二重国籍でないという証明は困難 ― 2016/10/23
日本維新の会が国会議員の二重国籍法案を提出したそうですが、その中身が分かりません。どうやら国会議員の被選挙権の要件に外国籍を持たないことを追加することのようです。
もしこの法案が成立すれば、立候補者は立候補の届出の際に、自分が「外国籍を有していない」ことを証明する書類を提出する必要性が出てきます。
日本国籍を有しているか否かは戸籍を見れば分かります。立候補届出に必要な書類に戸籍がありますから、これについては問題がありません。 しかし外国籍を有していない(=二重国籍でない)ことを証明する書類は一体何なのでしょうか?
日本政府は日本国籍を有しているか否かを判定する権限はありますが、外国籍を有しているかどうかの判定をする権限はありません。国籍判定はそれぞれの国の主権行為だからです。 従って日本政府は、この人物は外国籍を有していない(=二重国籍でない)という証明をすることが出来ません。
それでは世界には200ヶ国ほどがありますから、この全ての国に国籍を有していないという証明書を作ってもらうのでしょうか? これは不可能なことです。
どう考えても、「外国籍を有していない」ことを証明する書類はあり得ないです。 つまり被選挙権の要件に「外国籍を有しないこと」を加えたとしても、それを証明する公的機関がありませんので、実際に意味をなさないものと思われます。
コメント
_ 河太郎 ― 2016/10/23 12:34
_ 辻本 ― 2016/10/23 21:00
立候補者は立候補の届け時に要件を満たさねばなりません。
選挙管理委員会が立候補の要件を満たしているかどうかを曖昧にして受理し選挙するなんてあり得ません。 すべての要件を満たしてこそ、選挙を実施することが出来ます。
だから立候補の届出時に、要件である「外国籍を有していない」ことを証明する書類を提出することになります。
そしてそんな証明書は不可能だということです。
また裏付けのない誓約書は、要件をクリアしているかどうか曖昧にして誤魔化すのと同じです。
_ 河太郎 ― 2016/10/23 22:27
>立候補者は立候補の届け時に要件を満たさねばなりません。
自民党の小野田議員は米国籍離脱の手続きが米国本土でしかできないというので国籍選択の宣言により二重国籍解消の方法を採りました。彼女は可及的に渡米して米国籍離脱を完了するでしょう。その書類を公に提示しなければ所属政党のみならず国民の追及は続くでしょう。
蓮舫氏も台湾の国籍離脱証明書を役所が受理しなかったので同じく日本の役所で国籍選択の宣言の方法を採りました。
彼女も当該証明書を公開しなければ何時までも疑われでしょう。
>選挙管理委員会が立候補の要件を満たしているかどうかを曖昧にして受理し選挙するなんてあり得ません。
すべての要件を満たしてこそ、選挙を実施することが出来ます。
そうですね。
小野田議員と蓮舫氏の場合と同じ証明書を選管に提出すればいいと思います。
小野田議員の例が明らかになりましたので国政選挙に出ようと思えば早くから準備をしなければならないでしょうね。もし自らの二重国籍の可能性を認識できないようでは、そもそも国会議員の資格がないでしょう。
ブラジルように国籍離脱を認めていない場合は日本で国会議員や地方議員、外交官になれないの仕方ないでしょうね。
事前に排除できない具体例はブラジルのように極めて少ないので不便はないでしよう。
_ 辻本 ― 2016/10/24 21:59
日本の戸籍は日本国籍を有しているかどうかの証明になりますが、外国籍を有しているかどうかの証明にはなりません。 その証明が出来るのは、当該国政府だけです。
また被選挙権の要件というものは、公開する性格のものではありません。 それを証明する書類を選管に提出し、選管がその書類を審査して要件を満たしていると判断すれば受理するだけです。
>ブラジルように国籍離脱を認めていない場合は日本で国会議員や地方議員、外交官になれないの仕方ないでしょうね。
