全斗煥 元大統領 死去2021/11/23

今日、全斗煥元大統領が死去したというニュースが流れました。

 全斗煥大統領は今の韓国では余りに人気がなく、ほとんど最悪の大統領のように評されています。

 しかし全大統領が就任していた1980年代の韓国は、前の朴正煕大統領の経済政策を受け継いで、経済的には大きな発展を遂げた時代です。

 そしてまたオリンピックを誘致し、準備しました。  ソウルオリンピックは、それまでのモスクワとロスアンゼルスの二回の大会が東西冷戦下により半分しか参加しないというものになったことに対し、世界が参加する大会となりました。(不参加は北朝鮮とかキューバなど、ごくわずか)

 これは大成功といっていいものです。   全大統領はオリンピック開会式にはもう大統領ではなくなって出席しませんでしたが、オリンピックをやり遂げたのは全大統領の功績だと言っていいものです。

 こういったことを考えると、もっと高く評価していいと思うのですが、民主化運動への激しい弾圧等々で、韓国では評判悪いですねえ。

 全斗煥大統領に関して、拙ブログでは下記がありますので、笑読いただければ幸い。

【拙稿参照】

全斗煥政権がオリンピックを誘致し成功に導いた http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/02/08/8784411

全斗煥の功績     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/02/13/8787078

同和の闇に切り込めなかったのか―関電金品受領事件2021/11/18

 原発が林立する福井県を舞台に、関西電力の役員らが多額の金品を受領し、不正な便宜供与を図ったという疑惑の事件で、先週(11月9日)検察特捜部は不起訴処分を出しました。   https://news.yahoo.co.jp/articles/a4a7217b871b5f4d5e818c7eb155eed85bb8c765

 この事件は同和の闇が垂れ込めるものでしたが、報道はすべて「同和」のことには言及しませんでしたねえ。 「同和」がマスコミではいまだタブー視されているようです。

 この事件の一方の主役が森山栄治という人で、彼が解放運動を足掛かりに関電という巨大企業と高浜町等の行政とを籠絡し、多額の金品を渡しながら莫大な利益を上げたという事件でした。 拙ブログでは2年前に取り上げたことがあります。   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/12/18/9190648

 森山はすでに故人なので責任を問われず、金品を受領した関電が検察の捜査対象となっていたのですが、結局、刑事責任は問えないとして不起訴になったのでした。

 ところで普段正義の味方のように振る舞うマスコミが今回の件で「同和」には全く言及しないところに、「同和の闇」の根深さを感じます。 少なくともこの関電金品受領事件には「同和の闇」があることを、多くの人に知ってほしいと考えます。

 先の熱海土石流災害でも「同和の闇」が見え隠れします。

 日本にはこのような「闇」があります。 わが日本は住みよい素晴らしい国だとは決して言えない現実があることに、国民はもっと知ってほしいですね。 

【拙稿参照】

解放運動の闇専従-森山栄治  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/12/18/9190648

熱海土石流災害に強制捜査―同和の闇に迫れるか http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/10/30/9436105

熱海土石流―「同和」の体質と恐怖 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/07/26/9401762

同和企業の思い出 ―熱海土石流災害を見て http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/07/11/9396847

差別の自作自演事件       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/06/06/9385057

「嫌韓」は植民地の歴史を引きずる―福島みのり2021/11/11

 毎日新聞の11月5、6日付けに「韓流ブームと『嫌韓』」と題する記事があります。 金志尚記者が常葉大学の福島みのり准教授からの話を引用しながら、「韓流」と「嫌韓」を考察しています。  https://mainichi.jp/articles/20211105/ddm/013/040/014000c  https://mainichi.jp/articles/20211106/ddm/013/040/026000c   有料記事ですから、関心のある方は図書館で閲覧してください。

 読んでみて、植民地支配の歴史に関する福島准教授の意見に違和感をもつ部分がありました。

韓国に留学したいと言うと、お父さんやおじいちゃんに反対された――そんな話を学生からよく聞くというのだ。

年配の男性はやはり、過去の日本による植民地支配に基づき、韓国を見下す意識を内面化している部分があると思います。 一方、韓国は(自国経済が大打撃を受けた1990年代後半の)アジア通貨危機を経て特に00年代以降、文化産業やIT産業の育成を通じて国力を高めていきました。 結果として今のような韓流人気にもつながっています。 国際的な地位が上昇した韓国との間である種の“逆転現象”が起きる中で、気に入らないというか、認めたくないという思いを、特に年配の男性は抱いているのではないかと思います。

 福島准教授は「年配の男性はやはり、過去の日本による植民地支配に基づき、韓国を見下す意識を内面化している」というのに、ちょっとビックリ。 75年以上前の植民地時代朝鮮を記憶している年配の方は相当に高齢ですから、ほんのわずかでしょう。 そして日本が植民地支配したのは朝鮮でだけでなく台湾、南洋諸島、満州等々多数ありますが、そのうちの朝鮮だけを取り上げて「植民地支配に基づき、見下す意識」があるとするのは疑問です。

