二重国籍かどうか微妙な場合 ― 2016/11/13
二重国籍は国際化とともに発生するもので、だから国際化が進めば進むほどに二重国籍は多くなり、また複雑で微妙な二重国籍者が出てきます。 二重国籍かどうか、微妙な例を挙げてみます。
A国の外国人男性(「外男」とする)と日本人女性(「日女」とする)夫婦の間に子供(「子」とする)がいます。 この子の国籍は何か?です。
普通に考えれば、国籍の父母両系主義によりA国と日本との二重国籍です。 しかしこの夫婦が事実婚であれば、子は非嫡出子ですから単一日本国籍になります。 つまり両親が法律婚か事実婚かで、子の国籍が違ってくるのです。
次に夫婦が法律婚だとして、婚姻はどの国でも年齢・相手の範囲・重婚等で制限があり、その制限は各国によって違います。 そうするとこの夫婦の婚姻届は日本では合法でもA国では違法となる場合が出てきます(その逆もあり得ます)。 つまり婚姻届は日本では受理されたがA国では受理を拒否されていたとしたら、子の国籍はどうなるのか? 日女から生まれているので日本国籍は間違いありませんが、二重国籍になるかどうかは微妙になります。 日本ではA国との二重国籍だが、A国ではその国の国籍者ではないから単一日本国籍、となるのかも知れません。 この場合は二重国籍でもあり単一国籍でもあるということになります。
さらに子が非嫡出子で単一日本国籍だとしても、外男が自分の子供なのだからと認知届を出した場合どうなるのか? この場合でも、認知届をA国と日本の両方に出す場合と一方の国にだけ出す場合とがあります。 いずれの場合でも、二重国籍となるのかそれとも単一日本国籍のままであるのか、微妙になります。
二重国籍の発生原因は出生(血統や出生地)、婚姻(女性は婚姻に伴い男性側の国籍を取得する国がある)、認知、帰化(国籍離脱困難国からの帰化者は二重国籍を解消できない)などがあります。 上述のように出生(血統)の場合でも二重国籍かどうか直ぐには判定できない微妙な例がかなりありますから、他の場合を含めると相当な数になります。
国籍判定はそれぞれの国の主権行為ですから、日本政府は本人が日本国籍を有しているかどうかの判定は出来ます。 しかしもう一つの国の国籍を有しているかどうかはその国に聞いてくれ、こちらは知らぬ、と言わざるを得ません。
二重国籍者の参政権を制限しようとする動きがありますが、このような微妙な例を念頭に入れているのか、疑問になります。
権利の制限は明確な一線を引かなければなりません。 しかし‘二重国籍でない’ことを証明できる書類はあり得ませんから、この一線を引くことは不可能です。
従って二重国籍者の参政権制限は非現実的な考え方と言えます。
【拙稿参照】
蓮舫二重国籍問題のまとめ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/11/03/8241041
二重国籍には様々な姿がある http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/29/8237969
私が二重国籍に関心を持った訳 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/28/8237467
二重国籍でないという証明は困難 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/23/8234323
二重国籍は複雑で難しい http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/20/8232627
蓮舫はもともと二重国籍でなかったのでは? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/16/8230218
蓮舫の二重国籍問題―産経の間違い http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/14/8226719
蓮舫は国籍選択宣言をしていないのでは? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/07/8216765
蓮舫の過去の「国籍発言」 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/09/16/8190975
蓮舫の二重国籍疑惑 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/09/09/8176022
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