朝鮮戦争時における性事情の一風景(1)2013/10/16

 崔吉城『韓国民俗への招待』(風響社 1996年9月)という本のなかに、韓国の売春について分析した論文があります。そのなかで、論者が朝鮮戦争時に体験した性暴行や売春について思い出話風に報告しています。興味深いので一部を紹介します。

‥‥私の故郷は三八度線(休戦ライン)付近の小さなむらである。‥‥性に関しても儒教的な倫理が強く、女性の貞操や淑女としてのモラルを守ることには厳しかった。       1950年代初め頃‥‥村の青年の中にソウルのある大学の学生がおり、その青年が村の女性と恋愛したのである。‥‥朝鮮戦争が起きると、その青年は北朝鮮の運動員となり彼女はそれに協力した。しかし青年は結局越北してしまい、彼女は村に残されてしまった。そして韓国軍が入った時、彼女は共産主義者として軍人たちに集団暴行されたのである。その後、中国人民解放軍が侵攻して村に入った時、村人は極端に恐れたが、彼らは意外におとなしかった。女性に振り向きもせず、性暴行は一切なかった。老人には煙草や薬を与えたりしたので、村人は武力は弱くても良い軍隊だと思った。‥‥(114頁)

休戦直前から村のまわりには米軍が駐屯するようになった。村では韓国軍や国連軍が入ることを歓迎したが‥‥国連軍という軍隊に性暴行が多いのには驚かせた。       畑仕事をしていた若い女性が、米軍のジープで連れ去られ集団性暴行された事件があり、隣村では性暴行した黒人を殺してしまうという事件も起こった。そうしたニュースはすぐ村々に広まり、若い女性は老人のように仮装したり子供をおんぶしたりして隠れたが、彼らは犬を連れてきて探したりした。性暴行には若い女性だけでなく少年も対象になった。私の友人などは、畑で仕事を手伝っている時に米兵が現れ、性器をなめさせられたり口に入れられたりした。       私の隣家にも若い娘がいた。ある夕方それを知った二人のイギリス兵がその家を急襲し、一人は彼女を捕まえて部屋の中で暴行しようとし、一人は銃をもって見張りをしていた。それを見かねた彼女の祖母が、危険を覚悟で鉄製の熊手鍬を持って板の間を叩いたのである。驚いた彼らが逃げだす光景を私は鮮明に覚えている。まさに、儒教道徳が西洋に奪われる恐ろしい時期であった。(115~116頁)

その最中に若い売春婦たちが大勢村に現れた。村人は美女たちを歓迎した。まるで彼女たちは村の救い主のようであった。彼女たちがいなければ村の女性は全部性暴行されてしまうという恐怖を感じていたのである。性暴行を免れるために村人は売春を歓迎した。売春婦たちに部屋を貸して収入を得られるし、村は性的安全が守られる。村人たちは決して売春婦を軽蔑しなかった。‥‥‥米軍MPや警察当局は売春を一応取り締まったというが、私の村では一度もなかった。       村は売春村となって西洋文化と接するようになった。売春婦と仲良くする人も多く、ある村の男は売春婦と寝たりして夫婦喧嘩になったりもした。村の女性は売春婦の衣装から相当影響されたし、男性は米軍の軍服などを作業服にした。一時的ではあるが村は経済的に豊かになり、私たちは缶詰の食品やコーヒーの味も味わった。‥‥(116~117頁)

コメント

_ 河太郎 ― 2013/10/19 11:42

彼女らがどのような経過で売春婦となったのかについて記述している可能性のある本があります。

『軍隊と性暴力  朝鮮半島の20世紀』宋連玉・金栄編著(現代史料出版 2010年4月30日 初版)
297頁
<実際に軍「慰安婦」として働くことになった女性達の例からは「自発的動機」が殆どなかったのではないかと思われる。

ある女性は10代後半の未婚女性で、1951年春まで咸鏡南道永興郡に住んでいた。
ある日、韓国軍情報機関員、いわゆる北派工作員たちにより拉致され、1日で韓国軍の軍「慰安婦」へと転落した。彼女はこのことに関する証言を拒んだが、拉致した北派工作員2名によりこの事実が証言された。

すべての軍「慰安婦」たちがこのようであったと推定することは難しい。

だが、他の「慰安婦」にされそうになった女性の証言からは、いわゆる「アカ」と疑われた状況におかれたため、軍人に殺されるかもしれないという恐怖心から軍「慰安婦」となることを拒めなかったことがわかる。

また、強姦の結果、「慰安婦」とならざるを得なかったケースもある。

戦争による貧困、家族から保護・扶養されることが難しいという困難な条件が幾重にも重なり、女性達は軍「慰安婦」にならざるを得なかったのかもしれない。>

この本の内容が正しいとすれば、まさに、韓国軍「慰安婦」の強制連行ですね。
日本軍が朝鮮人女性を強制連行して慰安婦にしたというのは、まったくのデッチあげですが。

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