 なお准教授が言うように、ここ2.30年の間に韓国が発展したことを認めたくない年配の男性が多いのは事実ですね。 ネットのコメント投稿でも「韓国と国交断絶しても日本は困らない」なんていうのが見かけられますが、昔の弱小国時代の韓国を未だ忘れられないようです。 いつまでも弱小国でいてほしいという願望が根強い、としか言いようがありませんね。 しかしだからと言って、子や孫の韓国留学に反対するものだろうか?という疑問が湧きます。

 韓国留学に反対するのは、歴史の勉強不足やかつての日韓関係の記憶からではなく、今の韓国での反日運動があるからでしょう。 旭日旗や「日本海」名称への反対、竹島の帰属問題、ユニクロやビール、自動車等の日本製品の不買運動等々が連日のように報道され、また韓国旅行をしていた若い日本女性に向かって「チョッパリ(日本人に対する蔑称)」と叫びながら暴行した韓国人男性も報道されました。 このように韓国では反日運動が盛んだというニュースがしょっちゅう流れてきていますから、子や孫が留学するのに不安となるのは理解できると思うのですが‥‥。

K―POPをはじめ韓国のポップカルチャーは若者らの圧倒的な支持を集めている。だが、その「反動」が、嫌韓的な空気を生むこともある。

若い人たちは、自分は過去の歴史とは無関係だと思っています。 だからアイドルを通じて突然そういうものに遭遇すると、ショックを受けてしまうのです。 これには、『政治から距離を置くべきだ』という日本社会の風潮と、日本が朝鮮半島を植民地支配していた歴史をきちんと学んでいないことも影響していると思います。

 この最後にある「『政治から距離を置くべきだ』という日本社会の風潮と、日本が朝鮮半島を植民地支配していた歴史をきちんと学んでいないことも影響している」という部分に、疑問を感じます。

 K-POPなどの韓国文化を楽しむのに、「政治から距離を置く」のは当然でしょう。 また「歴史を学ぶ」なんて、やりたい人がやればいいのであって、K-POPを見る人に押し付けるような物の言い方はいかがなものかと思います。

 どこの国でもそうだと思いますが、外国文化を楽しむ人すべてに政治や歴史の勉強を要求するのはいかがなものでしょうか。 政治・歴史に関心のある人も関心のない人も、外国文化は一緒に楽しむものだと思うのですがねえ。 

 ところで日本の嫌韓派の人たちは、韓国文化・韓国語には関心がありませんねえ。 彼らは韓国の政治・歴史に対して大きな関心を持っているのですが、かなり偏っている知識で、しかも相手方を「ウソの歴史だ!」などと批判・誹謗するだけです。 これは日本人が同じ日本人に向かって日本語で吼えて溜飲を下げているに過ぎず、仲間同士集まった酒席の与太話のレベルです。 韓国に関心があるのですから、最低限、韓国語ぐらいは勉強して、さらにはK-POPを楽しんでほしいですね。

【拙稿参照】

「歴史」を学ぶことの疑問  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daijuurokudai

日韓学生討論会―変わらぬ日本人と変わっていく韓国人2021/11/06

 韓国の『週刊朝鮮2679号』(2021年10月18日~)最後の154頁にチョン・ジャンヨル編集長による編集後記があります。 そのなかにソウル大学が主催した日韓学生討論会で次のようなやり取りがあったと書いています。 ちょっと興味深かったので訳してみました。

去る9月にソウル大学東アジア文化研究所が主催した「韓・日大学生の虚心坦懐」という討論会について、ソウル大学東洋史学科パク・フン教授が感想コメントをペースブックに載せたものを興味深く見ました。 討論会に出席した韓国の大学生たちと日本の大学生たちとの認識差が印象深かったようです。

討論会で、日本の学生たちは相変わらずの植民地時代の加害者・被害者の論理により、韓国にどのように心からの謝罪をせねばならないのかの話をしましたが、驚くことはこのような発言に対する韓国の学生たちの反応だったといいます。

韓国の学生たちは、加害者・被害者の論理にだけ集中すれば人類史の悲劇だった植民地主義と帝国主義に対する理解が不足することにもなる、日本も植民地主義の被害者でなかったのかと「鷹揚な」主張を繰り広げたというのです。  特に日本の学生たちが、韓国に対する謝罪することなく、ひたすらBTSを追いかける日本の「分別のない」若者たちを批判するや、韓国の学生たちは「そんな大衆文化の消費者たちにまで歴史意識を強要する必要があるのか」と反駁したというのです。

ちょっと見れば、韓国の学生たちの歴史意識が浅いのではないかという批判を加えることが出来るが、わが若者たちの考えがそんな批判を受けるだけの水準を通り越しているというのが私とパク・フンの判断です。

「葉銭(一文銭のことで、韓国人が自分たちを自虐する時に使う)」とか言っていた劣等感と被害者意識、“井の中の蛙”式の民族主義に陥っていた祖父や父の世代に比べて、このごろの若者たちははるかに視野が広く、成熟しているように見えます。 これはやはり、名実ともに先進国の豊かさと自負心なかで、のびのびと育ってきたおかげではないかと思います。

