中国の大中華思想2017/01/05

 韓国のハンギョレ新聞(1月5日付け)に、訪中した韓国企業に対して、中国の陣海・外交部アジア局副局長の発言が載っています。

韓国外交部関係者は4日「陣副局長が昨年末、サムスン、ロッテなど大手企業の副会長などと面談し『THAAD配備の際には断交(外交関係断絶)に匹敵する処置を覚悟しなければならないだろう』と話した」と伝えた。 昨年7月、朴槿恵(パク・クネ)政権がTHAADの配備方針を発表してから、中国政府側が「断交」にまで言及したことははじめてだという。 外交部の別の関係者によると「陳副局長は、過去にも韓国企業の関係者らに(THAAD配備と関連して)『小国(韓国)が大国(中国)の言うことに耳を貸さない』とまで言ったと聞いている」と話した。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/26141.html

 韓国に対して断交をちらつかせ、小国(韓国)は大国(中国)の言うことを聞かねばならないという発言です。

 相手が韓国の政府ではなく、民間企業だから思わず本音が出たのでしょうねえ。 中国の国家中枢部では、韓国についてこの類の話が当然のごとく日常的に出ているのでしょう。

 発言には中国の古来からある中華思想(華夷思想=中国を文明の中心とし、周囲を夷狄として下位に見る)がそのまま出てきています。 韓国はこれに対してどう対応するのか、注目されます。

 ところで日本では、かつて「日中友好」のために中国に譲歩して中国の言うことを聞くという「大人の対応」で、結局は中国から見下される中華思想を受け入れていた時期がありました。

 韓国はどうなるのでしょうか。 韓国は小中華思想の国ですが中国の大中華思想と衝突するほどの元気はなさそうなので、「韓中友好」のためにTHAAD配備を延期するなど譲歩するかも知れません。 中国に物分りのいい国となって、結局は属国化していくような気がします。 憶測を重ねてはいけませんが‥‥。

【拙稿参照】

「東方礼儀の国」は屈辱的な言葉だった http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/11/22/7064872

古田博司 『醜いが、目をそらすな、隣国・韓国!』(3)  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/03/21/7250136

「韓」という国号について(2) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/05/14/7633517

中韓は子供と思って我慢-藤井裕久  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/12/27/7157809

実は韓・中を見下している「毎日新聞」社説  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/02/19/7226754

毎日新聞 「“強い国”こそが寛容に」 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/06/15/7344974

北朝鮮と小中華思想 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daigojuunanadai

韓国人の対日感情2017/01/12

 慰安婦少女像が釜山領事館前に建てられたことで、日韓が鋭く対立しています。 ニュースを見る限り、韓国人の対日感情はかなり悪化しているように思えます。このままでは日本人に対するテロが起きてもおかしくないような雰囲気です。

 ところが一方では韓国人の日本旅行者数は、このところ毎年過去最高を更新しています。 日本にわざわざ旅行に来るぐらいですから、対日感情は悪くありません。

 また韓国に旅行する日本人からの話を聞いても、悪口を直接ぶつけられたという人はおらず、「みなさん親切でしたよ」という話ばかりです。

 このごろは知りませんが昔韓国を訪問した人が、昼間の公式の席上で日本の悪口をさんざん言っていた韓国人が夜のレセプションではその人がニコニコしながら近寄り話かけてきたのでビックリした、「昼は反日、夜は親日」は本当だった、と言う人がいましたねえ。

 このような正反対の対日感情を同時に有するという、我々には理解しがたい韓国人の性向について、うまく解説してくれるものがありませんねえ。

 これは、在日韓国・朝鮮人活動家が日本をあれほど批判して悪口を声高に言いながら、日本から決して出て行こうとしない感情と共通しているのかも知れません。

【拙論参照】

世界で唯一日本を見下す韓国人      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/10/06/8216253

日本を見下す韓国(2)            http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/12/22/8285733 

「朝鮮人は朝鮮に帰れ」考          http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daijuunanadai

田原総一郎のビックリ主張「大人の対応」2017/01/14

 釜山の慰安婦少女像については、これまでのマスコミやインターネット上の議論等で、事実関係はほぼ言い尽くされています。

 1、少女像は日韓の合意に反するものであること

 2、外交に関するウィーン条約第22条の2にある「接受国は、‥‥ 使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。」に反するものであること

 この二点については、誰もが認めるところです。 なお、だからこそ日韓合意は無効だという主張がありますが、日本ではごく少数意見にとどまっています。

 ところで、この件に関して、田原総一郎さんが日経新聞紙上で「駐韓大使の一時帰国は失敗だ」と題するコラムを書いています。 その中で彼は、日本側が「大人の対応」をせよという主張をしています。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/011200003/?P=1

今回の一番大きな問題は、1月9日に長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事を一時帰国させたことだ。僕は、これは大問題だと思う。      2人を帰国させたのはいいけれども、何をきっかけにして韓国に帰任させるのか。そこが分からない。もし、帰任させられないままになってしまったら、これは重大事件になってしまう。   ‥‥‥   大使と総領事を一時帰国させるという外交カードはすでに切ってしまった。帰任のタイミングをどう判断するのか。日本政府には“大人”としての対応が迫られている。

