朝鮮の雑穀食2007/01/11

 元来朝鮮民族の食文化には、雑穀が重要な地位を占めていました。  落合雪野「朝鮮半島における雑穀の民族植物誌」(新幹社『「もの」から見た朝鮮民俗文化』2003所収)という論考では、次のように論じています。

「これに対し韓国では現在でも雑穀が畑作物のひとつとして広く栽培され、アワを中心に多くの地方品種が活用されている。同時に雑穀は日常生活にごく普通に利用される身近な食材である。‥‥  日常食にも行事食にも取り入れられてきた雑穀が、朝鮮半島の食文化に欠かせない穀類になっている点も考えなければならない。朝鮮半島における食文化の特徴のひとつに食材の多様性がある。‥‥アワ、キビ、モロコシ、ハトムギ、ヒエについてそれぞれが特徴を持った穀類として認識され、その持ち味が尊重されてきた‥‥  雑穀という言葉から、価値の低い穀類といったネガティブなイメージをもつ人もいるだろう。だが、朝鮮半島ではその本来の意味のとおり多様な穀類としての雑穀がいまも生きているのである。」(196~197頁)

 朝鮮の場合、米だけでなく雑穀も重要な食料であったということです。  従って米だけを取り上げて、「日本が米を収奪した。朝鮮人は雑穀ばかり食べさせられた」などと歴史を語るのはナンセンスなのです。

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