金時鐘さんが本名を明かしたが‥‥2019/10/26

 以前に、金時鐘さんは自分の名前が「金時鐘」と「林大造」の二つあることを説明していないと論じていましたが、最近出た『抗路』という雑誌の第6号に、彼自身が次のように語っているのを見つけました。

もう一つややこしいのは、「金時鐘」は日本ではペンネームに過ぎない名前なんだ。 法的には「林大造(イム・テジョ)」という外国人登録名がある。 私の「在日」の由来とも絡んでいる名前でもある。 三つの文字の名前は日本人には朝鮮人とわかる名前でもあるので、「キン」でも「キム」でもいっこうに私はかまわない。 (抗路社『抗路』6号 2019年9月 15頁) 

 「林大造」は、金さんが1949年に日本に密航した際に、不正に入手した外国人登録証にあった名前です。 ですから「『在日』の由来に絡んでいる名前」であるのは確かですが、密航と登録証不正入手という二つの不法行為によって得た名前だということを言ってほしかったですねえ。

 もう一つ、両親の墓参りのために韓国の戸籍が必要となった際、日本で不法に入手したこの「林大造」名で韓国戸籍を取得したことも言ってほしかったです。

 彼は両親から「金時鐘」という名前をもらい、その名前で学校に通って韓国社会に暮らしていましたが、ある日に日本に密航して「林大造」に変身しました。 おそらくは「背乗り(はいのり ―他人の身分を乗っ取って、その人物に成りすますこと)」と考えられます。 そして今度は本当の本名である「金時鐘」ではなく、他人である「林大造」名で、両親が眠る韓国で戸籍を作られたのです。 以上までが、私が彼の名前に関して調べた結果です。

 他人の名前で祖国の戸籍を作って両親の墓参りすることについて、金さんはどのように説明されるのでしょうか。

【拙稿参照】

金時鐘さんは結局語らず   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/08/13/9140433

金時鐘さんは本名をなぜ語らないのか? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/07/02/9110448

毎日の余録に出た金時鐘さん http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/08/27/8950717

本名は「金時鐘」か「林大造」か http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/08/23/8948031

金時鐘『朝鮮と日本に生きる』への疑問 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/07/28/7718112

金時鐘さんの法的身分(続)     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/08/13/7732281

金時鐘さんの法的身分(続々)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/08/26/7750143

金時鐘さんの法的身分(4)    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/08/31/7762951

金時鐘さんの出生地        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/07/05/7700647

金時鐘『「在日」を生きる』への疑問 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/03/01/8796038