「三韓」の用例(6)―沖縄金石文2015/06/30

 時期は1458年とかなり下りますが、沖縄の金石文資料のなかに「三韓」が出てきます。 「万国津梁の鐘」の銘文です。 その冒頭部分は次の通りです。

琉球國者南海勝地而 鍾三韓之秀以大明為  輔車以日域為脣歯        (釈文)琉球国は南海の勝地にして、三韓の秀を鍾め、大明を以て輔車となし、日域を以て脣歯となす         (現代語訳)琉球国は南海の優れた土地で、朝鮮の優秀な知恵を集め、中国や日本とは唇歯輔車の関係にある。

 「唇歯輔車」とは、唇と歯と頬と歯茎のことで、互いに密接で助け合う関係にあることを意味します。 琉球は中国や日本と密接な関係にあることとともに、この鐘銘文にある「三韓の秀を鍾(あつ)める」が注目されます。 15世紀ですから、李氏朝鮮の初めの時期です。 この「三韓」は朝鮮を指しているのは明らかで、その千年以上前の馬韓・弁韓・辰韓の意味ではあり得ません。

 この鐘銘文は当時の琉球が朝鮮と深い関係にあったことを示しており、琉球人はこの朝鮮を「三韓」と呼んでいたことが分かります。

 このように「三韓」が朝鮮全体であって半島南部の馬韓・弁韓・辰韓ではないという認識は、東アジア全体に広がっていたと言えるでしょう

「三韓」の用例(1)―中国古代   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/06/08/7664404

「三韓」の用例(2)―朝鮮古代   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/06/13/7667715

「三韓」の用例(3)―日本古代    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/06/18/7671200

「三韓」の用例(4)―朝鮮古代金石文 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/06/22/7678138

「三韓」の用例(5)―中国古代金石文 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/06/26/7680561

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