在日のアイデンティティと「赤い人」2025/12/27

 在日と本国韓国人との間の距離はどんどん大きくなり、それだけ在日は日本への同化がより顕著になってもはや日本人との違いがなくなった、ということです。 そのような在日の同化は自然現象というほかなく、止めようとしても止めることのできないものです。 

 14年前の本ですが、文芸春秋『日本の論点 2012』の「在日コリアンについての基礎知識」に次のように記されています。

(在日コリアンは)このように日本への社会的・文化的同化が進むなかで、韓国籍を有していても韓国を祖国としてそこに帰属する意識をもてず、日本においては韓国籍でありながら「外国人」としての意識を持ちにくい存在―この民族と国籍のずれの問題にどう取り組むか、韓国人もなく日本人でもない「〈在日〉コリアン」として、みずからのアイデンティティとエスニシティをどう確立するか、これが若い在日コリアンの抱える新たな課題として浮上しているようだ。 (文芸春秋『日本の論点』2012年1月 715頁)

 「アイデンティティとエスニシティ」は「民族性」と言い換えることができます。 民族性というのは普段の日常生活の中で自然と造成されるもので、言葉はもちろんのこと、ものの考え方や立ち居振る舞い、行動様式までも含みます。 そうならば過去の植民地史に由来する在日は今や日本にほぼ完璧に同化しており、民族性は韓国ではなく日本そのものと言うしかありません。 従って在日の「民族性の確立」とは、今は少なくとも韓国人としての民族性ではあり得ないことになります。

 また「韓国人でもなく日本人でもない在日コリアン」という独自の民族性は、〝表面は韓国人だが実際の中身は日本人”という曖昧模糊な存在に他なりません。 在日が海外旅行する時は韓国のパスポートを持っていくしかなく、そこでは「私は韓国人でも日本人でもありません、在日です」と言っても通用しないのです。 ですから在日の「みずからのアイデンティティとエスニシティをどう確立するか、これが若い在日コリアンの抱える新たな課題」は日本国内に限定して暮らす個々人ではあり得ますが、国際的にはあり得ないということです。 

 一方、朝鮮総連の熱誠活動家や朝鮮学校に通っている在日はそのような同化に抗して、自分たちは日本人ではないと明確に主張しています。 ところがそんな彼らも学校の外に出ると家族や友人とは日本語を使い、日本の文化にたっぷりと浸かって、やはり日本人と全く変わらないほどに同化していっています。 だからこそ北朝鮮をこよなく愛する彼らは自分たちだけで固まり、日本人との違いを際立たせようとするいわゆる「赤い人」が活躍しています。 そのあたりはパク・ユソンさんという朝鮮学校出身者の在日がユーチューブで語っておられますね。 やはり朝鮮学校でも「赤い人」は少数のようです。

 そんな赤い在日学生たちが2025年正月公演のために祖国の北朝鮮を訪問し、最高尊厳の歓迎を受けており、その画像が公開されています。  https://www.youtube.com/watch?v=uhaJzHUpP0Y  当人たちは大感激のようですが、祖国の人たちとの違和感というか摩擦感はなかったのでしょうか。 そして来たる2026年正月の「설맞이 공연(迎春公演)」に参加する在日学生たちが、この12月3日に北朝鮮に向かったという報道がありました。 「赤い人」たちの熱意はすごいですね。 彼らは日本国内では「リンゴ」(皮は赤いが中身は白い)ですが、北朝鮮に行けば「トマト」(中身まで赤い)になるようです。 そのまま現地に移住すれば、「아버지 원수님(父なる元帥様)」の懐に抱かれつつ生活することになって幸せな人生を送れると思うのですが、そうならないのが不思議ですね。

 2025年の「설맞이 공연(迎春公演)」の動画は次にあります。   https://www.youtube.com/watch?v=7SVaapoRT_Y 

 私の考えでは、「赤い人」たちは「元帥様」への「敬愛」は半端ではありませんから、日本にいる限り一般社会とはさらに断絶し孤立化していくだろう、だからこそ彼らの団結は強くなっていくだろうと予想しています。

 

【北朝鮮に関する拙稿】

在日朝鮮人が話す北朝鮮      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/12/19/9643754

この世はすべて金―北朝鮮     https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/05/25/9687110

北朝鮮には税金がない、その代わり‥‥http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/02/18/9660183

脱北して戻ってきた在日      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/02/25/9662215

核問題は北朝鮮に理がある―金時鐘氏 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/01/23/9653071

小松川事件は北朝鮮帰国運動に拍車をかけた https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/12/02/9639109

朝鮮民主主義人民共和国の正統性は何か? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/11/21/9636056

朝鮮総連幹部らには月3万円の教育費支給 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/10/24/9627897

今日は「太陽節」-朝鮮総連に教育費2億7千万円 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/04/15/9577360

北朝鮮の「갓끈 전술(帽子の紐 戦術)」 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/01/08/9022748

「朝鮮半島の非核化」は「北朝鮮の非核化」とは違うのでは? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/03/08/8799658

北朝鮮の核開発の目的   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/09/07/8671910

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