「通名禁止」主張はレイシズム2012/12/29

 通名というのは、戸籍あるいは外国人登録(今は在留管理制度)に記載される本名以外に、日常の理由あるいは職業上の理由等々、それぞれの事情があって実際に使われている名前のことです。     本名が記載される公的書類が必要な場合を除けば、日常生活において自由に定めることができるし、使用することもできます。これは日本人も外国人も同じです。

 しかし日常生活で通名を使っていても、運転免許や住民票等々の提示が求められたときに本名が知られることになります。つまり本名は隠そうとしても隠し切れるものではありません。

 ところで日本人では知事や国会議員など、公職にある政治家が通名を使っている場合があります。また一般人でも通名を使っている人は結構多いものです。

 外国人ではそれぞれ個々人の様々な事情によって通名を名乗ることがあります。日本風の名前を通名とする場合もありますが、そうでない場合も少なくありません。また民族性に目覚め、日本風の本名を嫌って民族風の通名をつける人もいます。通名は日本人同様につけることが可能ですから、日本名であろうと何であろうと、本人の責任においては何でも構わないことです。

 このような通名について、我が国では「通名禁止」を主張する人がかなりいます。この人たちは特定国籍人(在日韓国・朝鮮人)の通名使用に反対し、日本人や他の国籍人の通名使用には何も言わないという特徴があります。

 彼らが何故こんな主張をするのかといえば、在日韓国・朝鮮人の犯罪報道で犯人が通名(日本名)で報道されて本名が出ないことに対する不満があるようです。しかしこれは報道する側の問題であって、当人の通名使用とは関係のないことです。なぜなら警察は本名も含めて発表しており、裁判では被告人氏名に本名が出てくるからです。

 また彼らは在日韓国・朝鮮人の多くが日本名を通名としていることに対して、日本人に成りすましているとして不快感を露骨に示しているようです。しかし本来通名は自由につけることができますから、日本名であろうと何であろうと関係のないことです。

 また世界史的に見て、外国人が他国で生活する際に、その国風の名前を通名とするのは珍しくありません。日本でも外国人相談事例に、日本名をつけたいがどうすればいいか、という問い合わせがあります。外国人が日本名を通名とするのは、在日韓国・朝鮮人に限る話ではありません。

 しかし彼らの不満あるいは不快感が在日韓国・朝鮮人に対して「通名禁止」という主張となって向けられ、時には帰化して日本人になった人にまでターゲットとしているところからみると、これは本名・通名の一般的問題ではなく、特定民族(在日韓国・朝鮮人)を晒し者にしたいというレイシズムから発せられた問題であると判断されます。

 しかも彼らは自分の本名を明らかにしない場合がほとんどです。こういった人たちが他人の「通名禁止」を主張するのですから論理的に破綻しており、説得力がまるでありません。

 けれども「通名禁止」主張はレイシズムという感情から発せられているので、今後も根強く生き残る可能性があります。レイシズムは犯罪と同様で品性卑しいものです。研究対象にはなり得ますが、取り扱いにはやはり注意が必要でしょう。

 本ブログにもレイシズムのコメントが相次いでいます。品のない投稿は公開しないようにします。