韓国語の雑学-将棋倒し2020/04/15

  韓国の『朝鮮日報』(4月9日付け)を読んでいたら、次のような記事がありました。   https://news.chosun.com/site/data/html_dir/2020/04/08/2020040804861.html

 記事のタイトルは

"장기튀김을 아십니까" 임꺽정-박완서-이문구 사전 펴낸 75세 이 남자

「将棋倒しを知っていますか」 林居正-朴婉緒-李文求 辞典を出した75歳の男

です。 その「将棋倒し」について、次のように解説しています。

‘장기튀김이라는 순우리말도 있다. 팻말이 연이어 넘어지는 모양을 가리키는 외래어 ‘도미노’와 같은 뜻이다. “꺽정이가 그 사람의 손을 쥐고 돌아서서 한번 떠다밀었더니 그 사람은 고사하고 그 사람 뒤에 겹겹이 섰던 구경꾼이 장기튀김으로 자빠졌다.”

「将棋倒しというのは韓国固有語でもある。立札が続けざまに倒れる様子を指し示す外来語の「ドミノ」と同じ意味だ。「林居正がその人の手を掴み、振り返りざまに一度強く押しやると、その人はおろか、その後に幾重にも立っていた見物人たちが将棋倒しで倒れた。」

 ここでビックリしたのは、「장기튀김」を「순우리말(韓国固有語あるいは純韓国語)」としているところです。 「장기」は「将棋」という漢字語であり、元々は中国語の「象棋」、それが日本では「将棋」となりました。 朝鮮では中国の漢武帝が設置した漢四郡(紀元前100年頃)時代には入ってきて、「象棋」「象戯」と呼ばれてきたようです。 そして何時の頃か分かりませんが、日本と同様に「将棋(장기)」となったわけです。

 このような歴史から明らかなように「장기」は漢字語であって、韓国固有語ではありません。 なお「튀김」は「튀기다(はねのける、はじく)」の名詞形で、これは韓国固有語と言えます。 従って「장기튀김」は、言葉そのままに「将棋倒し」の意味になります。 

 さらに「将棋倒し」という言葉は、日本では600年以上前の14世紀の『太平記』に出てきており、その時には既に使われている言葉です。 また中国や朝鮮の将棋の駒は丸いもので、立てることが難しいですが、日本の将棋の駒は立てることが出来ます。 すると「将棋倒し」は日本だけの独特の言葉と言えます。 おそらく日本では600年以上前から将棋倒しゲームが流行っていたと考えられます。

 すると韓国語の「장기튀김」は、日本の「将棋倒し」を韓国語に翻訳した言葉だと判断できます。 ただそれが何時のことかは分かりませんでした。

 ということで冒頭の記事に戻りますと、本来日本語であった「将棋倒し」が韓国固有語と説明されていたことで、ビックリしたのです。

 先述したように、韓国の将棋の駒は丸くて立て並べることが出来ませんから、韓国人には「장기튀김」の「장기」が「将棋」とは思いもよらなかったのでしょうねえ。

 今回は、韓国語の雑学でした。

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