読んで書いた感想文に「儒教」という言葉を挟み込んだだけの本みたいでした。 

何の分野であれ、そして政治の右派や左派でも、専門家や本格的論者がいて、その周辺に伴走者追随者解説者がいる構造は同じでしょう。

『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』は幾つかのキーワードを選び、そのことの例証として実際に中国韓国で起こった事象をあげているので説得力はありますね。

彼のあげたキーワード、「私益第一、公益も私益に利する範囲で考慮」「嘘」「華夷秩序」「小中華」「日本をとにかく下位に置きたい一心」などは中国韓国の分析としては外せない視点でしょう。

>こんな本がたくさん売れているのですから、むしろどんな人がこれをわざわざ買って読むのかの方に関心が行きます。 そうだ!その通りだ!と溜飲を下げながら読むのでしょうかねえ。 

読書すれば「共感」「異論」「疑問」がおこるのはむしろ当然でしょう。「共感」には「溜飲を下げる」も入るでしょうね。

中国韓国については殆ど知らなかった時の私が読めば、目からウロコ、と感動したでしょうね。
今では私が到達した結論と彼の結論は殆ど同じですが。

>結局、ケントも呉も嫌韓の民衆を喜ばせる講釈師の役割をしていると考えます。 

しかしベストセラー作家や人気講師等をそう決めつけては身も蓋もない話ですね。

>なおこれはこの二人に限ったことではなく、嫌韓論者の全般に言えることではないかと常々思っています。

同感です。そして岩波書店や朝日新聞などの常連の論者にも言えるでしょうね。

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