 日本人学生たちが「相変わらず植民地時代の加害者・被害者の論理により、韓国にどのように心からの謝罪をせねばならないのかの話をしました」とあるのは、へー!とビックリ。 この日本の学生たちは、どうも私の知っている範囲の学生とは大きく違っています。 周囲の若い学生たちは顔も見たことのない曾祖父世代が犯したという加害に、なぜ曾孫世代である自分たちが謝罪せねばならないのか、という疑問を強く有していました。 

 また日本人学生が「韓国に対する謝罪することなく、ひたすらBTSを追いかける日本の『分別のない』若者たちを批判」と韓流ファンを卑下したところにも、かなりの違和感を持ちました。 韓国文化を楽しむのに謝罪から始めねばならないと主張するこの日本の学生さん、日本人であるがゆえに韓国に対して世代を越えて永遠に謝罪せねばならないと考えているようです。

 ですから私はこの日本人学生の「謝罪せねばならない」発言に、一般の学生の認識とはかなり違うのではないかという違和感を持ちました。

 チョン編集長は「여전히」としましたが、これは「如前」という漢字語で「前と同じ」「相変わらず」という意味です。 「加害・被害」「謝罪」は日本で昔に韓国・朝鮮に対して有すべき認識とされた風潮があって、今でもそう主張をする日本人はかなり古いタイプに属すると考えられます。 そういう認識を日本の若い学生が語ったことに、編集長は驚いたというか、むしろ新鮮に感じたのかも知れません。

 この日本人学生の発言に対し、韓国人学生が「加害者・被害者の論理にばかり集中すれば人類史の悲劇だった植民地主義と帝国主義に対する理解が不足することにもなる」 「大衆文化の消費者たちにまで歴史意識を強要する必要があるのか」と反論したとあります。 これにはビックリしました。 こんなことは以前の韓国では、日本人を前にして公然と聞くことがあり得なかった発言です。 しかし今や加害・被害にこだわっていてはいけない、と発言する韓国の若者が現れているということです。

 日本人学生の発言は残念ですが、韓国人学生の発言は韓国社会全体に広がっていってほしいですね。

【拙稿参照】

韓国人の対日感情           http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/01/12/8317218

韓国人のアンビバレントな感情   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/10/01/8690297

韓国の反日感情はいつ形成された? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/10/08/8698008

世界で唯一日本を見下す韓国人   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/06/8216253

日本を見下す韓国(2)         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/12/22/8285733

糾弾する朝鮮人と反論できない日本人 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daijuuhachidai

熱海土石流災害に強制捜査―同和の闇に迫れるか2021/10/30

 去る10月28日に、杜撰な盛土工事を施工して熱海土石流災害の原因を作った会社を静岡県警が家宅捜索し、強制捜査に着手したことが報道されました。  https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102800604&g=soc

 報道を読む限り、この会社の社長が自由同和会の神奈川県本部の会長であったことが報道されていません。 これは事件を解くのに非常に重要な事柄だと思うのですが、なぜかマスコミは報道しませんねえ。

 記事では、この会社が行政からの指導に全く従わなかったことが書かれています。

小田原市の不動産管理会社は2006年、土石流の起点部分の土地を取得。熱海市から、県土採取等規制条例に基づいてたびたび工事や土砂搬入の中止要請が行われたが、10年6月ごろまで盛り土造成を続けた。同社は市に対し、盛り土の高さを15メートルと届けながら、実際は3倍余りの約50メートルにまで上ったという。土地は11年2月に現所有者に売却された。

市は危険性を認識し、11年に安全対策を強制的に行わせる措置命令の発出を検討したが、防災工事が始められたため、発出を見送った。

 行政はたびたび中止要請などの指導を行なったのに、会社はそれに従わないで工事を強行したということです。 そして行政はそれに対処せず、結局は黙認したのでした。

 何故このようなことになったのか、そこに「同和の闇」があると私は見ています。 同和業者が行政とどういう関係にあるのか、特に同和団体(解放運動)と結びついた同和業者が行政に対してどのような態度を取ってきたのか、行政は指導を無視する強引な同和業者に何もできないという状況がなぜ生まれたのか。

 熱海の土砂崩れ災害解明のカギは、そこにあると考えています。 警察は熱海市や静岡県にまで強制捜査を延ばして、同和の闇を明らかにしてほしいと考えています。

 私がそう考えるに至った経緯については、下記の拙稿をご参照ください。

熱海土石流―「同和」の体質と恐怖 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/07/26/9401762

同和企業の思い出 ―熱海土石流災害を見て http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/07/11/9396847

「部落民宣言」と「本名を呼び名乗る」運動2021/10/28

 「部落民宣言」を知っている人は、かつての解放運動関係者もしくは同和教育担当だった教師くらいでしょう。 「部落民宣言」を検索しても、わずかしかヒットしません。    1970年代~80年代に、同推校(同和教育推進校)で盛んに行われていた、いわゆる解放教育の一環でした。 同和地区の生徒が学級会や全校生徒集会などで自分が部落民であることを明らかにして、これから部落解放のために闘いますと宣言するのが「部落民宣言」です。

 それまで同推校では全校生徒に、“部落差別が近世から政治的意図によって始まり、部落民は差別に苦しみながら生きてきて、水平社以降に差別反対のためにどのように闘ってきたのか、そして今でも部落差別は解消されず、部落民は厳しい差別に苦しんでいる”という教育を施していました。

