『韓国はどれほど日本が嫌いか』 (5)2013/08/10

 北朝鮮が韓国に対する路線は、当初より今まで一貫して「自主的、民主的、平和的統一」(=南朝鮮解放路線・赤化統一)であることは、拙論で繰り返し説明してきました。

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/04/22/6421457     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/03/30/6762019

 武貞さんはこのことについて、次のように書いています。

2012年4月15日、金正恩第一書記は、重要な演説を行なっている。「国の統一を願い、民族の平和繁栄を願う人であるなら誰とでも手を取って進む」と。米国との関係正常化交渉と、韓国との自主的平和統一に向けての協議を想定している部分だ。   北朝鮮の最終目標は「自主的平和統一」であり、具体的には米国の介入を阻止し、南北が話し合いで、戦争をしないで、北朝鮮主導で統一することである。そのための朝鮮人民軍であり核戦力であり、その核戦略の最終目標は「北朝鮮主導の統一」であることが、金正恩第一書記体制の下でも鮮明になりつつある。 (156頁)

 この武貞さんの論では、「民主的」が抜けているのが気になります。民主的とは、韓国に親北民主政権(いわゆる人民革命政権)を樹立することです。北はこの政権とのみ統一協議すると言っているのです。

 つまり、アメリカの介入阻止(自主的)、親北民主政権の樹立(民主的)、北朝鮮主導で統一(平和的)の三本柱の一つなのです。北は「自主的」のために核武装して米国を退け、「民主的」のために韓国の民主勢力(いわゆる従北)を支援・指示し、最終的には戦争などせずに「平和的」に統一することを目指しているのです。

 北朝鮮が目指す自主的・民主的・平和的統一(=南朝鮮解放路線)には、祖父の金日成以来、今の金正恩に至るまで一貫しており、変化はありません。しかし近年の韓国では、北朝鮮に対する警戒心を失っているとしか言い様のない状況が続いています。

 北は変わらず、南だけが変化しているのです。北朝鮮の南朝鮮解放路線は、少なくとも「民主的」の点については成功しつつあると思っています。