南労党を隠ぺいする韓国マスコミ2019/04/04

 1948年の韓国済州島4・3事件。 韓国の国防部や警察が71年前の4月3日に起きたこの事件について、「遺憾」「謝罪」を表明したというニュースが出ました。 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/03/2019040380185.html

【ソウル、済州聯合ニュース】韓国国防部は3日、済州島民が軍や武装勢力に虐殺された「四・三事件」について、事件発生から71年にして初めて遺憾の意を表明した。また警察トップもこの日、同事件の犠牲者を悼む追悼式に参加し、事件により罪のない島民が犠牲になったことに対し謝罪した。 

四・三事件は、米軍政の支配下にあった1948年4月3日、朝鮮半島の南側だけでの総選挙実施は南北分断を固定化するとして反対した民衆の一部が武装蜂起したことに対し、軍や警察が鎮圧を名目に多くの島民を虐殺した事件。一連の虐殺の犠牲者は3万人以上だとされる。

公権力によって多くの民間人が犠牲になった代表的な事件について、軍と警察が道義的責任を認めたと受け止められ、今後、被害者の救済や真相究明に及ぼす影響が注目される。 

 このニュースで違和感を大きくするのは、「民衆の一部が武装蜂起した」という部分です。 実は武装蜂起をしたのは、南朝鮮労働党(南労党)という共産主義者組織です。 それを「民衆の一部」と表現しているのです。 つまり南労党を隠ぺいしているのですね。

 またこの事件を「公権力によって多くの民間人が犠牲になった代表的な事件」としていますが、南労党による民間人の犠牲も少なくなかったことが抜け落ちています。 ここでも南労党を隠ぺいしようとする意図が感じられます。

 思い出せば日本でも1970年代の学生運動で、過激派諸君があちこちで暴動を企図・実践した時、機関紙なんかでは「人民が決起した」なんて称していましたねえ。 自分たちが勝手に暴れ回っていて、それを「人民」が行動を起こしたように表現したわけです。 これとよく似た発想ですね。

 4・3事件は軍や警察による白色テロも凄かったですが、南労党による赤色テロも凄かったのです。 なお白色テロは国家権力による暴力であり、赤色テロは反体制組織の暴力ですから、規模が違います。 白色テロの犠牲者数は、赤色テロの犠牲者数を上回ります。 だからと言って、赤色テロを無視するわけにはいかないでしょう。 どちらも凄惨なテロだったのですから。

4・3事件の赤色テロについては、拙論で論じたことがありますので、お読みいただければ幸い。

【拙稿参照】

4・3事件-南労党を隠ぺいする読売解説 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/11/19/9000560

済州島4・3事件の赤色テロ(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/10/8890890

済州島4・3事件の赤色テロ(2) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/18/8896622

済州島4・3事件の赤色テロ(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/23/8900976

済州島4・3事件の赤色テロ(4)-警官家族へのテロ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/30/8906338

済州島4・3事件の赤色テロ(5)―右翼家族へのテロ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/07/05/8909472

済州島4・3事件の赤色テロ(6)―評価は公平に http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/07/10/8912907

韓国映画『チスル』 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/06/01/7332806