ある在日の生活保護2012/05/19

昔、たまたま知り合った在日朝鮮人のハルモニ(おばあさん)。身世打令(身の上話)を聞きました。

> ハルモニは五人目の子供が生まれたちょうどその時に、主人が事故で亡くなった。事故は、酒に酔って自転車に乗り、水路に突っ込んで死んだということだった。

> 子供ができたというのに、主人が産室になかなかやって来ず、警察が来て、主人のことをいろいろ聞いてきた。この時、警察も周囲の人たちも、あまりに可哀そう過ぎて、主人が亡くなったことを言わなかった。三日ほどして、主人が亡くなったことを知って、驚いて乳が止まった。ショックで一か月近く入院した。

> 退院したら、四人の子供は近くの人が食事は出してくれていたが、 それだけで、風呂も入らず、服の着替えもせず、暮らしていたという。

> ハルモニは字の読み書きもできず、子供たちのためにがむしゃらに働いた。朝早く起きて屑ひろいをし、昼は失業対策事業で働いた。

> 子供が病気しても医者に連れて行く余裕がなかった。子供がひどい病気をして、これでは本当に死んでしまうと、思い余って近くの医者に連れて行った。医者は事情を察して、無料で診てくれて、さらに役所の手続きもしてくれて、生活保護を受けることになった。

> そして9年後、一番上の子供が中学を卒業して就職した。そこで貰う給料と、自分が何とか働いて貰うお金を足せば、生活保護で貰うお金と変わらない。そこでハルモニは生活保護を自分から打ち切った。周囲からは、せっかく貰えるのに、と反対されたそうだ。しかしハルモニは、「みじめだから」と反対を押し切った。

> 子供たちは順調に育って、みんなちゃんとした社会人になった。ハルモニは「余りに貧乏したんで、子供がヤクザになるんじゃないかと心配していたが、そんなこともせず、立派になってくれて喜んでいる」と振り返った。

 このような身世打令でした。周りの在日の方に聞いても、「うちらも苦労したが、あの人の苦労は特別やった。」と、その身世打令がウソでないと言っておられました。

 ここで一番感銘深かったのが、自ら生活保護を打ち切ったということ、その理由が「みじめだから」ということです。働かずにお金を貰うことを「みじめ」とする感覚、たとえ字の読み書きができなくても、人間としての誇りを失わないというハルモニの信念に、感動したものでした。

 今日本では、生活保護を安易に貰おうとする風潮が蔓延しているようです。そのニュースを聞くたびに、あのハルモニを思い出します。

(参考)身世打令 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/09/01/507081

コメント

_ 宇宙飛行士 ― 2012/05/27 22:43

今日もいい話聞かせてもらいました。
辻本さんの話にはやはり愛情と暖かさがあり、
批判と指摘の中からもそれを感じられます。

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