 ですから「部落」というのは何百年もの間、周囲から差別を受けて暗くて鬱々たる暮らしを送らざるを得なかった人たちが集まっている所、つまり「部落」というのは周囲から隔絶された特異な地域だというイメージでした。

 同和教育では、そんなイメージの部落出身の生徒に「私は部落民です」と宣言させたのでした。 当の生徒は、上記のように部落民は社会から厳しい差別を受けるのだと教育されていたのですから、泣いて宣言する子が多かったといいます。 そして、差別されるのだから差別を闘う解放運動へ誘導されることになります。

 宣言した生徒は「部落解放」「狭山差別裁判糾弾!」「石川青年を返せ!」とかの黄色いゼッケンをつけて登校し、時には学校を休んで狭山闘争の集会に参加することもありました。 同和教育ではそうするのが当然とされた時代であり、他の一般生徒たちもそれが当然なことと受け入れるように教えられていましたから、黙って見るだけでした。

 この「部落民宣言」と同時に推進されたのが、在日韓国・朝鮮人生徒の「本名を呼び名乗る」運動でした。 部落民宣言が差別されることの自覚によって闘いに目覚めよ!というものであるのに対して、「本名を呼び名乗る」運動は韓国・朝鮮人であることをみんなに宣言することによって民族を自覚して闘おう!というものでした。

 どちらも、自分たちが被差別者であることを宣言して闘うことでした。 これがある程度進んで行くと、学校内で具体的に何をどのように闘うのかというと、その一つが周囲の一般生徒に自分自身が差別者であることを自覚させ、被差別者側にひざまずかせることでした。 こうなると、自分が部落民であるとか在日であるとかを明らかにすることによって周囲より有利な立場に立つことを意味し、それを確認させることが「闘い」の成果となります。

 これを同推校では教師たちが推進していきました。 こうなると、自分が被差別であることを言えば有利になるのですから、生徒たちは次々に自分の被差別を見つけ出し、宣言するようになりました。 ある子は、自分は健常者のように見えるが実は障害者だと言い、またある子は自分の親は精神障害者で自分はキチガイの子だと言い‥‥。

 “涙で語る差別の自慢大会”の様相を帯びていき、そのような被差別性を持たない一般生徒たちはただひたすら黙って聞くだけになるか、なかには自分は差別者で悪い人間でしたと涙ながらに懺悔する者も現れます。 これはH県の某同推校で実際にあったことで、その全校集会を見学した人が余りの異常さにビックリしたと言っておられたことを記憶しています。

 以上記憶のままに、具体名を記さないで非常に抽象的に書きましたが、当時の同和教育の実態を知っている方には「ああ、そういうことがあったなあ」という感想を抱かれることと思います。

 今は昔の話でした。

【拙稿参照】

大阪の民族学級―本名とは何か  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/07/31/9403271

在日誌『抗路』への違和感(1)―趙博「本名を奪還する」 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/05/27/9381682

第21題「本名を呼び名乗る運動」 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuuichidai

第85題(続)「本名を呼び名乗る運動」考 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuugodai

第84題 「通名と本名」考   http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuuyondai

通名禁止、40年前から「左」が主張と実践 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/01/05/6681269

「左」が担った「通名禁止」運動(3)  https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/03/23/9359710

これは旭日では? ―韓国カルメ焼き看板2021/10/21

週刊朝鮮 2678号

 韓国では旭日模様が日本軍国主義を表わすものだとして、糾弾の対象となっています。 特に誠信女子大学のソ・キョンドク教授が世界中にアピールしていて、しょっちゅうマスコミに出てきます。 何しろ放射状の図柄があれば、旭日旗だ!軍国主義だ!と抗議のメールを送っています。

 ところで『週刊朝鮮』2678号(2021年10月11日~)を読んでいたら、68・69頁に韓国の달고나 뽑기(カルメ焼き)露店の写真記事があって、その露店の看板に旭日模様があるのを見つけました。↑

 「달고나 달인」は、「カルメ焼きの達人」。 一個2000ウォンです。 絵柄は練炭の火で材料を加熱する様子ですが、その練炭の背後から光あるいは熱が放射状に広がり、旭日模様となっています。

 豚か熊のお尻から矢印が出ているのは、何でしょうかねえ? 売値はこれだ!という意味のようですが、私は初めて見ました。

 ところでソ・キョンドク教授様は、韓国庶民のお店に飾られている旭日の看板に抗議しないのですかねえ。

【拙稿参照】

韓国の新聞に旭日模様       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/06/08/7339314

旭日は軍国主義のマークか?    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/09/06/6566528

道上尚史事務局長のインタビュー―『月刊中央』(3)2021/10/17

https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/10/10/9430861 の続きです。

―韓国と日本がもっと近寄って善隣関係を回復するために、助言をして頂けるとしたら?

