大坂なおみの国籍選択2019/02/20

 テニスで世界の頂点を極めた大坂なおみは現在日米の二重国籍だそうで、22歳になる今年の10月までに国籍選択をせねばならず、日米のどちらの国籍を選択するのか、これがちょっと話題になっているようです。

 彼女は日本で生まれ3歳まで日本で暮らし、その後アメリカに移住しました。 母親が日本人です。 日本に縁のある人、しかも日本国籍者ですから、私も応援したいものです。    ところで彼女の国籍については彼女の経歴からかなり推測できますが、日米両国における身分事項の公文書(戸籍等)がなければ確実なことは分かりません。 今のところ確からしいことは、日米の国籍法により二重国籍であることだけです。 

 彼女は日本人として国際大会に出場していますから、日本旅券の発給を受けて、これを使用しているものと思われます。 もう一つの米国の旅券が発給されているのか、そしてこの米国旅券を行使したことがあるのか、そこが分からないところです。

 つまり二重国籍でも日本旅券だけで行動しているのか、それとも両国の旅券を使い分けながら行動しているのか。 そこがポイントとなると思うのですが、それが不明なのです。

 なぜそれがポイントかというと、彼女が日本旅券だけで行動していたら、おそらく国籍選択する必要がないと思われるからです。 その理由を述べます。

 国籍の認定は各国の主権行為です。 ですから大坂が日本国籍を有しているかどうかの判定は日本政府だけが有する権限です。 しかしもう一つの国籍である米国籍について、その有無を判定する権限は日本政府にはありません。 それは米国政府だけがなし得る権限です。

 彼女が米国旅券も有していて日本国内でそれを行使(米国旅券で日本入国する等)したら、日本政府は彼女の米国籍を確認することになり、二重国籍と判明します。 しかし彼女が日本旅券だけを行使していたら、米国籍を有しているかどうか日本政府は確認できません。 なぜならその確認は上述のようにアメリカの権限であり、日本が出来るものでないからです。 

 つまり大坂の二重国籍は彼女が日本旅券だけを行使している限り、日本政府は彼女が二重国籍か否かの確認が出来ず、従って日本国籍法違反であるかどうか不明となります。 従って彼女がこれからも日本旅券のみを行使するのなら、日本政府は彼女に国籍選択を迫る法的根拠がないということになります。

 しかし先ほど申しましたように、もしも彼女が米国旅券の発給も受け、更にそれを日本国内で行使したとしたら、日本政府は彼女の二重国籍を確認することになりますから、国籍法に基づき国籍選択をしてどちらかの単一国籍にするよう要求する法的根拠を得ます。 それでも彼女がその要求に応じずに二重国籍のままでいると、その時こそ日本政府は彼女の日本国籍を剥奪できることが国籍法で定められています。

 ところで、そもそも二重国籍の選択に関しては本人の主体的な選択に任せるべきものであって、周囲がとやかく言うべきものではありません。 二重国籍者はどちらかの単一国籍者として国内で行動することで一貫していれば、何の問題もありません。 問題になるのは、ある時はこっちの国籍、別の時はあっちの国籍と自分に都合よく二つの国籍を使い分けることです。

 それは2年ほど前に話題になった蓮舫の二重国籍問題も同じことです。 蓮舫は、17歳の日本国籍取得後は日本単一国籍者としての行動(日本旅券のみを行使)をしていますので、本来は問題にする程のことではありませんでした。

 それに蓮舫の二重国籍といっても、もう一つは台湾籍でした。 日本は台湾を国家承認していませんから、台湾籍は国籍として取り扱うべきものではないでしょう。

 例えば日本人が台湾に自らの意志で帰化しても、台湾籍は日本にとって国籍ではありませんから国籍法第11条に基づく日本国籍喪失はないはずです。 また一方、私のところに来た相談事例では、成人になってから韓国籍を回復(日本では外国籍取得となります)した方が日本国籍を喪失していましたねえ。 日本は韓国を国家承認していますから、韓国籍は日本の法律上において国籍だからです。

 従って蓮舫は日台の二重国籍だとすること自体が困難だったのです。 本来騒ぎにしなくてもいいことを問題化して、大騒ぎになったということですね。 今でも蓮舫の二重国籍を云々する人がいるようですが、もういい加減にやめるべきでしょう。

 大坂なおみの話が、蓮舫の話になってしまいました。

【拙稿参照】

私の国籍研究史(1)  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/30/8630904

私の国籍研究史(2)  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/08/03/8638755

私の国籍研究史(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/08/07/8641528

私の国籍研究史(4) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/08/11/8644295

私の国籍研究史(5)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/08/15/8646853

私の国籍研究史(6)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/08/19/8650171

私の国籍研究史(7)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/08/23/8654056

私の国籍研究史(8)http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/08/27/8658841

国籍を考える―新井将敬 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/27/8628332

国籍を考える―アルベルト・フジモリ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/25/8626981

国籍を考える―小野田 紀美の場合 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/23/8625722

国籍を考える―ケンブリッジ飛鳥の場合  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/21/8624643

外国籍が輝いて見えた時代があった  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/19/8623371

蓮舫二重国籍問題のまとめ (再掲)  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/15/8620565

蓮舫二重国籍問題    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/14/8620041

蓮舫の二重国籍疑惑   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/09/09/8176022

蓮舫の過去の「国籍発言」 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/09/16/8190975

蓮舫は国籍選択宣言をしていないのでは? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/07/8216765

蓮舫はもともと二重国籍でなかったのでは?http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/16/8230218

二重国籍は複雑で難しい         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/20/8232627

私が二重国籍に関心を持った訳      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/28/8237467

二重国籍には様々な姿がある       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/29/8237969

蓮舫二重国籍問題のまとめ        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/11/03/8241041

二重国籍かどうか微妙な場合       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/11/13/8247093

コメント

_ 大森 ― 2019/02/21 00:58

台湾出身の金美齢氏は日本に帰化する際台湾籍の離脱を行ったと語っていますが日本政府の台湾籍の扱いは本当のところどうなんでしょうね
実質国籍扱いしてるような気もしますが

_ 辻本 ― 2019/02/21 03:43

日本政府は台湾籍を国籍として扱っていないでしょう。
蓮舫も台湾籍離脱をしましたが、その離脱届は受け付けられませんでした。

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/16/8230218

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