 少女像問題に関しては、韓国側が約束や条約を守るという「大人の対応」をすれば解決は簡単だと思うのですが、田原さんは日本側が「大人の対応」をせよと主張しています。 彼の言う「大人の対応」とは一体何なのでしょうかねえ。

 もし「大人の対応」をするとしたら、駄々をこねる子供には叱りつけることしかないと思うのですが、田原さんの文章はどう読んでみても、日本が譲歩せよ、というビックリ主張にしか思えません。

 以前に、民主党政権時代の財務大臣だった藤井裕久さんは、新聞のインタビューで、日本は「中韓両国は子供だと思って我慢すればいいんです」とし「大人の対応」を求めました。

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/12/27/7157809

 韓国を子供扱いして、日本も同じように子供になってはいけない、大人になれ、という主張は、かなり昔からあるものです。 これは結局は日本側が一方的に譲歩して、韓国側が外交的勝利を勝ち取ってきたという経過になります。 そして韓国側は日本に対して、無理筋の要求でも日本側は譲歩するものだという意識を持ったと言えるでしょう。

【拙稿参照】

中韓は子供と思って我慢-藤井裕久    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/12/27/7157809

実は韓・中を見下している「毎日新聞」社説  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/02/19/7226754

毎日新聞 「“強い国”こそが寛容に」   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/06/15/7344974

「朝鮮語は禁止された」というビックリ投稿2017/01/15

 植民地時代の朝鮮では、朝鮮語は禁止されていなかったという歴史事実を否定しようとするコメント投稿がありました。 この世にこんな人がいるということで、参考になりました。 投稿は探し難いものなので、ここに掲示します。

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/11/02/6621470

>素直に「朝鮮語は認められていた」「朝鮮語の禁止はなかった」と書けばいいものなのにねえ。 >「朝鮮語の使用禁止」はなかった事は初歩的な知識となっているのに、

↓これ、なーんだ? 植民地朝鮮の同化政策(途中)  http://blog.livedoor.jp/ekesete1/archives/46679624.html           ★植民地統治時代に朝鮮語が禁止された証拠   http://ameblo.jp/nidanosuke/entry-11507049214.html

管理人さんやこのサイトのコメント欄の人たちは韓国を批判しつつも在特会みたいな日本の極右連中のことも批判して「自分は右翼じゃない」アピールしてますけど、せめて上の記事のnidanosukeさんみたいに事実は事実として認めましょうよ。      さもないと結局のところは管理人さんやこのサイトのコメント欄の人たちも自分が右翼の変種だって自白してるも同然ですよ?

そもそもアイヌ語や沖縄の諸語が現在消滅寸前になってるって時点で日本が朝鮮語だけは保護していたと考えるのは不自然。     一体どういう動機があって日本は朝鮮語だけは保護してアイヌ語や沖縄の諸語は禁止したっていうんでしょうね?

八丈語? 世界2500言語、消滅危機 日本は8語対象、方言も独立言語 ユネスコ http://www.asahi.com/shimbun/nie/kiji/kiji/20090302.html UNESCO Atlas of the World's Languages in Danger  http://www.unesco.org/languages-atlas/

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/11/02/6621470

 拙ブロク論考の表題は、『図録 植民地朝鮮を生きる 韓国・民族問題研究所所蔵資料から』という本からのものです。 その本には軍国主義真っ盛りの時期を扱った「第3章 総動員体制下の朝鮮人の生活」で、朝鮮人を「総動員」するために朝鮮語で書かれた資料が多数掲載されています。

 投稿者は朝鮮語が禁止されているとしているのに、資料では権力側が朝鮮語で総動員政策を啓蒙・推進したことになります。 これを矛盾と考えない人がいるということに、ビックリした次第。

 当時の朝鮮では公用語が日本語でしたから、公の場所では日本語のみになります。 学校や役所、裁判等々、当然すべて日本語です。 朝鮮語は排除されます。

 しかし一歩その場所から離れて日常の生活の場では、朝鮮人は朝鮮語を使っていました。 また権力はそれを禁止しませんでした。 朝鮮内では郵便局からハングル電報を送れたし、ラジオの第二放送からは朝鮮語の歌やパンソリが流れていました。そんな時代でしたから、戦争政策を朝鮮人に理解させようと朝鮮語で作成した啓蒙資料があるのです。

 これについては 拙論では  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/06/11/6476173  で論じたことがあります。

