漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(8)2014/02/02

 呉善花さんは漢字の復活を主張しています。 しかし漢字のないハングルだけの文に馴染んでしまった韓国人には、もはや困難でしょう。漢字を見ただけで拒否反応を起こす韓国人が多いものです。 学校で漢字教育を復活させようとする動きもあるようですが、ハングル絶対主義者の方が強いと聞きます。

 呉さんは韓国語にも日本語のような漢字の訓読みを導入しようと提案しています (呉善花『漢字廃止で韓国は何が起きたか』PHP 2008年10月 84~92頁)。 その提案が現状の韓国社会で現実的なのかどうか、疑問です。 それが素晴らしい提案であっても、呉さんは民族の裏切り者扱いされていますので、韓国では聞く人はほとんどいないだろうと思われるからです。

 漢字復活を願うなら、私の考えでは以前のような「漢字ハングル混じり文」にして、漢字の部分に「ハングルで振り仮名」するのはどうだろうかと、いつも思っています。 韓国では1980年代までは漢字ハングル混じりの新聞・雑誌が発行されていましたので、これに馴染んでいた世代が残っています。 この世代は漢字をハングル読みしながら理解していました。 また今の世代では漢字は読めなくても、こちらが漢字をハングルで読んで聞かせてやると理解できます。 つまり漢字は目で理解できないが、耳では理解できるのです。 とすると漢字に「ハングル振り仮名」すれば、この漢字は目で読んで理解できることになります。

 振り仮名機能は日本語ワードソフトにありますので、これを使えば「ハングル振り仮名」は可能です。 ただし日本語用のソフトにハングルを打ち込むことになりますから、ちょっと扱いにくいところがあります。 漢字語はハングルで打って漢字に変換した後、振り仮名機能で再度ハングルを打ち込むのですが、この作業が煩わしい。もっと簡単に漢字変換できて、同時にその漢字の振り仮名がハングルで表記されるような機能があればいいのだが‥‥と思います。 それはともかく、「ハングル振り仮名」は今のワードでも作成可能です。

 「ハングル振り仮名」があれば、韓国人は漢字の知識がなくても読めますしまた漢字にも馴染めるでしょう。 呉さんのように漢字に訓読みをしたければ、そのような「ハングル振り仮名」をつければいいように思われます。 一方で韓国語を学ぶ日本人は、ハングルで表記された漢字語を元の漢字に変えながら読みます。 だから漢字語は漢字で表記してそれに「ハングル振り仮名」を付ければ、日本人には漢字を読んで理解できるし韓国人は「ハングル振り仮名」を読んで理解できることになりますから、双方ともに利益となります。 このあたりが妥当なところじゃないかと思うのですが‥‥。

日本から発信するハングル文はかつてのような「漢字ハングル混じり文」にして、漢字には「ハングル振り仮名」を付ければどうでしょうか。  しかしここまで主張してしまうと、憶測・妄想と言われるかも知れません。

コメント

_ ヒデ ― 2014/02/04 17:30

読書率が日本に比べて低いとか漢字を復活させなければ、本来の意味を理解できないとか韓国のマスコミが定期的に記事にしているんですよね。我々はその記事を鵜呑みにしているところはあると思います。
ところで、ハングルを普及させたのは日本の戦前教育にあると聞きましたが、これって裏を返すと、韓国の中国への接近の度合いによっては、ニッテイのせいで漢字を失うことになったとなんてことになるんでしょうか。

_ 仮分数 ― 2014/03/04 21:56

管理人殿  操作を間違えて校正前の文章を送ってしまいました。本文と入れ換えてください。

漢字の訓読みということは「フリガナを付ける」ということとは本質的に異なることです。あなたは「生」という字をいく通り読めますか。「正」という字はどうでしょう。日本語の例で恐縮ですが、訓読みということは、漢字の持つ元来の意味と同じ意味の日本語にあてはめた読み方です。やや突飛な例ですが「love」という英語の単語を「ラヴ」と読むのが音読み、「あい(愛)」と読むのが訓読みに相当すると言えばお分かりいただけるでしょうか。つまり、呉善花さんが「韓国語にも日本語のような漢字の訓読みを導入しようと提案している」ということは漢字を韓国語に翻訳して読んではどうかと言う意味だと思います。そうすれば「愚公移山」という文書を「ぐこう やまをうつす」と大和言葉で読めるではではないですか。試しに「愚公移山」を音読みしてみてください。すべてとは申しませんが、音読みだけでは日本語になりません。
韓国も日本に倣って、美しい韓国語の表現を開発されてはいかがですか。その鍵は訓読みです。中国から習った知識を自国のものにする、それによって自国の知恵を豊にする、日本人は漢文という方法によってそれを実現して来たのです。これに伴って訓読みという技法も開発したのでしょう。
さらにまた、大和言葉にすれば、全文をカナで書いても、さした抵抗もなく読めます。和歌がその好例です。 多くの和歌が女文字とよばれる「ひらがな」で書かれています。

_ 仮分数 ― 2014/03/05 14:53

「呉善花さんは韓国語にも日本語のような漢字の訓読みを導入しようと提案している」これは興味のある意見です。

私は韓国語を知りませんが、以前「韓国では漢字読み方が原則として一つである。その点、日本語と違ってわかりやすく合理的である」と聞いたことがあります。呉善花さんの意見はこれを裏打ちしているように思われます。

さて、語系や文化や風習が異なる異国の言葉を翻訳しようとすると、場合によっていろいろな異なる自国語を当てはめなければなりません。ちなみに「take」という単語を「新英和大辞典;研究社」で調べてみなすと、他動詞として42、自動詞として12の訳がなされています。その上に多数の「tow word verb」が紹介されています。これでけの用意がなければ、英語の文章をこなれた日本語に訳すことはできないのです。

中国の言葉を日本語に導入したときにも同じでした。「生」という漢字を「感じ源;学研」で調べてみますと、「セイ;漢音」、「ショウ;呉音」という音読みに加えて「イきる」、「イかす」、「ウまれる」、「ウむ」、「オう」、「ハえる」、「ハやす」、「キ」、「ナマ」などの訓読みが並んでいます。つまり、「生」という字を使った概念は中国から主として二系統の系統から移入され、それが主として九つの日本語に相当しているということを示しているのです。

文字を使うということでは後進国だった日本が、中国という先進国から文字を移入し、これを日本語として消化するために起こった現象なのです。

繰り返していいますが、私は韓国語を学んでいません。まったく無知です。しかし、複数の外国語と漢文を学んだことがある者として、一つの外国語の単語を自国語に翻訳する場合でも、その逆でも、文化の異なるグループ間で、言葉は一対一で対応するということは、あり得ないと学びました。

以上のことから、「韓国では漢字読み方が原則として一つである」という現象は、賞賛よりは奇異に感じています。それ故に「韓国語にも日本語のような漢字の訓読みを導入しよう」という呉善花さんはと提案は大枠として理解できます。

さらにまた、ハングルでフリガナをふれば済むような問題でないこともご理解いただけると思います。

私は、韓国の人が分かり易く美しい韓国語表現を見いだすことを願っております。そのために、他国で成功している例を参考にあさって、世界から賞賛される韓国語を追求されてはいかがでしょうか。

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