将来コロナ19が小康状態に差しかかる時になったら、ビジネスマンや一般学生たちが互いに自由に往来することを切に期待しています。 しかし客観的に余裕を持ってお互いを見つつ、約束と礼儀をちゃんと守る関係になることを望んでいます。 一つ申し上げますと、1990年代までは韓日関係に問題が起きると、韓国が日本に対して憤慨し批判する場面が多かったです。 ところが21世紀、特にここ8~9年の間に、その基本構図が替わりました。 韓国は先ずその点を冷静に直視されるのがいいと思います。 「我々は日本をよく知っている、日本は韓国を知らない」という固定観念では、何も出来ないのです。

 「『我々は日本をよく知っている、日本は韓国を知らない』という固定観念」は、逆に日本の嫌韓派が韓国を論じる際の固定観念も同じレベルですね。 嫌韓派は韓国語すらできないのに、韓国のことは何でも知っているかのような発言を平気でします。 韓国の反日と日本の嫌韓は同じ穴のムジナと言っていい、と私は考えています。

―中国にも勤務されたようです。中国の日本観と韓国の日本観には違いがありますか?

私が2007年~2009年、中国の政府官僚、教授、記者たちとたくさん会いました。 中国の新聞で「中国は二次大戦後の日本に対する理解が足りず、偏見がある」という反省の文章が載っているのを何度も見ました。 「中日関係が順調でない要因が何か」と問う世論調査で「我が中国の民族意識と反日感情」と答える人たちが10%程度あるのを見て、驚きました。 これは中国の短所ではなく長点です。 私がその当時、文化とメディアの担当公使をしていたのですが、中国の北京大学、精華大学、人民大学、北京外国語大学などの名門大学がアニメーション・映画・ドラマなど盛大な日本文化イベントを主催して、学生たちが熱狂する姿に驚きました。 北京大学の学生たちが、私の知らない日本のアニメ曲を教えてくれるほどです。 日本の政治家や社会現象に対する官僚や学生たちの関心が、韓国よりも中国の方が大きいことがよくありました。 浮世絵や歌舞伎などの日本伝統文化に対する関心もそうです。 中国は日本を知るために、常に努力しています。

 韓国に比べて中国を高く評価しておられます。 私の狭い範囲ですが、中国人は個人的に知識が広く優秀な人が多いと思いますが、国家レベルで対日本となるとどうなのか。 これは韓国人でも同様に思えるのですがねえ。 日本を客観的に見る意見が、中国でも韓国でも弱いように感じます。

―韓国が現在繰り広げている対中外交について、助言していただけますなら‥‥。

韓国は経済規模もあり、国際的影響力もありますが、中国に対しては「どうしようもない」という「無力感」が見えると思います。 東南アジアは韓国と比較できないくらいに中国に対する経済依存度が高いではないですか。 それでも幾つかの国は中国に対して堂々と外交・安保の主張をしていますよ。 アメリカ・日本と手を握ることも有効だと言うし‥‥。 そうすることもできるのではないかと思います。 ところで韓国は日本に対して、対中国のような無力感とは正反対というのですか、まるで「日本は韓国の意のままに動かねばならない」、こちらの言うことが違うと思ったら「歴史の軽視であり帝国主義の残滓だ」という式ですよね。 韓国が中国と日本に対して、このようにそれぞれ、ちょっと独特の傾向がありますが、韓国の外交において有利なことではないと感じます。

 「韓国は日本に対して‥‥まるで『日本は韓国の意のままに動かねばならない』、こちらの言うことが違うと思ったら『歴史の軽視であり帝国主義の残滓だ』という式ですよね」は日本人の大多数がそう考えているのですが、果たして韓国人が自分たちのそれを分かっているものなのかどうか。

 韓国人全体が「日本=悪」「韓国=善」という思考に凝り固まっているような印象があります。 なお日本でも一部ですが嫌韓派やネットウヨなんかで「韓国=悪」という思考に凝り固まっている人がいますので、あまり偉そうなことは言えないですね。

―最近、日中韓三国協力事務局で主催した「高齢化とビジネス革新」フォーラムを聞いたのですが、有益でした。 日中韓三国は、高齢化が世界で一番急速に進行しています。特に日本は80年代から高齢化、60年代から環境問題、もっと以前から災害防止に真剣に取り組んできました。 このようなところは、韓国も中国も参考になるでしょう。

ありがとうございます。 高齢化は韓国、中国、日本の共通課題です。 ある人が言っていたのですが、韓国は高齢化の速度が一番早くて「最速」だと、中国は規模が一番大きくて「最大」だと、日本は昔からであって「最古」だと言うのですよ。(笑い) 研究者たちが参加して興味深く具体的な対話を交わしました。 高齢化の他にも、三国のコロナ19対策、都市再生、学生交流、記者交流、農村活性化についてウェビナー(オンライン セミナー)を開催しました。 日中韓三国の政府間では首脳会議と21個の長官級会議があります。私が特にやりがいを感じる分野は環境、災害防止、保健など、三国すべてで切実な問題です。 この分野は何といっても日本が経験を多く蓄積していて、韓中が多くの関心を持っています。 ところで韓中の強化された行政について日本も注目しています。 例をあげると、全国民的医療と保険データベースは韓国にだけあるのですよ。 一言で言って互いに学ぶことが多いのです。

―今日も韓国語でインタビューを進めましたが、事務局長は韓国語もお上手です。 文章も韓国語でお書きになるのですか? 40年近い歳月の間、韓国語もたくさん変わりましたが、お感じになられた点があれば、おっしゃってください。

