在日の生活保護2013/06/16

 在特会が、在日の「特権」として挙げているものの一つに生活保護があります。しかし何故これが「特権」なのか?疑問とするところです。

 在日韓国・朝鮮人は、戦前は大日本帝国臣民として来日した人たちで、福祉関係でいえば救恤規則、救護法の適用を受けることができました。この法律は戦後の昭和21年に生活保護法(昭和25年全面改正)に引き継がれます。

 新法では生活保護の対象者を「日本国民」とされましたが、それまで日本国民であって外国人となった者や、日本人配偶者の外国人など、旧法でも対象となっていた人もこの新法の対象としました。この措置は「準用」とされています。「準用」ですから法的には疑問が残るところでしたが、旧法で認められてきたものが新法では認められないというのは大きな問題ですから、このような措置になったようです。

 そして1965年の日韓条約によって在日韓国人の生活保護について、日本は「妥当な考慮を払う」義務が生じました。在日の生活保護に法的根拠ができたのです。「妥当な考慮」ですから、日本人の生活保護水準以上にはなり得ません。としたら、なぜこれが「特権」となるのか? 一般日本人以上の権利が与えられれば「特権」ですが、そうではないでしょう。

 在日の生活保護を「特権」だと否定することは、レイシズムとしか言い様のないところです。  

【在日の生活保護に関する拙論】

在日の生活保護の法的根拠 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/07/22/455680

外国人の生活保護   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2008/04/11/3066189

ある在日の生活保護 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/05/19/6449827

もう一人の在日の生活保護 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/05/26/6457698

生活保護―最低限の文化生活  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/10/07/6595661

第76題 在日の犯罪と生活保護  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuurokudai

コメント

_ 三河屋彦衛門 ― 2013/06/16 22:15

国民国家において、国民の権利保護は、国家の役割です。韓国政府は在日韓国人の権利を保護する義務がありますが、日本政府が在日韓国人の権利を保護する義務はありません。だから「準用」なのです(日本政府の善意による適用であって、日本政府の判断で停止もできます)。
 
また生活保護法(昭和25年=1950年全面改正)ですよね? 1952年のサンフランシスコ講和条約発効により日本が国家主権を回復し、同時に日本領土の最終画定に伴う朝鮮の独立を承認しました。これにともない、旧植民地出身者は名実共に日本国籍を失いました(ちなみに当時、韓国朝鮮人の側からも、併合による日本国籍の保持に興味は無く、これらの日本国籍喪失措置に異議を唱えませんでした)。生活保護法改正の時点では日本国籍だったので適用され、1952年条約発行により日本国籍を喪失したから適用されないだけのことです。
 
>1965年の日韓条約によって在日韓国人の生活保護について、日本は「妥当な考慮を払う」義務が生じました。在日の生活保護に法的根拠ができたのです。
 
日韓条約ではなく、在日韓国人の法的地位協定の第四条ですよね? 生活保護と国民健康保険については、「第一条の規定に従い日本で永住することを許可されている大韓民国国民」とあります。この第一条は、要するに「協定永住者」の1・2世が対象だってことです(1945年8月15日以前からから申請の時まで引き続き日本国に居住している者。他はこれに付随する条件)。妥当な考慮の対象は、協定永住者の1・2世というわけですね。
 
3世以降の永住資格は、協定永住制度ではなく、1991年の永住資格制度によるものなので、対象外と考えるのが筋ではないでしょうか? 辻本さんもこの協定を根拠にしている以上は、いわゆるニューカマーの在日韓国人は100%対象外であるのは承知しているはずです。またオールドカマーであっても3世以降は、対象外ではないかということです。

_ 名無し ― 2013/06/17 03:48

在日コリアンは日本に生活基盤を持ち、納税もしていますから権利として生活保護はあるんじゃないでしょうかね。

_ 辻本 ― 2013/06/17 04:09

〉日韓条約ではなく、在日韓国人の法的地位協定の第四条ですよね?

 正確に言うと「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」の付随協定です。

〉生活保護法改正の時点では日本国籍だったので適用され、1952年条約発行により日本国籍を喪失したから適用されないだけのことです。

 生活保護法では対象者は「日本国民」とあります。これは日本戸籍を有する者となるでしょう。在日は日本戸籍を有しませんので、1950年時点ですでに「日本国民」ではなく、対象にはならなかったと思われます。従って「準用」となったと思われます。

〉3世以降の永住資格は、協定永住制度ではなく、1991年の永住資格制度によるものなので、対象外と考えるのが筋ではないでしょうか?

 これは韓国側の立場から言うと、そうなる可能性はあります。日本側からの立場から言うと、かつて大日本帝国臣民であった者がそのまま日本に在留し続けている外国人は、すべて同様に取り扱わねばならないということです。

_ 三河屋彦衛門 ― 2013/06/23 23:30

>日本側からの立場から言うと、かつて大日本帝国臣民であった者がそのまま日本に在留し続けている外国人は、すべて同様に取り扱わねばならないということです。
 
これは、在日1・2世について、特別永住者となっても、生活保護の対象にするということでいいのでしょうか? つまり3世以降については対象外でいいのでしょうか? それなら私と同じ立場です。
 
それとも子孫を含むということで、3世以降も対象にするということなのでしょうか? これだと私の立場とは異なります。韓国政府との協定では、1・2世までとしたからです(受給の権利ではなく、日本政府が配慮するということですね)。3世以降に特別永住資格を付与したからといって、生活保護まで対象とするわけではありません(日本の善意で給付するのはOKです。受給の権利はないということです)。そもそも民主主義国家には、自国民の保護の義務はありますが、他国民の保護の義務はありません。

_ 辻本 ― 2013/06/24 02:48

 ご質問に関しては、拙稿にある通りです。よくお読みください。

_ @東亜 ― 2013/11/04 19:30

そもそも外国人に生活保護を支給すること自体異常なことです。
「妥当な考慮」が支給を意味するわけではないし、そもそも外国人に支給する理由がありません。隣国なんですから、帰国すればいいだけの話なんです。

というか、在日に対する支給額をその人の国籍国に請求するのが筋ではないでしょうか。
だって、外国人の人権を保障するのは日本ではなく国籍国の義務なんですから。

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