新型コロナ検査の信頼性(2)2020/03/16

 前回で新型コロナの検査法であるPCR法について、日本では信頼性がそう高くないとされているのに、韓国ではそれが問題にされていないようだと論じました。  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/03/10/9222614

 その後も韓国の新聞記事などを見ていますが、PCR法の信頼性について報じているものがなかなか見あたりませんねえ。 そんななかで『韓国日報』3月15日付 「韓国の診断キットの信頼性 論難、アメリカ議員『適切でない』vs疾病管理本部『WHOが認めた診断法』」という記事が目に入りました。  https://www.hankookilbo.com/News/Read/202003151135772990

 それは、新型コロナについて抗原・抗体から検査する方法が韓国で新たに開発されたのだが、アメリカでは議員がその信頼性に疑問があるので導入するなと主張しました。それに対して韓国側は問題ないと反論したという記事です。

 韓国側の反論のなかで、PCR法が言及されています。その部分を訳してみます。

(韓国の)福祉部関係者は「アメリカの聴聞会で議論された検査法は抗体に関連したものであるが、現在使用中である診断キットはそれとは違う遺伝子検査法(RT-PCR)だと語った。 FDAが書面で言及したという診断キットは、韓国で使用している診断キットではなく、だから国内で現在使用中の診断キットの正確性は問題がないという主張だ。

青瓦台もやはり「アメリカFDAが承認して現地で使用されている診断キットは、検査方式や検査対象の遺伝子部位を世界保健機構(WHO)と違う方式でしている」「わが国はWHOが勧告した遺伝子認識部位と検査方法の通りに基準を定めて使用しているので、問題にならない。」と明らかにした。 

 つまり、アメリカでは韓国で開発された検査法の信頼性を議論しているが、それは今の韓国で使用している検査法(PCR法)ではないので関係がない。 韓国で現在使われているPCR法はWHOのいう通りになされているので、正確性に問題がないというものです。 だから韓国民は安心してほしいという主張になります。

 やはり韓国では、PCR法は信頼できるとしているようです。 ここが日本とは違っていると思われます。 日本では、検査の信頼性が低いので陰性だったからといって安心するな、本当は陽性かも知れないぞ、と警告する記事が目につきます。

 しかし『韓国日報』は、現在の検査の判定について、次のような具体例を報じています。

国内では、最初の検査で陰性判定を受けた人が、後で確診(陽性)判定を受ける事例が続いている。 インチョン市によると、四日前の検査で陰性判定を受けたAさんが、この日に最終確診判定を受け、隔離された。 集団感染が発生したソウルの九老区新道林洞のコリアビルディング11階のコールセンター職員であるAさん(39・女性)は、去る9日に一次検査で陰性判定を受けて自家隔離中だったが、13日に発熱の症状が現れて、疾病管理本部で実施した三次検査で陽性が出て、現在キル病院で隔離治療を受けている。 同居している母親と妹は、検査で陰性が出た。

 このように韓国でも検査結果は安定していないという事例が報告されているのです。

 しかし韓国では、わが国の防疫体制は世界の模範と言えるほど優れているという発言が政府高官からしょっちゅう出てきていますから、検査の信頼性は低いなんて言えないのかも知れません。

【拙稿参照】

新型コロナ検査の信頼性 ―韓国と日本では違うのか? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/03/10/9222614

コメント

_ 辻本 ― 2020/03/20 15:04

FNNニュース
「不確実性は無視? 韓国で新型コロナPCR検査が日本の18倍も実施されるワケ」
https://www.fnn.jp/posts/00050819HDK/202003191800_WatanabeYasuhiro_HDK

拙論を補強してくれる記事です。
やはり韓国では、我が国の検査は信頼できる、信頼せねばならないと、なっているようですね。

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