学校で朝鮮語を禁止した理由2017/01/20

 公用語や標準語が母語でない場合、公用語・標準語を教える最も効率的というか最善の方法は、母語の使用を禁止することです。

 例えば、外国語を勉強するには日本語禁止の場所で暮らすのが最も近道です。 外国語学科のある大学では、研究室や教室内では日本語を禁止している話はよく聞きます。

 日本の各地にある朝鮮学校も、生徒たちは一旦校門を出れば日本語ばかりを使うのですが、学校内では日本語禁止です。 

 植民地時代の朝鮮では日本語が公用語でした。 それは戸籍や登記簿、許認可、役所(学校や警察等を含む)に届ける各種書類、役所からの通知、朝鮮人が経営する民間会社でも社内書類や帳簿、契約等々、すべて日本語です。 裁判でもすべて日本語を使い、日本語を知らない朝鮮人は通訳を雇っていました。 だから朝鮮人が日本語を知らないことは大きなハンディだったのです。 逆に日本語を知っていて、書類が読める朝鮮人は重宝されました。 出世も早くなります。

 当時の朝鮮で、学校の教師たちが朝鮮人の子供たちに必死に日本語を教えようとした理由が分かります。 これは、今の日本では来日したばかりの外国人の子供に日本語を教える姿と変わらないでしょう。

 これを考えると、植民地時代の朝鮮の学校で、朝鮮人の子供たちに公用語である日本語を教えようとして、母語である朝鮮語を禁止したというのは、それほど悪いというものではありません。

 しかし朝鮮人の親たちは、日本語を教える学校に子供を行かせたのが半分もいなかったのです。 朝鮮人には教育の義務がなかったのですから、学校に行かなくてもよかった時代です。 特に女の子の場合、女は家で家事と育児をやるだけでいいのだから学校に行かせる必要はないとして、90%の女子児童は学校に行きませんでした。

 在日一世の女性(今は80歳代以上です)のほとんどの方が、日本語の読み書きが出来ないのは、こういった理由があります。

【拙稿参照】

日本統治下朝鮮における教育論の矛盾   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/02/01/1156247

植民地下の朝鮮で実施された選挙     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/01/03/7530641

『現代韓国を学ぶ』(6)       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/06/11/6476173

朝鮮語を勉強していた大正天皇      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2011/09/24/6111974

常軌を逸した判決―対馬仏像盗難事件2017/01/26

 韓国の裁判所が、対馬で盗難された仏像について、所有権が韓国の浮石寺にあるという非常識な判決を下しました。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170126-00000096-mai-int

 四年前の、盗んだ仏像は元に返さなくていいという非常識な判決に続くものです。 非常識が非常識を呼び、さらに暴走しています。 これを個人ではなく、法と正義を守るはずの裁判所がやることなのですかねえ。 こうなると、韓国の司法は、もはや常軌を逸しているとしか言い様がありません。

 韓国では、このような日本人の感情を逆撫でする事態が次々と起きています。 嫌韓の勢いがさらに加速することでしょう。

【拙稿参照】

韓国の非常識判決ー対馬の盗難仏像 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/02/27/6732313

非常識がさらに非常識を呼ぶ―対馬仏像盗難事件 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/03/12/6744868

尹東柱記事の間違い(聯合ニュース)2017/01/29

 今年は韓国を代表すると言われる詩人・尹東柱の生誕100周年で、各地で行事が行われるようです。日本でも尹のゆかりの地である同志社大学で記念行事が開かれるという記事が、韓国の聯合ニュースで出ました。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2017/01/26/0400000000AJP20170126003900882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国で国民的な人気を誇る詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ、1917~45年)の生誕100年を記念する行事が来月11日、尹東柱が朝鮮半島から日本に留学した際に在学していた同志社大の今出川キャンパス(京都市)で開かれる。          行事は「映像でたどる尹東柱の100年」と銘打たれ、韓国・ソウルの尹東柱文学館が作製した映像を研究者の解説付きで鑑賞する。27歳で夭折(ようせつ)した詩人の繊細かつ生き生きとした詩や、その生きざまなどが紹介される。          当日は午後1時半から同キャンパス内にある尹東柱の詩碑の前で献花式が行われた後、記念行事が行われる。            尹東柱は同志社大に在学中、ハングルで詩をつくったとして治安維持法違反の疑いで逮捕され、45年2月16日に福岡刑務所で獄死した。

 この記事の中で、最後の一節にある 「ハングルで詩をつくったとして治安維持法違反の疑いで逮捕され」 という部分は間違いです。 彼の逮捕理由は朝鮮の独立を画策したというものであって、ハングルで詩を書いたことが理由になっていません。 

 このような間違いは、韓国だけでなく日本のマスコミも犯しています。

 尹東柱については以前に拙稿で論じておりますので、ご参照ください。

尹東柱記事の間違い(産経新聞)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/02/09/7568265

尹東柱記事の間違い(毎日新聞)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/02/15/7572811

『言葉のなかの日韓関係』(2)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/04/09/6772455

『言葉のなかの日韓関係』(3)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/04/11/6774088

『言葉のなかの日韓関係』(4)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/04/13/6775685

尹東柱は中国朝鮮族か韓国人か http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/21/8075000

水野・文『在日朝鮮人』(11)―尹東柱  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/06/26/8118773