>事前に排除できない具体例はブラジルのように極めて少ないので不便はないでしよう。
国籍法で国籍離脱を定めていない国はブラジル以外にも幾つかあります。「極めて少数」とは言えません。
二重国籍者において、もう一つの外国籍がどこかによって差別待遇を容認するとはねえ。しかもその理由が「仕方ない」「不便はない」とはねえ。ビックリです。
憲法第44条に反するものと考えます。
_ 河太郎 ― 2016/10/25 02:00
国連加盟国は200ケ国近いらしいですが、その全ての国籍法の国籍離脱の条項をご存じなら、国籍離脱禁止の国の数を具体的に教えて頂けたら勉強になりますが。
>二重国籍者において、もう一つの外国籍がどこかによって差別待遇を容認するとはねえ。しかもその理由が「仕方ない」「不便はない」とはねえ。ビックリです。 憲法第44条に反するものと考えます
憲法第44条に「国籍」は例示されていません。「国会議員は二重国籍禁止」は憲法違反となる、との多数説があれば教えて下さい。勉強になります
憲法第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
_ 辻本 ― 2016/10/25 05:25
国籍離脱出来ない国は、ブラジル以外にペルー、アルゼンチン等中南米に多いですねえ。ヨーロッパではスイスがあります。
兵役の関係で国籍離脱に厳しい制限をしている国は、シリアやベルギーなどです。
ヨーロッパでは二重国籍を認める国が多いので、逆に国籍離脱の制限が多いです。
また法律では国籍離脱を許可制としていても実際には許可されない国(北朝鮮など)もあります。実質離脱禁止国ですが、これは法律だけを見ても分かるものではありません。
本人の意思で国籍離脱できない国は、結構多いですよ。
二重国籍者のうち、外国籍を離脱した者は国会議員になれるが、離脱出来ない者は国会議員になれないというのは、差別でしょう。
たまたまブラジルで生まれた日本人はどんなに努力しても日本の国会議員になれないというのは、憲法に違反するのではありませんか。
_ 河太郎 ― 2016/10/25 10:25
ご教示有難うございます。
「かなりある」ということですが、その理由は各国さまざまなのでしょう。
ブラジル、ペルー、アルゼンチン、スイス シリア、ベルギーなのですね。
国籍はそもそも人権のレベルの話ではなく、極めて政治的、政策的なものです。まして国会議員の国籍問題は最高度に政治的政策的に判断されるものです。
個人の権利保護より国益と直結して考えるべきものです。
>二重国籍者のうち、外国籍を離脱した者は国会議員になれるが、離脱出来ない者は国会議員になれないというのは、差別でしょう。
性悪説、性善説のいずれをとるかですね。
始めから悪意をもって我が国会議員になる者も否定できませんし、日本の国会議員は二重国籍OKとなるとそこに付け込む者も出てくるでしょう。
また二重国籍の国会議員は始めは本人にその積りがなくても、外国からの様々な攻勢を招き入れる格好の標的となるでしよう。
橋下元大阪市長は、二重国籍を明示するなら国会議員選挙に出ても国民の選択を経るから問題ないとテレビで言いましたが、悪意で国会議員となる二重国籍者や今の日本のマスコミの在り様、民主党鳩山政権を誕生させた国民の政治意識レベルを考えたらとてもじゃないですが、危なかっしいですね。橋下氏はその点を見逃していますね。
移民の国アメリカですら国籍問題にあれほど寛容な中で、大統領はアメリカで生まれた者しかなれません。
つまりアメリカではすでに「差別」を堂々と謳っているのです。結局、合理的差別と判断されているのです。
>たまたまブラジルで生まれた日本人はどんなに努力しても日本の国会議員になれないというのは、憲法に違反するのではありませんか
憲法第44条に差別の項目が具体的に8つ例示されていますが、国籍は入っていません。つまり、国籍による国会議員被選挙権の差別は憲法違反ではないのです。
