ウトロと韓国民団を放火した人物―有本匠吾(2)2022/04/28

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/04/25/9484690 の続きです。

自らについて「右派思想こそあれど、右翼関係者ではない」とした有本被告。人物像をより探るため、記者は西日本にある出身地を尋ね、彼を知る人物も何人か取材した。

返ってきたのは「右翼団体と付き合いがあったとか、そういう思想の発言をしたとかは、全然なかった」「まじめで勉強ができた。学校から帰れば家でじっとしているような、おとなしい子どもだった」「両親に愛されて、田舎で素直に育った。就職先で誰かに影響されてしまったのだろう」といった証言で、事件につながる重要な手がかりはつかめなかった。

 「まじめで勉強ができた」「両親に愛され、田舎で素直に育った」青年が、ネット情報にはまって在日や韓国に敵対心を抱き、放火事件を起こす‥‥。 ちょっと古くなりますが1960~70年代、大学に入ったとたんに投石と火炎瓶を投げる全共闘学生となったかつての若者たちを彷彿とさせます。 昔は先輩や学友からオルグされての変身でしたが、今はネットに接して変身となるようです。

手紙に書かれていた主張には事実誤認や論理の飛躍があり、にわかには理解しがたい。ウトロ地区を指して「不法占有地区を公に周知させる目的」とする一方的な見解も記述されていたが、先に示した通りそうした状態は土地を買い取ることなどによって解消している。日本人の大半が韓国人を迷惑視するというのも根拠がなく、参照した情報として示されているのは、「ネットの声」だけだ。また仮にこのような考えに至ったとしても、放火が許されるはずもない。

さらにこの手紙は一貫して在日コリアンを「韓国人」と書いている。在日コリアンの中には当然、現在の北朝鮮に当たる地域に出自のある人も数多く存在する。南北分断前の朝鮮半島というルーツを大切にし、韓国や日本の国籍を取らず「朝鮮籍」のまま日本で暮らす人々もいる。出入国管理庁によると、その数は21年6月時点で約2万7千人に上る。こうした存在を無視したような書きぶりからも、被告の在日コリアンに対する無理解がうかがえる。

 ここは記者の感想ですね。 有本に対し「事実誤認や論理の飛躍があり」「一方的見解」「根拠がない」「こうした存在を無視」「在日コリアンに対する無理解」と批判を書き連ねています。 正論なのですが、彼は自分こそが正しいと信じ込んでいますから、〝馬の耳に念仏″でしかありません。 だったらどうすればいいのか。 ここが悩みどころですね。 

 彼のような犯罪者を生んだ背景には、在日や韓国への嫌悪を繰り返し呼号する嫌韓派・ネットウヨがいます。 彼らには以前から「在特会」等でみるように犯罪性向があります。 今度の事件はそれが具体的に現れたと見るべきでしょう。 彼らを治安対象とすべき時期に来ているようです。 公安当局は、嫌韓派やネトウヨを監視してほしいですね。

手紙に反省の文言はなかった。事件のターゲットにされた側の人々をどれだけ不安に陥れたのかといったところまで考えを巡らせることは期待できないのだろうか。

 記事はこのように締めくくっています。 有本は自分を正義だと信じ込んでいるでしょうから、たとえ家族等から言われても聞く耳を持たなくなっている可能性があります。 従って期待できるものではないと考えます。

嫌韓派やネットウヨは、在日や韓国に対し「死ね!」「殺せ!」「ゴキブリ!」「帰れ!」「ウソつき!」とかのヘイトを繰り返し、犯罪を煽り立てる嫌韓偏執狂でしかありません。 彼らの中から「有本匠吾」という犯罪者が生まれたのでした。

来月に有本の初公判があるようです。 私が一番注目するのは、彼に同情し支援する人がどれほどの数になるか、というところですね。 ネットに匿名で応援する人は多いでしょうが、実際に裁判所まで足を運ぶ人はどうなんでしょうか。 犯罪性向のレイシストたちがどれほど集まるのか、注目したいと思います。 (終わり)

【拙稿参照】

ウトロと韓国民団を放火した人物―有本匠吾(1)  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/04/25/9484690

ヘイト投稿者への損害賠償請求訴訟 https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/11/28/9443703

なぜ嫌韓は高齢者に多いのか―毎日新聞 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/05/25/9076605

嫌韓を実践するおばあさん     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/04/14/9059752

韓国語のできない嫌韓派      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/03/28/9052386

韓国語が出来ずに韓国を論じる人たち http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/03/16/9047781

嫌韓派と韓流派          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/01/17/7540292

