長生炭鉱水没事故死者のDNA鑑定は日韓合同で ― 2026/05/21
一昨日~昨日に韓国の安東で開かれた日韓首脳会談で、話題になっている長生炭鉱水没事故(1942年発生)死者のDNA鑑定について、日韓が共同してやることに決まったそうです。 https://japan.hani.co.kr/arti/politics/56213.html この問題については、拙ブログでも以前に取り上げました。
長生炭鉱刻む会代表のインタビュー―『週刊朝鮮』(1) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2026/03/16/9842328
長生炭鉱刻む会代表のインタビュー―『週刊朝鮮』(2) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2026/03/21/9843303
長生炭鉱刻む会代表のインタビュー―『週刊朝鮮』(3) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2026/03/27/9844436
長生炭鉱、韓国側支援者インタビュー『週刊朝鮮』 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2026/04/10/9847433
今回決まったのは、このDNA鑑定に韓国政府も参加し、日韓共同作業とすることまでですね。 これは当然でしょう。 日本だけでやれば、韓国民の国民感情からして〝また何か隠しているのではないか”などのあらぬ疑いをかけてくるでしょうから。
問題はその後です。 発掘された全ての遺骨(五点と言われている)の身元がすべて判明して遺族に引き渡されればひとまず解決ですが、果たしてどうなるでしょうか。 80年以上も前の事故で、ずっと海中に残された遺骨です。 また犠牲者183人のうち、遺族のDNAは80人分だけが確保されているそうです。 全ての遺骨にその遺族が判明することは簡単ではないと言えそうです。
またもし鑑定しても身元不明となった遺骨をどう処理するのか、早めに検討しておかないと大きな問題に発展する可能性があると思われます。 拙ブログでは、次のように論じました。 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2026/03/27/9844436
それから気になるのは、これまで発掘してきた遺骨、そして将来も発掘発見されるであろう遺骨を最終的にどうするのかという点です。 どこかの専門機関にDNA鑑定を依頼して身元を調査し、それが判明した遺骨は遺族に引き取ってもらって終わりますが、それは少数であろうと考えられます。 遺骨は事故で亡くなった183人のうちの誰かであることはほぼ確実と思われますが、80年以上も経っていて遺族のほとんどは孫や曾孫世代でしょうから判明率が落ちます。 またこれまで集めた遺族のDNAは80人分といいますから、半分以上がまだ収集できていないことになります。 ですから発掘された遺骨の多くは、遺族の確定が困難と思われます。 また朝鮮人か日本人かの区別もできませんから、韓国側に引き取ってもらう訳にもいかないでしょう。
今のところ遺骨は警察が預かっているようですが、事件性がない限り警察にいつまでも保管する義務はありません。 最終的な保管責任は遺骨発掘作業の主体者であり遺骨発見者でもある「刻む会」にあると考えられます。 ですからDNA鑑定しても身元不明となった遺骨、あるいは遺族が引き取りを拒否したような遺骨は「刻む会」に戻されることになるでしょう。 そして「刻む会」は日本政府の関与を要求しています。 しかし身元不明などの遺骨について政府がどのように関与できるのか、ちょっと疑問に感じます。
「刻む会」は、〝日本は不当な朝鮮植民地支配の加害者であり韓国は被害者である、長生炭鉱事故はそのなかで起きたものだ” 〝韓国と日本の市民の力で歴史を反省しない日本政府を追及しよう”という考えを一貫して有しており、そんな団体がその後どのような動きをするのだろうかという疑問ですね。 ここは想像になりますが、日韓間の歴史紛争のさらなるネタを作るのではないか、ということです。 また身元が判明したら今度は遺族が日本政府を相手に損害賠償請求の裁判を起こすのではないか、ということも考えられます。 そうならないことを祈るのみです。