そもそも国会議員となることは生存権、自由権などのような普遍的な基本的人権ではありません。それら普遍的基本的人権には年齢制限は禁止されていますが、国会議員の被選挙権には年齢制限があるのです。
従って二重国籍のブラジル人に国会議員被選挙権を認めなくとも憲法違反になりません。
_ 辻本 ― 2016/10/26 04:08
二重国籍を解消できるか否かで国政参加権を制限するというのは、人種・門地の差別に該当すると考えます。
出生によって得られた立場で差別してはならない、というのが憲法の考え方でしょう。
_ 河太郎 ― 2016/10/26 11:05
日本国籍と外国籍を日本の法体系(公職選挙法と外務公務員法だけですが)ではどう位置付けているのかをみてみます。
①憲法第44条をうけて公職選挙法では国会議員と国政選挙人は「日本国民」に資格を付与しています。
その理由は、日本丸の運命を握るのは日本国籍者に限る、そして外国籍の者は排除する、との当然の理屈です。
※外国籍のみの者の排除は自明なものの、二重国籍者は排除するとの明文がないことで、蓮舫二重国籍問題が起きているのですが。
②又、外務公務員法第7条は、外国籍を有する者は外務公務員になることはできない、と規定しています。
その理由は外務公務員は、常に、日本と外国との利害衝突の場面、国益最優先の場面に居ることによる日本優越の大原則を徹底するために、二重国籍者排除を明記したものです。
①と②は、国益衝突が或る時は、日本を第一にして、外国は劣位に置く、と云う大原則か我が国の法体系であることを示しています。
以上を前提に、それでは、二重国籍者についてはどう日本の法体系では扱うべきなのか。
言うまでも無く、日本最優先、外国劣位、です。つまり二重国籍者は日本では外国籍劣位が原則なのです。
結局、二重国籍者は日本では外国籍の地位は劣位にあるのです。即ち日本では二重国籍者の外国籍地位は合理的に排除もしくは差別されるのです。
この大原則を「人種」「門地」の拡大解釈で変更することは無理です。
もっとも「人種」はだいたい白人、黒人、黄色人種など外見上からの違いの意味であり、「門地」は字義通りに生まれた場所でしょう。
日本維新の会の国会議員二重国籍禁止法案の意向に対して、今のところ憲法違反の声が聞こえないのも、二重国籍が「人種」「門地」に該当するとは見られないからでしょう。
>出生によって得られた立場で差別してはならない、というのが憲法の考え方でしょう。
確かに「出生によって得られた立場で差別してはならない」は憲法の平等原則の一つですね。人種、門地、性別はこれにあたるでしょう。
しかし、国籍については、国籍法第14条は「国籍選択の義務」を課しています。この条項は憲法違反とはされていないでしよう。二重国籍の解消の義務は憲法違反ではないのです。
_ 辻本 ― 2016/10/27 03:30
その他の国籍離脱が容易な国との二重国籍者は、二重国籍を解消して国会議員になれる、
この差別は、生まれによって差別するものです。憲法違反でしょう。
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私もそう思います。
>どう考えても、「外国籍を有していない」ことを証明する書類はあり得ないです。 つまり被選挙権の要件に「外国籍を有しないこと」を加えたとしても、それを証明する公的機関がありませんので、実際に意味をなさないものと思われます。
前の投稿にも書きましたが、国会議員や地方議員には立候補届け出書類に「外国籍保有せず」、自衛隊員には誓約書に「外国籍保有せず」の項目を加えるだけでいいのです。
虚偽であれば即失格や罷免とすれば効果は十分です。
これらの規定があれば公安は調査しやすくなります。マスコミもスクープとして書き立てるでしょう。
事後的に露見すれば、即失格も罷免となることで抑制効果は抜群です。
事前的に完全排除できなくても、二重国籍への関心も高まりますし、監視の目も増えるでしょう。
一般人のインターネットの力がバカにできないことは証明済みです。