過激な言動は犯罪を生む       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/03/23/6755958

アクセス数の急減           http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/04/04/6768285

在特会の行方             http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/06/29/6881139

在特会を弁護する人たち        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/07/24/6917763

コメント

_ 海苔訓六 ― 2022/04/28 08:44

大越健介さんと井上あさひさんがアナウンサーを担当していた時代のNHKニュースウォッチ9で在日朝鮮人に対するヘイトスピーチを取材特集していた回が放映されていましたが(確か2015年くらいだったと思う)
その当時は井上あさひさんが『現在日本に居住している在日朝鮮人は約32万人』とコメントしていました。
何でそんなこと覚えているかというと1995年くらいに上梓された野村進『コリアン世界の旅』では現在日本に居住している在日朝鮮人は約60万人と書いてあったのを読んだので、
約20年間で三十万人も帰化したのか!と驚いたからです。
鄭大均さんが何かの著書で『在日朝鮮人は毎年一万人のペースで帰化している』と書いていたのですが、約20年間で三十万人も帰化しているとしたら年一万人どころじゃない、帰化のペースがはやまっているな、と。

その時、同時に疑問に思ったのが、ではその32万人の在日朝鮮人の内訳で朝鮮籍者はどれくらいいるのだろう?ということなんですが、今回のブログ記事読んで二万七千人くらいだと分かりました。
今現在2022年は2015年当時の32万人の在日朝鮮人も帰化して人数が減っていると思うので20万人くらいなのかな?と思いました。

_ 海苔訓六 ― 2022/04/28 09:00

韓国映画「哀しき獣」の冒頭で、舞台の中国自治区の延辺朝鮮族は現在約80万人と紹介されていましたが、
野村進さんのコリアン世界の旅では延辺朝鮮族は100万人と説明されていました。
日本の在日朝鮮人の帰化のペースがはやまってどんどん帰化している背景は北朝鮮の拉致問題の発覚やミサイル問題などで在日朝鮮人の肩身が狭くなっていることがあるかもしれませんが、同じくシナの朝鮮族も20年間くらいで20万人も減ってしまったのは韓国が経済発展したので出稼ぎに韓国に行ってそのまま定住することが原因のようです。
韓国のドキュメンタリー番組で、中国朝鮮族の歌手の特集をした番組をYouTubeで見たことがありますが、その歌手が初めてソウルを訪れた場面で、ソウルで仕事をしている母親が仁川空港で出迎えるという場面がありました。

余談ですが日本では嫌韓ネット右翼が在日朝鮮人を馬鹿にして差別するときに「チョン!」とか「チョンコウ!」という表現を使うことがありますけど、『哀しき獣』など朝鮮族が登場する韓国映画見ていると朝鮮人は朝鮮族のことを『ヨンピョン野郎!』とか「ヨンピョン乞食!」と呼んで馬鹿にしていましたね。

_ 辻本 ― 2022/04/28 13:30

>在日朝鮮人は約32万人
>在日朝鮮人は約60万人
>約20年間で三十万人も帰化
>毎年一万人のペースで帰化
>年一万人どころじゃない
>朝鮮籍者は‥‥二万七千人くらい

 何をもってどんな人を「在日朝鮮人」というのか。 その定義によって、人口数はかなりの違いがあります。
 特別永住者だけを指すのか、一般永住者を含めるのか、結婚・留学・就労等の資格者まで含めるのか。

 在日韓国・朝鮮人の人口統計、帰化者の統計等々は、法務省や民団などで発表されています。
 そのような信頼すべき機関から出ている資料を参考にしてください。

 一般書に出てくる数字は、これらの資料を調べた上で、正確か否かを検証してから引用してください。

_ 竹並 ― 2022/04/28 15:03

>【引用記事: さらにこの手紙は一貫して在日コリアンを「韓国人」と書いている。(途中省略…)こうした(朝鮮籍の)存在を無視したような書きぶりからも、被告の在日コリアンに対する無理解がうかがえる。】

前にも書きましたが(国際問題をあつかう)宮崎正弘=メルマガの常連投稿者の中にも「倭寇も後期となると、ほとんどは中国人か『韓国人』でした、云々」と(人文地理の用語なら「(朝鮮の住民=)朝鮮人」というべきところを)ごく自然に『韓国人』と書く人もいますよ。
まあ、(韓国式の)民族教育を受けた人なら or そういう民族教育の教育の影響下にある人なら、別に不思議なことではないと思いますよ。

むしろ、ご引用の記事(記述)には、日本人一般の「暗黙の前提(=錯覚)」を利用しようとする作為 or詐術を(僕は…)感じますね。

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