ユーチューブ「韓国左翼」を見る ― 2026/05/02
最近、興味深いユーチューブ動画を見ました。 「元極左の視点から見る韓国左翼 なぜ『韓国』は左翼の王国なのか?」と題する動画です。 https://www.youtube.com/watch?v=u7SQ8WKaWto&t=2877s
近年の韓国では左派と右派の対立が激しいので、私はそれなりの関心があります。 ですから韓国左派についてもある程度の知識はありますが、さほど詳しいものではありません。 そんな私の断片的な知識でもってしても動画の内容には整合性があったので、概ね正しいのだろうと思いました。 あるいはまた「ああ、そういうことだったのか!」と新たな知識を得た部分も多かったです。
1980年代に韓国左派の若者は日本の新左翼の影響を受けていたというところは、そういうことがあったなあと思い出されました。 というのは、1970年代まで盛んだった日本の新左翼=過激派の活動が衰えてきて、その左翼運動を離脱した元活動家たちは大事にしてきた左翼関連書籍を古本屋に売り飛ばすようになったのです。 〝こんな本、誰が買うのか?”と思っていたら、何と韓国人が買っているというのでした。 その時は〝えー! 本当かな?”と疑問でした。
ところがだいぶ後になって、韓国の作家である孔枝泳が自分の体験した左派活動を元に書いた短編小説「何をなすべきか(原題は「무엇을 할 것인가」)」を読んだ時に、彼らが合宿しながらマルクス・レーニンや日本左翼の本を熱心に読み合わせる場面が出てきて、それは本当だと分かりました。 なおこの小説は韓国語の勉強のためにたまたま見つけたもので、一般にはほとんど全く知られていません。
韓国左派は日本の新左翼と直接交流していなかったと思います。 当時の韓国では国家中央情報局(KCIA)による監視が厳しく、日本人との人的交流は余りにも目立つからです。 ですから1980年代の韓国左派は日本新左翼の本を読み、そしてヘルメット・鉄パイプ姿で時には火炎瓶を投げて果敢に闘争する映像を見てその影響を受けていた‥‥、つまり間接的影響だった、あるいは真似していたと考えているのですが、どうでしょうか。
日本新左翼は1980年代以降に衰退し、今や彼らがニュースに出てくると〝へー!まだやっているのか!まるで化石!”と驚嘆しますね。 ところが韓国左派は20世紀末の金大中政権以降、衰退するどころか元気になってきています。 彼らは左翼思想から転向しないまま、韓国の進歩政権の要職に就いているのです。 若い頃の左派活動履歴が立身出世のタネになっているというわけです。 また労働組合に入り込んでストライキ扇動をすることも多いですね。 韓国左派は活躍の場を広げていき、逆に日本新左翼はオールド左翼とともに衰弱していっていると言えます。 別に言えば、韓国では左派が優位に立って右派は後退しているが、日本では逆に左派が凋落して右派は優勢となっているということです。
「韓国左翼」というユーチューブを見て、思わず昔を思い出し、久しぶりに興奮を覚えた次第。 ところでこのユーチューブを作成している「元カゲキ派のモトカ」という人、資料をどう集めてきたのでしょうかねえ。 ハングル資料ばっかりでしょうから翻訳してくれる仲間がいるのかも知れないし、日本新左翼と韓国左派を監視する公安関係者からの協力があったのかも知れません。 経緯はどうであれ、韓国左派は今後も大きな影響を与えるでしょうから、このユーチューブでは韓国社会を分析する際の新たな知識を得たと思いました。
【韓国左派に関する拙稿】
韓国の進歩派の解説―木村幹 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2025/06/08/9781008
韓国民主化世代の性犯罪 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/07/30/9273345
Me Too:韓国を揺るがす著名文化人のセクハラ暴露 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/02/28/8795521
韓国Me too運動の記事 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/04/05/9231706
光州事件は民主化運動として普遍化できるのか? https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/05/25/8859204
光州事件の方がましだった―朝日ジャーナル(2) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/01/20/8772995
光州事件のほうがましだった―朝日ジャーナル http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/01/15/8769881
「5・18光州事件」小考 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/10/25/8712337
1970~80年代の韓国民主化連帯闘争 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2011/01/16/5639024
全国行脚する活動家たち―韓国 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2011/10/15/6157065
韓国の進歩系も使う「白丁」 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/01/17/9202929
「通常‐両班社会」と「例外‐軍亊政権」―田中明 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/06/07/9497623
「例外」が終わり「通常」に戻る―田中明(2) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/06/14/9499717
「両班」理念が復活した韓国―『朝鮮日報』(1)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/05/17/9491298
李朝の「両班」理念が復活した韓国(2) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/05/24/9493453
李朝の「両班」理念が復活した韓国(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/05/31/9495653
日韓市民運動の悲観的記事-ハンギョレ新聞 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/10/04/9721593