奇妙な朝日の社説―慰安婦判決2021/01/11

 韓国の元慰安婦が日本政府を相手に起こした賠償請求裁判の判決が1月8日に出ました。 予想通りの原告側全面勝利です。 これについて、日本の各マスコミは厳しい批判をしていましたが、朝日新聞だけはちょっと違った見解を出していました。 それは日本側のこれまでの姿勢にも問題があったと批判しているところです。 その部分を引用してみます。

朝日 社説 2021年1月9日

https://www.asahi.com/articles/DA3S14757182.html?iref=pc_rensai_long_16_article

歴史の加害側である日本でも、当時の安倍首相が謙虚な態度を見せないことなどが韓国側を硬化させる一因となった。

今回の訴訟は合意の翌年に起こされた。合意の意義を原告らに丁寧に説明していれば訴訟が避けられたかもしれない。

徴用工問題をめぐる18年の判決と、それに続く日本の事実上の報復措置により、互いの隣国感情は悪化している。今回の判決はさらに加速させる恐れがあり、憂慮にたえない。

最悪の事態を避けるためにも韓国政府はまず、慰安婦合意を冷静に評価し直し、今回の訴訟の原告でもある元慰安婦らとの対話を進めるべきだ。日本側も韓国側を無用に刺激しない配慮をする必要がある。

日本側も韓国側を無用に刺激しない配慮をする必要がある。

 つまり朝日は、日本は「安倍首相が謙虚な態度を見せないことなどが韓国側を硬化させる一因となった」 「合意の意義を原告らに丁寧に説明していれば訴訟が避けられたかもしれない」と我が日本をも批判し、 韓国側に「配慮」しろと主張しているのです。  相手も悪いが、こちらも悪いという論理ですねえ。

 慰安婦裁判はどう考えても、国際法や政府間合意に反した韓国側が悪いとしか言いようがありません。 「請求権に関する問題が‥‥完全かつ最終的に解決された」 「慰安婦問題が『最終的かつ不可逆的に』解決」と明記して結んだ約束を、韓国側が後になって「まだ解決していない」と破ったのですから。

 日本側にも悪いところがあるとする朝日の主張は、奇妙としか言いようがありませんねえ。

 参考までに毎日新聞の社説のうち、日本について触れている部分を引用します。

毎日 社説 2021年1月9日

https://mainichi.jp/articles/20210109/ddm/005/070/069000c

判決が、慰安婦問題での日本の取り組みを無視していることも見過ごせない。

日本は、国家としての責任を認めて謝罪してきた。1990年代に始まったアジア女性基金の事業では、歴代首相からの「おわびの手紙」が元慰安婦に手渡されてもいる。

2015年には最終的な解決を図るための日韓合意が結ばれた。元慰安婦の救済を優先させるために両国が歩み寄った成果だった。国家間の明確な合意を、内政事情で一方的にないがしろにすることは許されない。

 毎日はこのように、これまでの日本側の取り組みを評価しています。 朝日のようにわが日本も悪いとする考えは、出していません。

 他の新聞の社説をインターネット版で読んでみましたが、日本側を批判するものはないようです。 やはり朝日の社説が特異というか奇妙さが際立ちますね。

【拙稿参照―慰安婦合意以降】

 慰安婦合意の検証   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/12/31/8758841

 韓国政府の慰安婦合意に対する方針 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/01/10/8766575

 慰安婦問題の日韓合意は混乱を呼ぶか http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/01/02/7968787

【慰安婦合意以前の拙稿】

 やはり韓国政府には当事者能力がない―慰安婦問題 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/11/13/7906094

 慰安婦問題―韓国政府には当事者能力がない http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/03/09/7586932

 朝日の反「アジア女性基金」キャンペーン  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/12/28/7525901

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