同化されない外国人2016/10/01

 毎日新聞の「共に生きる―トブロサルダ」という連載に、日本で生きるブラジル人の話が出ています。   http://mainichi.jp/articles/20160930/ddl/k27/070/418000c

 日本におけるブラジル人の生活を、在日韓国・朝鮮人のこれまでのそれとを比較すると、「同化」という点で興味深いものを感じました。 それは、ブラジル人が来日して十年ぐらい経つというのに日常会話は祖国のポルトガル語であり、日本語が不自由であるということです。

彼は10歳でブラジルから日本に渡ってきた。 小学校まではブラジル学校で学んだが、将来の進路に備えて中学校から地域の公立学校に通った。 それまでリュウは生活で、日本語をほとんど使っていなかった。 ブラジル学校でも、家庭でもポルトガル語だ。‥‥両親が言語で苦労しているせいもあり

 在日韓国・朝鮮人の場合、一世や二世から話を聞いてみると、子供の時に日本語をかなり早く習得し、また家庭でも日本語を使っていた、という話がほとんどでした。 たまに日本語をなかなか使おうとしないお祖母さんがいる家もありましたが、それでも子や孫との会話は日本語ということでした。

 家庭内の事情は個々で違いがあるので一概には言えないでしょうが、在日韓国・朝鮮人は家で普段日本語を使うというのが一般的で、日常生活で朝鮮語を使っているという家は見たことも聞いたこともありませんでした。 日本語禁止の朝鮮学校に通う子供たちも、一旦校門を出ると日本語ばかりの生活になります。 在日が家庭で朝鮮語を使うとしたら、一世の激しい夫婦喧嘩の時ぐらいでしょうか。

 私はこういう話をよく聞いていたので、このブラジル人家庭では日本語を使っていないということに興味を引かれました。 要するに在日ブラジル人は同化の度合いというか、同化しようとする意志というか、つまり同化という点で在日韓国・朝鮮人と違いがあるようです。

 もう一つ感じたことは、外国人が同化せずに生きようとすると、いつまでも低位に置かれるという事実です。

景気がよかった時は都合のよい労働力として使われ、停滞すると彼らは切り捨てられる。 私がソーシャルワークで回る滋賀県内の在日ブラジル人の厳しい現実だ。 貧しさから進学をあきらめ、親と同様に非正規で働く在日ブラジル人の若者は少なくない。

 日本語の読み書きが出来ず、話も不十分な外国人は当然のことながら就職先が非常に限られます 。不安定な肉体単純労働の仕事しかないでしょう。 つまり同化しない外国人は低位の生活をせざるを得ないということです。 それが日本での進学をあきらめざるを得ない状況をつくり、貧しさが世代を超えて続くことにもなります。

 たとえ貧しくても同化を拒否し民族を守る、というのも生き方の一つでしょうが、貧乏が世代を超えて連続することは果たして望ましいことなのかと思います。 正解は、本人が日本で生きるために同化していこうという意志を持ち、周囲は上手く同化できるように手助けする、ということだと思うのですが。

 この記事を書いた方は金光敏(キムクァンミン)さんで、在日韓国人です。彼が在日ブラジル人の同化をすすめる記事を書いたことに共感を覚えました。

【拙稿参照】

水野・文『在日朝鮮人』(21)―同化 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/09/23/8197450

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