金正恩2024年1月15日施政演説(3)―韓国は敵2024/02/07

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/02/03/9656008 の続きです。

 前回では、金正恩は韓国を「大韓民国」と正式名称を使って「国家」として認めるような言い方をしながら、その韓国を「特定走狗集団」「極悪」と罵倒し、国家は国家でも「最も敵対的な国家」「不変の主敵」だとして、戦争が起きればこの韓国を占領・平定すると宣言したのでした。

 そして韓国をもはや同一民族と扱ってはならないので、「8千万同胞」などのような言葉を使ってはならない、憲法から「自主、平和統一、民族大団結」のような文言を削除せよ、とまで指示したのです。 韓国は統一の相手ではなく、わが北朝鮮に吸収・編入すべき国家だということですね。

 今回はこの続きで、さらにビックリするような指示を出します。  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

憲法改定とともに、《同族、同族関係としての北南朝鮮》、《わが民族同士》、《平和統一》などの象徴として映し出される過去の時代の残余物を処理してしまうための実務的対策を適時的に立てねばなりません。

当面して、北南交流協力の象徴として存在していた京義線の我が側の区間を回復できない水準に物理的に完全に断つことをはじめとして、境界地域のすべての北南連係条件を徹底して分離させるための段階別措置を厳格に実施せねばならないでしょう。

そして首都平壌の南側の関門に見苦しく立っている《祖国統一三大憲章記念塔》を撤去してしまうなど、〇〇(이여)の対策も実行することによって、我が共和国の民族歴史から《統一》《和解》《同族》という概念自体を完全に除去してしまわねばなりません。

 「祖国統一三大憲章記念塔」の「統一三大憲章」というのは、祖国統一三大原則・全民族大団結10大綱領・高麗民主連邦共和国創立方案のことで、これは金日成の提唱に由来があります。 息子の金正日が父のこの遺訓を「三大憲章」と定め、2001年に記念塔を立てました。 それを三代目の金正恩が撤去すると言ったのですから驚きです。 実際に記念塔は撤去されたようです。 朝鮮総連は活動理念にこの三大憲章を掲げているはずですが、どうするのでしょうかねえ。

 さらに民族の歴史の軸とも言うべき 「《統一》《和解》《同族》という概念」を完全に除去すると言うのですから、祖父と父の遺訓を三代目の孫が完全否定した、ということになります。 今回の演説の中で、私が最も驚いた部分です。

 韓国の親北組織である祖国統一汎民族連合(汎民連)はこの金正恩演説を受けて、早々と解散すると決めたようです。 

 日本の朝鮮総連や朝鮮学校では何かにつけて「民族の統一」を口酸っぱくして叫んできましたが、どうするのでしょうか。 また在日韓国民主統一連合(韓統連)のようなところも、どうするんでしょうかねえ。

この機会を借りて、私は我が共和国がどんな情勢変化も揺らぐことなく自分の命のように逃さないで、強力につかみ取る自衛的国防力強化の革命的性格について、再び明確に明らかにしようと思います。  我々が大きくする最強の絶対的力は、一方的な《武力統一》のための先制攻撃手段ではなく徹底して我々自ら守るために必ず大きくせねばならない自衛権に属する正当防衛力というものをまた確言します。

力の論理が支配する今日の世界で、そして数十年余りをわたって戦争の危険が常に漂う○○(열점―熱点?)地域の我が国家において、強力な軍事力保有は国と民族の運命を守るために必ず選択しなければならない必然的な闘争工程であり宿命的に受け入れねばならない歴史的課題です。 敵たちのしぶとい圧迫と制裁が同伴する最悪の国難が持続する中でも、我々が一寸の動揺もなく、最強の自衛的国防力と核戦争抑止力を固めてきた結果、長い歳月の間、この土地でどんな侵略勢力も敢えて最悪の戦争勃発までは考えも及ばなかったのです。

 軍隊を強化してきたからこそ、米国などの侵略勢力は戦争を仕掛けてこなかったという分析のようです。

明白に言いますが、我々は敵たちが触ってこない以上、決して一方的に戦争を決行しないでしょう。  これを我々の弱さと誤判しては絶対にいけません。 そうだとして、我々の自衛的な国家防衛力がひたすら自分を防御し、戦争を防ぐためにだけ局限されていましょうか? 絶対にそうではありません。

すでに私は我が核兵器の戦争抑制という本領以外に、第二の使命について明白に言及したところであります。 大韓民国という最大の敵国が我々の最も近い隣に併存している特殊な環境と米国の奴らの主導下に軍事的緊張激化へ地域情勢の不安定性が増大している現実を冷徹に考察してみれば、物理的衝突による拡大へ戦争が勃発する危険は顕著に高くなり、危険段階に至りました。

我々は戦争を望みませんが、決して避ける考えもまたありません。 戦争という選択をするという何の理由もなく、だから一方的に決行する意図もありませんが、一旦戦争が我々の目の前の現実として迫るなら、絶対に避けることに努力することはなく、我が主権の死守と人民の安全、生存権を守り、我々は徹底的に準備した行動に完璧で迅速に臨むのです。

戦争は大韓民国という実体を無残に壊滅させ、終わらせるようにします。 そして米国には想像できない災難と敗北を抱かせます。 我々の軍事的能力はすでにそのような準備態勢にあって、はやい速度で更新されています。 もし敵たちが戦争の火花でも飛ばすなら、共和国は核兵器も含める、我が手中のすべての軍事力を総動員し、我々の怨讐を断固として懲罰します。

 戦争を仕掛けられたら「大韓民国という実体を無残に壊滅させ」「米国には想像できない災難と敗北を抱かせる」そうです。 すごい決意表明ですね。

 北朝鮮が韓国に対し、戦争するぞと脅迫するのは昔からあったことです。 金正恩政権になってからは、10年前にやっていましたねえ。 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/03/30/6762019 ですから、またいつものことを言っているだけと思えばいいのでしょうが、今度はハッタリではないぞと言わんばかりに本当に戦争挑発するかも知れません。 (続く)   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

金正恩2024年1月15日施政演説(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/01/30/9654884

金正恩2024年1月15日施政演説(2) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/02/03/9656008

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