北朝鮮の砧2007/12/22

 韓国では1970年代頃までは砧を打つ風習が残っていましたが、その後は廃れました。  北朝鮮ではおそらくまだ残っているだろうと推測していたのですが、『現代コリア468号』(07年1・2月号)に次のような報告がありました。

>2005年の秋。‥‥長白県の夜、電気がなく真っ暗になった川縁からは「コーン、コーン」という乾いた音が響いていた。北朝鮮の女性が洗濯物を棒で叩く音だった。もの悲しいその音は、夜遅くまで絶えなかった。>   五味洋治「中朝国境で見た北朝鮮の現実」

 これを分析しますと、夜に打ち、さらに乾いた音がしていますので、これは洗濯ではなく砧です。洗濯は昼間にするもので、夜になってある程度乾いた段階で打つのが砧だからです。  乾いた音が「コーン、コーン」としていますので、これは綾巻を使うⅠ型の砧と思われます。Ⅱ型の砧では、トントンという音で、なかなか響き渡るものではありません。  ちなみに叩き洗いの洗濯では、水漬けした衣類ですので、べチャあるいはバシャという音になります。

 川縁から聞えてくるとありますが、これは疑問です。洗濯は川で叩き洗いしますが、砧はこれを持ち帰って家の中で打つものです。川縁に建つ家であれば間違いがないのですが。

 北朝鮮に砧が残っていることは確実なようです。しかも韓国では今や見ることが困難で、日本では全く絶滅したⅠ型の砧ですので、非常に興味深いものです。

 北朝鮮が崩壊する時には、ぜひ資料収集に行きたいものです。

 なお当雑誌の編集後記には「それにしても暗闇の北朝鮮から女性たちの砧を打つ音が聞えてくる描写には胸がつまった。」とあります。

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