『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(2) ― 2023/07/31
https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/07/27/9605137 の続きです。
普通の人なら、何を言っているのかさっぱり分からず、退屈するでしょうねえ。 しかし隣国を知るには、このような独特の文体・表現を読まないわけにはいかないのです。 隣国に対し何か言いたい人は、こんな文章を読んでから言ってほしいと思います。 相手方に関する基礎的知識も知らずして、偉そうに意見を言うべからず、ですね。
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敬愛する金正恩同志におかれては、次のように仰られました。
《偉大な首領、金日成同志の賢明な領導の下に、わが軍隊と人民は祖国解放戦争で力において対比できない強大な敵、世界〈最強〉を誇るアメリカ帝国主義を打ち勝つ歴史の奇跡を作り上げた。》
戦争は一つの国、一つの民族において存亡を占う最悪の全面的試練である。この時に、人民の運命開拓精神の高さと政治、軍事、経済力の総体である国力の深度が明確に検証される。比べられないほどに優勢な大敵に立ち向かい、最悪の条件と環境で勝利を収めた国家と人民こそが最強の精神力と国力を持っていると堂々と自負することができる。
70年前の祖国解放戦争は、立ち遅れていた植民地半封建社会の位置から抜け出したばかりの新朝鮮が帝国主義列強たちを先頭に、膨大な侵略勢力に立ち向かわねばならなかった、余りにも辛い大乱であった。わが民族史に、強大な外来侵略者たちに抗した例は一度や二度ではなかったが、この時のように約20カ国の多国籍武力と熾烈な血戦を行なったことは今までになかった。
アメリカ帝国主義が、朝鮮の運命は《72時間以内に決着》するだろうと大言壮語していた戦争が、2万7千時間以上も続き、ついにわが国と人民の痛快な戦争勝利で終わったことは、世界の予想を完全にひっくり返した天地異変とも言うべきものであった。その時に外国のある言論は《すっかり凍り付いて満身創痍となって失うところだったアメリカの〈大きな拳〉と、世界の賛嘆の声を集めて勝利の壇上に上った共和国の〈小さな拳〉! 大きいが弱い理由、そして小さいが強い理由は果たして何か?》と大書特筆した。
我々の勝利は本当に値打ちの高いものであった。戦争の3年間、人間の皮を被ったアメリカ帝国主義の野獣のような蛮行でもって我が人民が被った精神物質的被害は、天文学的な金額になる。この国のすべての家庭が血の涙に濡れ、多くの肉親たちが離れ離れになり、全国が灰の山となった。しかし我々は戦争の勝利を通して、失ったものよりもっと貴重で多くのものを得て、最大の国難を前進と発展の跳躍台に反転させた。
祖国解放戦争の勝利が持っている意味は、何よりも共和国の尊厳と名誉、自主権を死守し、自主的発展環境を守り抜いたことにある。
偉大な首領様におかれては、事大と亡国にまみれた民族受難の歴史と人民の念願、時代発展の推移を深く洞察されたところに基礎にして、新しい形の自主独立国家、朝鮮民主主義人民共和国を創建された。我が共和国は創建されたその日から、すべての路線と政策を我が人民の利益と我が国の実情に合わせて策定実施し、強力な自立経済と自衛力建設を力強く推進した。
アメリカ帝国主義とその走狗たちの武力侵攻は、自主、自立、自衛の旗を高く振る我が国においては初めての困難だった。また再び帝国主義の植民地になるのか、そうでなければ自主独立国家の尊厳を守るのかという運命的な戦争で歴史的な快勝なすことによって我が共和国は血でもって争取した民族的独立を固守し、解放後に達成した民主改革と新祖国建設の成果を守護し、国家活動で自主性をたゆまずに堅持できるようになった。我が党と人民は国家建設の最初から主体的な力を強化してきたところに創建されてわずか2年もならなかったが、腹を据えて帝国主義の輩と真っ向勝負することができた。他人の援助には限界があるものだ。我が力が強くなかったならば、世界平和愛好力量の支持声援も期待できなかったのであり、停戦協定で我々の要求を全面的に貫徹することもできなかったのである。
国家が存立して自主的に発展しようとするなら、自由な生を享受する人民があってこそできる。数千万の人びとの生命と貴重な国土を守り抜いた祖国解放戦争の歴史的勝利でもって我が国家は自主の軌道に乗って、たゆみない前進をすることとなり、人民の無限の創造的知恵と力、豊かな自然資源に依拠して自力繁栄を成し遂げることができるようになった。