日本の外務省で英語に加えて韓国語を勉強するよう指示されたのが私の運命であり幸運でした。 韓国についての関心は言葉の勉強から始まりましたね。 韓国語で、人でない無生物に敬語を使うのはちょっとどうですかね? 「ピザが出てこられました。トイレは右側におられます」などなど。 ああ、それよりお年寄りたちの記憶と認知に問題が生じると「痴呆」と言いませんか? 日本も20年前にはそうだったのですが、今はその症状に対する偏見を助長するとして使いません。 当然のことながら、このようなことは韓国の方が判断されるものですが。

 「치매(痴呆)」は韓国ではよく使われます。 漢字で書くと差別語であることが丸わかりですが、ハングルではそういう差別性が分からなくなるのかも知れません。 韓国人に「인지증(認知症)」と言っても通じません。 (終わり)

【拙稿参照】

道上尚史事務局長のインタビュー―『月刊中央』(1)  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/10/03/9428968

道上尚史事務局長のインタビュー―『月刊中央』(2)  https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/10/10/9430861

韓国語のできない嫌韓派   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/03/28/9052386

韓国語が出来ずに韓国を論じる人たち http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/03/16/9047781

嫌韓派と韓流派         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/01/17/7540292

水野俊平『笑日韓論』 (続)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/09/20/7439097

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(12) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/03/09/7240684

道上尚史事務局長のインタビュー―『月刊中央』(2)2021/10/10

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/10/03/9428968 の続きです。

―民主主義とポピュリズムという側面から、韓国の「外交」をどのように見られますか?

一般論として申し上げます。 外交というのは相手方があることで、自分の意のままにならないものではないですか。 大国、小国は言うに及ばず、まず相手方がなぜそのように主張するのか、その国内事情をよくリサーチせねばなりません。 また国際法、国際的慣例も当然把握せねばなりません。 そして色んなオプションの中で、国益上最善の政策を選ぶのですが、国内世論を説得するのも重要です。 国益に一番良い方針が国民に人気がないこともあるのですから。自由でないのが外交です。 相手国を十分研究してこそ外交は可能で、それは屈辱ではありません。 世論、雰囲気、コードで発想するならば、国家の羅針盤がよく機能せず、漂流する憂慮も出てきます。

 「一般論」としていますが、韓国が日本を十分に研究しないまま対日外交を繰り広げていることへの批判ですねえ。 

―外交官でいらっしゃいますから、韓国が日本に対して理解が足りない部分、または国際感覚において韓国が足りないと感じる部分があれば、おっしゃって下さい。

韓国には「私は寿司が好きだ、居酒屋に行く、日本旅行にたくさん行った、子供たちが日本語を勉強している、だから日本をよく知っている。私たちの世代は反日ではない」とおっしゃる方がいます。 しかし楽しんで消費することと、日本に対する外交は別個の問題です。 私が見るには、最近の韓国は対日関係を上手に構築しようと努力する姿が見えません。 国家の次元で相手方の国に対して緻密に研究し、神経を使うことが必要なのですが、対日関係をちゃんと管理し改善しようと作業が見えてこず、日本関連のニュースの一つ一つに即刻的に反応して反発するのが目立ちます。 日本は、韓国の外交・安保・経済の大きな構図の中で、鍵となる国の一つなのですよ。

そして昔に比べて、平均的な日本人の韓国に対する知識が大幅に増えました。 ソウルで暮らす日本のビジネスマンが「丙子胡乱」「三田渡の屈辱」を知っているのを見て、ちょっと驚きました。 目覚ましい経済発展で韓国の存在感が大きくなり、韓国の国内ニュースがすぐさま日本に伝わる時代です。 歴史の問題を内包する中国や東南アジアなど色んな国があり、日本ではそれぞれの国を比較するのでよく見えてくるのですよ。 そのうちの韓国は、日本に対する真剣で客観的な姿勢が一番に必要な国だと思います。

―朴槿恵政府と文在寅政府を経て、日本内で韓国に失望する人たちが多いと聞きますが、実際にそうなのですか?

はい。 実際にそうです。 私の親戚は政治の話に関心がありませんが、韓国を何度も訪問したり、韓流ドラマを字幕なしで楽しんで見る人たちなんです。 7~8年前に私に会った時、「お前は韓国の仕事をしている国家公務員だから言えないのだろうが、私らにとってあの国はもういい、友人になることが出来ない国だとよく分かった」と言うのですよ。平均的な日本人より韓国に親近感がある日本人がこうなのです。 韓国では日本の「嫌韓」を「保守勢力の政治活動」とする見方がありますが、実は違います。

もう一つ、日本の高校生たちが海外修学旅行にどこへ行くのかを集計した数字があります。2002年から2011年までは韓国がいつも1位か2位で、全体の20%を占めていました。 しかし2012年以降、急速に減少し、上位圏から消えました。 今は1%にもなりませんよ。 韓国に修学旅行に行く生徒数が、シンガポールの20分の1、オーストラリア、マレーシアの10分の1、ベトナムの4分の1です。 私が見ても衝撃的でした。 修学旅行は学校で生徒と保護者、先生が話し合って行き先を決めるのですが、これは政治とは関係のないことです。 平均的な日本人が韓国に対する気持ちが離れているということが分かります。

