参政権を潜在的に有していること ― 2006/05/17
『マンガ嫌韓流』が大きな話題になりました。私自身はこういう類のものを好まないのですが、話題になっているので購読し、さらにこの本について『嫌韓流の真実』(宝島社)というものが出ましたので、これも購読しました。
『真実』27頁上段に、石倉雅子さんという三世の方が、これについて
「気になったのは在日韓国人が韓国での選挙権を『潜在的に認められている』という記述です。調べてみたら、そんなことはありませんでした。」
として、作者(山野車輪)は在日を分かっていないと批判したところがあります。
これは『嫌韓流』の187頁下段にある
「光一も韓国に戻れば選挙に参加できるし立候補だってできるんだぜ」「実際在日韓国人が帰国して韓国の国会議員になった例もあるし」「つまり在日韓国・朝鮮人は潜在的に本国の参政権を有しているのだから」
というせりふのことと思われます。
これのソースを辿れば、おそらく拙HP『歴史と国家』の一つ第69題のなかの
「ただし在日韓国人の場合は今のところ本国の参政権はありませんが、彼らが本国に帰国するとすぐさま大統領選挙や国会議員選挙に投票あるいは立候補することができます。実際に在日が帰国して韓国の国会議員になられた方はおられます(権逸氏など)。つまり在日は韓国の参政権を潜在的に有していることになります。」 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dairokujuukyuudai
であると思われます。
つまり拙論を『嫌韓流』がほぼそのまま利用し、これについて石倉さんが『真実』で「そんなことはない」と否定した、ということになります。 しかし、どこがどう間違っているのか、『真実』は記していません。
在日韓国人は日本の永住権を持ったまま韓国に帰国しても、それは一時帰国に過ぎませんので住民登録ができず、従って選挙権はありません。つまり日本の永住権を放棄しなければ、参政権を得ることができません。逆にこの手続きを取りさえすれば、参政権を得ます。これは単に手続き上のことで得られる権利です。拙論ではこのことを「在日韓国人は韓国の参政権を潜在的に有している」と表現しました。
石倉さんはおそらく、在日のまま(永住権を放棄しないまま)では帰国しても参政権はない、という事実を勘違いして否定されたものと推測します。 在日は所定の手続き(永住権の放棄と住民登録)さえすれば、権利として参政権を取得できます。