『韓国はどれほど日本が嫌いか』 (6)2013/08/11

北朝鮮は核を手放さない

 北朝鮮の核兵器開発の意図について、武貞さんは次のように解説します。

2012年4月、北朝鮮は憲法改正を行ない、序文に「(金正日同志は)われわれの祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国に変えた」との文言を入れて、核保有国であることを明記した。‥‥‥正式に国際社会に向けて核保有宣言をしたことになる。‥‥‥軍事パレードでは新しいタイプの大陸間弾道ミサイルに見えるものを行進させ、核兵器運搬手段をもっていることを外国のメディアにアピールした。‥‥2012年4月13日、ミサイル実験した狙いは何か。‥‥米国本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイルを開発していることになる。北朝鮮のミサイル開発はいよいよ米国本土を射程に入れるという目標があることがはっきりしてきた。米国に対する核抑止力の獲得をめざしているという言葉どおりである。(178~179頁)

2012年4月15日、の演説で金正恩第一書記は、何を訴えようとしたのか。‥‥「軍事技術的優位はもはや帝国主義者の独占物ではなく、敵が原爆でわれわれを威嚇、恐喝していた時代は永遠に過ぎ去りました。本日の荘厳な武力展示が、これを明白に実証するでしょう」というのは、北が「核兵器のない世界をめざす」という意味ではない。「北朝鮮は米国の心臓部である首都を破壊することができる大量破壊兵器をもつにいたったので、米国は北の首都を破壊できない。すなわち核抑止が成立している」意味であり、北の「核抑止力」を語ったのである。‥‥‥核兵器を有したので、戦争することなく、平和的に自主的に統一に向かう交渉に入りましょうという意味である。(179~180頁)

そうすると「偉大な金日成同志と金正日同志が開いた自首の道、先軍の道、社会主義の道に沿って真っすぐに進む。それはわが革命の百年大計の戦略であり、終局的勝利があるのです」という部分の意味が明らかになる。「終局的勝利」とは、「軍事境界線北側の防衛体制確立」ではなく、「チュチェ思想によって韓国を併呑すること」ということになる。金正恩第一書記は、「米国の心臓部が脅威にさらされる時代がきた。核抑止力が確立しており、米国が朝鮮半島に軍事介入する余地はない」という祖父伝来の核戦略を語ったといえよう。北朝鮮は核兵器を片手に、統一を語っている。(181頁)

 このように北朝鮮は自分たちによる祖国統一(=赤化統一)を最終目標として、そのために必要なものが核兵器という位置づけです。しかし韓国はそうは見ません。北の核開発は自国の体制維持が目的と考えているのです。

「崩壊のシナリオ」が見えてきた北朝鮮が、国産の核兵器で米軍を抑止するという事態は、韓国人は想像していなかった‥‥韓国は一貫して、体制維持のために北朝鮮は核兵器を開発している、と見ている。「体制の維持のため」という狙いには、朝鮮半島の南を解放するという意味を含めているのが北朝鮮であるが、韓国人にとっては、それは90年代までの(昔の)議論なのだ。(181、187頁)

 韓国は、崩壊の崖っぷちに立っている北があえて核兵器を開発するのはそれを誇示することによって国内体制の維持を図っているのだ、と考えているのです。北による統一(=南朝鮮解放路線)はあり得るはずがないと考えているのが韓国です