日本語と韓国語の微妙な違い2019/05/19

 5月16日付けの朝日新聞に、日本語と韓国語の微妙な違いについて解説する記事がありました。 日本人が韓国のニュースなどを読む時、逆に韓国人が日本のニュースなどを読む時、この違いを知らなければ誤解を産みやすいことは従来から指摘されてきました。 このことを改めて指摘してくれるタイムリーな記事だと思います。  https://digital.asahi.com/articles/DA3S14016858.html?_requesturl=articles%2FDA3S14016858.html&rm=150

 この記事のなかで、「人間」という言葉を取り上げて説明している部分を引用、紹介します。 「人間」は日本語では「にんげん」、韓国語では「인간(インガン)」と読みます。

「日本の責任ある指導者が、自制のない言葉で非難を続けていることは非常に遺憾だ」。韓国外交省が2月22日夜、その2日前にあった河野太郎外相の国会発言について、猛烈な抗議を表明した。

外交省が問題視したのは、河野氏が、韓国の文喜相(ムンヒサン)国会議長による天皇謝罪発言に対して述べた「韓日議員連盟の会長まで務めた人間がこのようなことを言うのは、極めて深刻だ」という発言だった。

「本来、外交省が乗り出して抗議するほどの発言ではない」(日本の外務省関係者)ものの、韓国側は「人間」という言葉に強く反応していた。韓国語では、こうした文脈で使う「インガン(人間)」が、日本語の「輩(やから)」といった侮辱的な意味になるためだ。

韓国の主要紙「朝鮮日報」は実際の意味合いに近い「サラム(人)」と意訳していたが、多くの韓国メディアは「インガン(人間)」と報道。韓国世論が発言に猛反発していた。

 「人間」という言葉は、日本語と韓国語とではこれほどの違いがあるということです。 これは小学館『朝鮮語辞典』(1993)では、「인간(人間)」の項目で2番目に「人を軽蔑的に言う語」と説明されており、この朝日の記事を裏付けています。 

 そして朝日記事は、このような言葉の意味の違いが日韓両国の摩擦を大きくしていると言います。

日韓の外交関係が緊張するなか、ともに漢字文化圏に属することが摩擦の種を増やしている。同じ単語でも日本語と韓国語で意味が異なり、翻訳の仕方次第で国民感情を刺激することがあるためだ。相手への親近感にもつながる文化的な近さが、思わぬ落とし穴になっている。

 さらに日韓の両国民は、この違いを意識しなければならないと説きます。

日韓の文化的な近さは、相手国に対する親しみを感じる入り口になる一方、国民感情を刺激する火種になる危険性も含む。稲川准教授は「両国の人々が日本語と韓国語の微妙な違いを意識するだけでも、無用な葛藤を減らすことができるのでは」と話している。

 よく考えてみれば、こんな微妙な違いは両国の言葉をよく知ってこそ分かるものです。 逆に言葉を知らないとこの違いを意識できず、両国の摩擦・対立を深めているとも言えるでしょう。 

 相手国の言葉や文化を十分に熟知して、自国との違いを理解したうえで相手側に批判・苦言を呈するのが正道でしょう。 しかし韓国に関心がありながら韓国語を学ぼうとしない人たちが、あちこちでコメント投稿して韓国を論じています。 ちゃんと韓国語を勉強して投稿しましょうね。 こう言っても当人たちは自分が正義だと思い込んでいるので、「馬の耳に念仏」「カエルの面に小便」なだけでしょうが。

【拙稿参照】

韓国語のできない嫌韓派 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/03/28/9052386

韓国語が出来ずに韓国を論じる人たち http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/03/16/9047781

嫌韓派と韓流派         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/01/17/7540292

水野俊平『笑日韓論』 (続)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/09/20/7439097

漢字を廃止した韓国で「知的荒廃」?-呉善花(12) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/03/09/7240684