博多せんしょう ― 2006/12/07
『国立歴史民俗博物館研究報告124集』に島村恭則さんの「朝鮮半島系住民集住地域の都市民俗誌」という論文が掲載されています。福岡のいわゆる朝鮮部落を詳しく調査研究した労作です。
そのなか(206~207頁)に、戦後の闇市から発展した大津町商店街が1987年に住宅改良・再開発事業に伴い消滅し、同年に完成した「博多せんしょう」に店舗を移したとあります。 この「せんしょう」を論者は、「鮮商」の意であると解説しています。そして前後の文脈から、彼はこの「鮮」を朝鮮の略称と考えているようです。 しかし、この「センショウ」は千代商業協同組合が経営するものですから、おそらく「千商」であって、「鮮商」ではないと思われます。従って勇み足的な解説と考えられます。 http://capella.fukunet.or.jp/member/sensho/
それはともかく、この論文は朝鮮部落を本格的に調査したもので、このような研究は寡聞にして知りません。私とは一部に見解を異にするところがありますが、かなり興味深いものですので、多くの方に読まれるようお勧めします。