北朝鮮の核開発の目的 ― 2017/09/07
北朝鮮の核兵器について、その目的は北朝鮮自身が「朝鮮半島の核問題は朝米間の協議事項」と言っている通り、アメリカとの直接交渉にあります。 ところが、北の核は‘自らの体制を守るために核を開発している’という説が世に出回っています。
北朝鮮自身が実際にそのような発言をしているのかどうかですが、それが見当たりません。 つまり北朝鮮が金正恩体制を守るという目的のために核開発をしているのかどうか、誰も確認していないのです。 ということは、これは周囲で勝手に憶測して言っているだけのものということになります。
しかしこの憶説が独り歩きしているようで、北に対して‘体制保障の対価として核の凍結’とか‘独裁体制容認と核開発放棄のバーター’というような意見が多く見られます。 専門家らしき人がこういう主張をするのには困ったことだと思います。 またこれに煽られたのか、報道では日米韓の政府関係者からこの憶測が語られています。
北の核開発の目的は、上述したようにアメリカとの直接交渉です。 体制維持ではありません。 そもそも既に核を持っているのですから、体制維持は当然のことであって、交渉の材料になり得ないものです。 それでは核開発の真意は一体何かです。 それは北朝鮮がこれまで国家方針として公表してきたところから読み解くことができます。
北朝鮮の最大の国家目標は自らが主導する祖国統一です。 南朝鮮解放路線とか赤化統一とも言います。 この目的達成のために、①自主的、②民主的、③平和的の三段階を想定しています。
「①自主的」というのは、統一事業は他国の干渉を排するというものです。 つまり朝鮮半島からアメリカを追い出すことです。
「②民主的」というのは、南朝鮮(韓国)に親北民主政権(人民革命政権とも言います)を樹立することです。
「③平和的」というのは、①と②の段階を経て南朝鮮と平和的に統一するということです。
今の北朝鮮が核開発で「アメリカとの交渉」を叫んでいるのは、「①自主的」の段階にあってアメリカに朝鮮半島を干渉させないために協議しようと言っているのです。
この「①自主的」の段階を達成するための核なのです。 だからこれを見落としたまま‘体制保障の対価として核の凍結’などと主張しても、北にとっては既に核を持っている以上、体制維持は当然のことであり、アメリカの撤退を勝ち取れば次の「②民主的」段階へ、さらに「③平和的」祖国統一へと突き進むだけです。
北の最終目標は大韓民国を否定し、朝鮮半島全体を朝鮮民主主義人民共和国にすることだということを忘れてはなりません。 この祖国統一を成し遂げる過程として、核開発を決意したのです。
【拙稿参照】
韓国に親北民主政権=人民革命政権が樹立される可能性 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/02/01/6315655
自主的、民主的、平和的統一 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/04/22/6421457
南朝鮮解放路線はまだ第一段階 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/03/30/6762019
北朝鮮を甘く見るな!(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/07/23/7395972
北朝鮮を甘く見るな!(2) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/07/28/7400055
北朝鮮を甘く見るな!(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/08/02/7404064
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