ところで20年前は、韓・日関係が良かったです。 1999年から2002年のワールドカップ共同開催前のころ、韓国の人たちがこんなことをよく言っていました。 「日本は誤解するな。私たちは成熟した社会だ。何でも韓国が正義、日本が悪だと規定するのではない。私たちは日本を客観的に見て、建設的な関係を結ぶことが出来る。」

その契機となったが1998年の金大中大統領の日本訪問でした。 日本の国会演説の中で「IMFの時、日本はどの国よりもたくさんの協力をしていただきました。 心から感謝します」とおっしゃいました。 その時、私を含めて日本国民が大変新鮮に感じ、感銘を受けました。待ちに待った指導者がやっと登場したんだなあ、日本を理性的・建設的に見て、感謝することは感謝して、国益上において日本の重要性を深く知っておられる方が登場したんだなあ、これから両国は信頼と協力関係を持つことができると期待しました。 ところで、このごろの韓国はどうですか? 大きく後退したように見えます。

 韓国人に読まれることが前提のですので言い方はソフトですが、韓国に対してなかなか言えなかったことを吐き出したという感じですね。 

―韓日関係がうまくいったならば、という気持ちが誰よりも切実でいらっしゃるのに大変残念です。

はい、一番最初に紹介しましたソウル大学教授の指摘のように、「日本はもうよく知っている。もう知ろうとする努力はしない」というのが今の韓国人の実態に近いです。 一時希望を見ただけに、余りにも残念です。 日本は過去40年の間に韓国を三回「発見」しました。 最初は1984~1988年です。 1984年に日本のNHKで韓国語講座を始めたのですよ。 88オリンピックは非常に影響が大きかったです。 それ以前は、韓国は学生デモや軍部独裁、拷問など暗い印象でしたが、この時期に漢江の奇跡、文化、スポーツなど多様な姿を知るようになりました。 二番目は1998~2002年です。金大中大統領の訪日と韓日ワールドカップ共同開催など、希望を持つようになった時期でした。 三番目は2012年以降現在までです。最初と二番目は肯定的な発見でしたが、三番目は韓国に対する失望と「距離を置く」状態です。 これは一時的な現象ではなく、構造変化と見なければならないものです。 韓国に対する偏見、優越感から生まれたものではないのですよ。 韓国をリスペクト(尊敬・敬意)していた人ほど失望が深いと言うこともできます。

 「三番目は2012年以降現在までです‥‥韓国に対する失望と『距離を置く』状態です」とありますが、これは事実ですね。 2012年の8月に、時の李明博大統領は竹島に上陸し、天皇へ謝罪要求発言をしました。 これがきっかけで、日本の対韓感情が険しいものになったのでした。

 それを具体的に示す数字は、道上さんは日本高校生の修学旅行先が2011年までは20%だったのに2012年以降急減し、今は1%以下だと指摘しておられました。 それ以外に日本から韓国への観光入国者数の急減も挙げておきます。 2012年9月まで毎月30万~35万人だった観光客は同年10月以降20万~24万人に激減し、回復することがありませんでした。

 今の日本の対韓感情の悪化は、李明博大統領から始まったと言えるでしょう。 日本では韓国の進歩の反日にうんざりしたのか、保守に期待する人が多いようです。 しかし保守の李大統領が自ら率先して反日行動し、それが日本の対韓感情悪化につながって今に至っているのですから、韓国の反日は進歩も保守も関係ないということに留意する必要があります。

 「韓国に対する偏見、優越感から生まれたものではないのですよ。 韓国をリスペクト(尊敬・敬意)していた人ほど失望が深いと言うこともできます」は、韓国人に是非知ってほしい日本人の本音ということなのでしょう。 しかし彼らが共感するのかどうか、たとえ共感できても、口になかなか出せないのが今の韓国ですからねえ。

道上尚史事務局長のインタビュー―『月刊中央』(1)  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/10/03/9428968

李大統領の発言        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/08/18/6546033

『朝鮮日報』記事に出てくる若宮啓文のコラムとは http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/11/18/6636750

道上尚史事務局長のインタビュー―『月刊中央』(1)2021/10/03

 韓国の雑誌『月刊中央』2021年9月17日号に、「[特別招待席] 道上尚史 前日中韓三国協力事務局長が見た韓・日関係」と題するインタビュー記事がありました。 http://jmagazine.joins.com/monthly/view/334605

 道上さんは日本の外交官で、韓国語でインタビューに応じるほどの語学の達者な方のようです。 韓国人が読むことを前提とするインタビューのためか、発言内容はソフトですね。 日本語話者が語る韓国語ですから、頭の中の意識は日本語、それを素早く韓国語に訳しながら口に出す作業となったようです。 ですから私には発言内容が分かりやすく、ほとんど辞書なしで読むことができました。

 ちょっと興味深く読みましたので、翻訳してみました。 合間に私の感想を挟みます。

―道上尚史(63)前日中韓三国協力事務局長は、日本外務省を代表する「韓国通」外交官だ。 1984年、韓国に初めて来た彼は外交官生活37年間のうち、韓国で五回、全部で12年間を勤務した。 東京大学法学部を卒業し、米国ハーバード大学で修士学位を取った。韓中の二カ国で公使を歴任した日本外交官第1号だ。 韓国の社会・文化の事情に明るく、韓国語を駆使する能力に秀でており、国内でも認知度が高い。事務局長の任期が満了し、日本に帰任する彼に会って、国と組織を離れて一個人として37年を見た率直な感想を聞いた。

―道上局長は1984年に韓国に始めて来て、延世大学語学堂、そしてソウル大学外交学科修士課程で勉強されたと聞きました。 その時の印象的な経験などを覚えておられるでしょうか?

