金正恩10・7演説「韓国を攻撃する意思はない」(2) ― 2024/10/20
https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/10/15/9724192 の続きです。
我々は正直言って、大韓民国を攻撃する意思が全くありません。 意識することすら鳥肌が立ち、あの人間たちとは向かい合いたくもありません。
以前の時期には、我々があの南の解放という声も多くあって、武力統一とも言いましたが、今は全くこれに関心がなく、二つの国家を宣言してからは更にもっとあの国を意識することもありません。ところで問題は、ひっきりなしに我々を苛立たせていることです。
ここで「韓国を攻撃する意志はない」という言葉が出てきました。 今まで「南の解放」「武力統一」と言ってきたが、もう韓国を「意識することはない」から「攻撃すらもしたくない」ということです。 そうであるのに韓国はごちゃごちゃ言ってきて、「我々を苛立たせる」というわけです。
我々は最近の我が国家周辺の情勢環境を鋭く注視せねばなりません。 ありもしない脅しを《抑制》するという妄念にとらわれて、《韓米同盟》という核を基盤とする同盟に変異させて武力増強に熱を上げながら、狂的に繰り広げる米帝と傀儡の戦争騒動と挑発的行動は、いつ朝鮮半島で力の均衡が崩れるかも知れないという危険性を内包しています。 自分たちの軍備拡張と軍事行動は正当で防御的性格であり、我々の該当する活動は危険で挑発になるという非論理的で変態的な理由がまさに米帝と手下たちが声を上げている盗人猛々しい主張です。
イヤでイヤでたまらない韓国が、米国と同盟して我が北朝鮮を挑発し、戦争を企んでいるということですね。
朝鮮半島で戦略的力の均衡の破壊は、すぐさま戦争を意味します。 正にそのために、敵をいつも抑え込んで情勢を管理できる物理的力を持たねばならないという我々の自衛国防建設論理は、針を通す隙間もなく完璧で正当です。 軍事超強国、核強国へ立ち向かう我々の歩みは更に早くなります。 韓米軍事同盟や傀儡たち自らが言うように核同盟へ完全に変異された現時点で、我が国の核対応態勢は更にもっと限界のない高さまで完備しなければなりません。
韓米同盟が核を保有する我が北朝鮮を攻撃してもすぐさま完璧に対応するぞ、というのです。
話のついでに指摘しておくと、去る10月4日、国連事務総長代弁人は我々に《修辞の水位を低めることを望む》と要請してきました。 このような要請がソウルにも伝えられたのか不分明ですが、この席を借りて再び強調することは私の発言を世の中が聞こうとするなら直ぐに聞かなければならないことです。 私は明らかに、そして一貫して軍事力使用に関する我々の立場を鮮明にするたびに《万一》という前提をつけました。その《万一》という仮定のもので、我々の憲法は我が軍に厳格な命令を下すのです。
敵たちが我が国家を、反対する武力使用を企図するならば、共和国武力は全ての攻撃力を躊躇なく使用するのです。 ここには核兵器使用が排除されません。
ここで北朝鮮は「万一の仮定」と言いながらも、核兵器を使用するぞと脅していますね。
また何度も強調するところですが、そんな状況で生存に希望をかけることは無駄なことであり、幸運も《神の保護》も、大韓民国を守ってやれないのです。 これは国連が言う修辞的水位に関する問題ではなく、明らかに実地行動的警告です。
我々の前には、世界最大の核保有国と一緒にいじり回そうとする一番奸悪な傀儡があります。 このような環境下で我々の見解と選択、決心は絶対に変わることがありません。 敵は軽挙妄動をしてはなりません。 敵たちは我々の警告をいつものように間違って聞けば、更に凄絶で酷毒な対価を払うようになるということを深く噛みしめなければならないのです。
現在、我々が保有する絶対的力は、実地の戦争を抑制し平和を守る使命を責任もって遂行しています。 どんな勢力も、朝鮮民主主義人民共和国に反対する軍事力使用と軍事力間の衝突という選択はできません。 しかし敵たちが《核同盟》を武器に力の優位を占め、戦略的形勢をひっくり返そうと足掻けば足掻くほど私たちは国防科学と工業の継続的な跳躍を成し遂げ、自衛の戦争抑制力を無限大に強化していかねばなりません。 我が党と共和国政府は、朝鮮半島で力の均衡が破壊されることを少しも許容しないのです。
我が北朝鮮を挑発・攻撃しても無駄だ、返って痛い目に遭うぞ、という意味ですね。
以上で、金正恩の「韓国を攻撃する意志はない」という言葉がどういう話の流れのなかで出てきたのかを見てきました。 要は、韓国なんか顔も見たくないほどに嫌いだ、しかしその韓国が“自分はこれだけ強い”と力自慢をしている、これに対して核強国の我々は黙っていないぞ、けれど韓国が黙って大人しくしていればこちらから攻撃はしない、という主張のようです。
今月、韓国が無人機を平壌に飛ばしてビラを撒いたとして北の金与正が「惨事が起きるぞ」「宣戦布告とみなすぞ」と報復の警告を発し、金正恩は「主権が侵害される場合、我々の物理力がためらわず使用される」と宣言しました。 おそらく、“韓国を攻撃する意志はないとせっかく言ってあげたのに無視しやがって、見てろよ”ということなのでしょう。 本気なのか虚勢なのか分かりませんが、“我が国は核武装と軍事強国で相手に恐怖を与える”という路線に変わりがないみたいです。 (終わり)
【拙稿参照 ―労働新聞】
金正恩2024年1月15日施政演説(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/01/30/9654884
金正恩2024年1月15日施政演説(2) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/02/03/9656008
金正恩2024年1月15日施政演説(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/02/07/9657120
金正恩の2024年1月15日施政演説(4) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/02/11/9658152
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(1) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/07/27/9605137
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(2) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/07/31/9606151
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/08/04/9607167
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(4) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/08/08/9608146
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(5) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/08/12/9609128
今日は「太陽節」-朝鮮総連に教育費2億7千万円 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/04/15/9577360