祖国解放戦争の勝利が持つ意義はまた、戦後の我が国の社会主義革命と建設の偉大な新しい歴史を方向付けることができるところにある。
自主性を完全に実現することは、人民大衆の最高の理想であり、その世紀的な宿望と理想を争取する唯一の道は社会主義にある。社会主義革命と建設は人類の歴史上最も深刻な社会的変革であるだけに、それを遂行しようとするならば自身の強力な革命的力量と前提条件が準備されねばならない。
帝国主義という強敵を踏みつぶすという大変難しくて複雑な戦争の行程で、革命の参謀部である党が組織思想的にさらに強化され、人民政権が固く団結し、豊富な実践経験を所有する核心幹部たちが育成された。特に我が人民の政治的および階級的覚醒が非常に高くなり、思想意志も強く鍛錬された。偉大な首領におかれて教示されたように、過去の朝鮮人民を鍛錬されていない《軟鉄》と言うならば、戦争に勝った朝鮮人民は電気炉で鍛錬された《特殊鋼》と言うことができる。実にこれは、戦争過程で成し遂げられた一番大きな勝利であり、革命を続ける一番大きな元手であった。
生産関係の社会主義的改造は、都市と農村で長い歳月行なわれてきた個人経済を集団経済に改造する歴史的変革であるので、その準備作業を着実にして、有利な前提条件と十分な経験を積むことが切に望まれる。偉大な首領様の先見の明ある領導のもとに工業と農業、商業部門などで社会主義経済の形を拡大するための準備作業が積極的に推進された。戦後、そのように短い期間に復旧建設を終わらせて、遅れることなく社会主義革命を遂行し、不敗の社会主義国家を勢いよく打ち立てることができることは、苛烈な戦争の時期に至るための主体的力量と土台を準備する作業を予見しながら推進した偉大な首領様の賢明な領導を忘れるなんてことは考えられるものではない。
祖国解放戦争勝利の意義は、また我が祖国と人民が永遠に勝利できる、誇り高い伝統と価値を調えることにある。
他のことでは偶然にあり得ても、力と精神力の対決である戦争では偶然というものはあり得ない。優勢な強敵たちを続けざまに打ち勝ったならば、それは偶然ではなく必然である。困苦の抗日大戦で輝く勝利を収めたのに続き、峻烈な祖国解放戦争でアメリカ帝国主義を首魁とする帝国主義列強を屈服させることによって、反帝対決戦での百戦百勝は我が人民の誇りある伝統として盤石に定着した。この特別な伝統があることによって、これまでの時代の1950年代から今日まで英雄朝鮮は大きな力を信じて、のさばっている《悪の帝国》を一歩ずつ痛快に縮み上がらせ、アメリカはビクッとするたびに我々からひどい目に遭うという恥と汚辱の歴史を繰り返している。
人民抗戦である革命戦争の輝く勝利は、人民の思想精神力を最大に噴き出させる起爆剤である。祖国解放戦争で、首領決死護衛精神、愛国主義精神、英雄的犠牲精神を核にする祖国守護精神が作られる全人民的な思想感情に昇華されることによって、以降共和国の前進の道には千里馬の高調、速度戦の時代、社会主義強国建設の新時代の誕生という奇跡的異変が連続多発的に起きることになった。
一言で言うと、我々は祖国解放戦争で自主の城塞、人民の新しい国を守り抜き、さらに強大で繁栄する主体朝鮮の明るい未来を思い描いたのである。 (続く)
【拙稿参照】
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(1) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/07/27/9605137
今日は「太陽節」-朝鮮総連に教育費2億7千万円 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/04/15/9577360
【参考】
韓国の保守有力紙である『朝鮮日報』の7月27日付けに、「7月27日は北朝鮮の戦勝節だって? 韓国軍・国連軍の「自由陣営」が勝利した日【記者手帳】」と題するコラムが出ています。 https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/07/27/2023072780002.html
この記事を参考にしながら、『労働新聞』の「論説」を読むことをお勧めします。
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