学生デモが多く、催涙弾も飛んでいる激動の時期でしたが、教授や学校の友人たちみんなが大変親切で、毎日面白く過ごしました。 ある日講義で、ソウル大学のお年を召した教授が「我々は日本をすでによく知っている、勉強する必要はないと見ているが、それは大きな錯覚」だと言って、「韓国は実際に日本をよく分かっていない。 我々が知っているという日本は、本当の日本ではない。 学生諸君は日本を知らないと認めて、一生懸命に勉強しなさい」とおっしゃいました。 核心を突く勇気ある指摘に、私は感銘されました。韓日関係に困難が多いですが、これから明るい未来があり得るんだという光明を見た気分でした。

―外交官として長い間韓国を見守りながら、韓国社会が持っている長所・短所も多く見て感じられたことでしょう。 率直なお言葉を聞きたいと思います。

効率性が高い点、ビジネスや勉強において目標を達成する集中力は、韓国の方たちの長所ですね。 半面、目に見えない部分や中長期的な視野がちょっと弱いと感じることがないことはないです。 私の知り合いのご夫婦ですが、夫が韓国人、夫人が日本人です。 その子が勉強や集団生活があまりよく出来なかったといいます。 日本の小学校の先生は生徒一人一人ずつをよく面倒見てくれて、韓国ではそうではなかった、韓国は勉強がよくできる生徒のための学校だと感じたとおっしゃるのです。 また韓国社会に大きな衝撃を与えたセウォル号事件、そのために海警(日本の海上保安庁に相当)を解体するというニュースに驚きました。 日本の常識では海警を強化せねばならないのですが、なくすというのですから。 もう一つ、日本のノーベル賞受賞者が言ったことなのですが、「基礎研究は日本人の特性に合っている。 30年間してきた研究が成果を得られるのかどうか、成果を本人が生きている間に認められるのかどうか分からない。 お金や名誉を考えれば出来ないことだ」と言うのです。 韓国はある意味で効率性が高いですが、目の前の目標だけを追求するならば他の重要な要素が犠牲になるしかないでしょう。 これからもっと成熟した社会になって克服せねばならない課題でしょう。

 「韓国は勉強がよくできる生徒のための学校だ」という話は、時々聞きますね。 学校の先生が成績のいい子を露骨に称賛・優遇するということなのですが、本当なのですかねえ。

―日本の『文芸春秋』に発表された文を読みましたが、韓国の知人が「韓国は圧縮成長で短い期間にたくさんのことを成し遂げたが、抜けたところも多い。 民主主義に対する理解も足りない」と指摘したということでした。 成熟した民主主義とポピュリズム問題はアメリカやヨーロッパ、南米を含めてたくさんの国の課題ですが、韓国の民主主義と政治について、また保守と進歩の葛藤について、どのように感じておられますか?

大声でスローガンを叫んだり誰かを糾弾することが民主主義の核心ではない、ということではないでしょうか。色んな意見を収れんする過程、冷静で客観的な実務把握、緻密な専門知識、それが民主主義国家に必要な条件でしょう。 英語でPrudent(冷静でちゃんと組み立てられた)国家運営です。 韓国の保守・進歩に対して、あれやこれやと言えませんが、どの国であれ、理念やイデオロギーだけでは国家運営は不可能ですよ。 しばしば日本人は韓国の保守を好むと言われますが、過去40年間に日本で一番評価が高い韓国の指導者は金大中元大統領なのです。

 「過去40年間に日本で一番評価が高い韓国の指導者は金大中元大統領」というのは、40年間に限ればその通りでしょうね。 私はその以前の朴正煕大統領を一番高く評価しているのですが、それ以降となるとやはり金大中大統領ですね。

―最近韓国で労働運動やフェミニズムの議論が活発ですが、日本はどうですか? 日本でも学生運動をしていて政治家になった方たちがいるのではないのですか?

日本でははるか昔である1970年代初めに、急進的な女性運動が、そして私が生まれるより前に労働運動が猛威を振るっていました。 過度な運動に対する反省もありました。日本の学生運動は私より15~20年先輩たちが参加していました。 ところで韓国と日本の学生運動出身の政治家たちの間には大きな違いがあるようです。 日本では若い時にやった運動に対して徹底した反省がありました。 政治・社会・人間に対する理解が足りなかった、理念や主義の一つ二つで複雑な国政を担おうとするのは無理があったという深い反省から政治を始めたといいます。 韓国はちょっと違っていると思っています。

 日本では、学生運動・市民運動出身がそのイデオロギーを維持したまま政治家になった例は、韓国に比べたら確かに少ないですねえ。 韓国ではそういった運動が政治家になるためのステップとして機能している感があります。