金時鐘さんは本名をなぜ語らないのか?2019/07/02

 金時鐘さんは在日問題等でかなり鋭い指摘をしてこられた方で、私もこれまで大いに参考にさせてもらってきました。 しかし彼の本名が「金時鐘」なのか「林大造」なのか、彼自身が曖昧にしてきたことに違和感を抱き、彼の主張が色褪せて見えてきました。

 彼は「金時鐘」という名前を親からもらい、その名前で1949年まで朝鮮で生活し、学校に通われました。 そして済州島4・3事件によって官憲から逃れるために日本に密航し、その際に不法に入手した外国人登録証の名義である「林大造」を得て、そのまま日本に現在まで生きてこられました。     2003年に韓国の戸籍に登録(今は家族関係登録簿)した際、親から得た「金時鐘」名ではなく、日本で不法に得た「林大造」名で韓国籍を取得されました。 従って彼の法律上の正式の名前は日本でも韓国でも「林大造」であり、「金時鐘」は仮の名前あるいはペンネームということになります。

 彼ほどの有名人で、しかも在日や朝鮮問題で各界からしょっちゅう意見を乞われるような方が、このことについて何も言及しないことは果たしていかがなものか、と疑問を抱きます。

 毎日新聞によると、彼の業績を称賛するシンポジウムが最近あったようですが、やはりご自分の本名について何も言っていません。  https://mainichi.jp/articles/20190701/dde/014/040/007000c

 韓国の文在寅大統領がG20で来日した際に開いた在日同胞との集いに、金時鐘さんは出席されたそうです。 その時に「金時鐘」という名前だったのか、「林大造」の名前だったのか、大いに気になるところです。

 私が金時鐘さんに期待していたのは、名前なんてどうでもいいことだ、外国人登録や戸籍といった法律なんかに束縛されないぞ、という法治主義に挑戦する言葉でした。 そんな信念もなく、ただ惰性というか行きがかりで得た名前を続けてこられたことに、大きな違和感を抱いています。

【拙稿参照】

毎日の余録に出た金時鐘さん http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/08/27/8950717

本名は「金時鐘」か「林大造」か http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/08/23/8948031

金時鐘『朝鮮と日本に生きる』への疑問 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/07/28/7718112

金時鐘さんの法的身分(続)     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/08/13/7732281

金時鐘さんの法的身分(続々)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/08/26/7750143

金時鐘さんの法的身分(4)    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/08/31/7762951

金時鐘さんの出生地        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/07/05/7700647

金時鐘『「在日」を生きる』への疑問 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/03/01/8796038

済州島4・3事件の赤色テロ(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/10/8890890

済州島4・3事件の赤色テロ(5)―右翼家族へのテロ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/07/05/8909472

済州島4・3事件の赤色テロ(6)―評価は公平に http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/07/10/8912907

経済制裁は有効でない2019/07/05

 昨日から発動した「韓国 輸出規制」について、経済制裁と誤解する人いるようです。 日韓のマスコミなどが徴用工問題等に対する報復だなんて書いていますから、そう考えても無理はないのかも知れません。 韓国はきっと困ってしまって、すぐにでも日本にひれ伏すだろうなんて言う人もいましたねえ。 韓国に対してザマー見ろと溜飲を下げているだけで、韓国の反日とレベルが変わらないと思います。 

   ところで経済制裁であったとしても、今の世界では有効なものではありません。 思い起こせば、冷戦時代はアメリカを始めとして西側諸国は対共産圏に経済制裁を課しましたが、果たして有効だったと言えるかどうか。 キューバや北朝鮮には今も厳しい経済制裁を課していますが、変化はありません。 また中国はTHAAD問題で韓国対して不買運動を展開しましたが、韓国はアメリカを慮って結局は中国の思いのままになりませんでした。 

 世界史を紐解けば、経済制裁によって実際に政策と体制が平和的に覆ったのは、南アフリカぐらいです。 南アフリカのアパルヘイト(人種差別)政策は国際社会からの経済制裁に耐えかねて放棄され、ついには黒人政権が誕生するまでになりました。 これは経済制裁が有効になった極めて珍しい例です。

 今回の「韓国 輸出規制」は、徴用工・慰安婦などの問題とは関係なく、また経済制裁でもなく、軍事に関係することがあり得る物資の輸出について韓国への特別措置を取り消して一般の貿易関係に戻すだけだ、という本来の主張を繰り返すしかありません。 

 しかしおそらく韓国は報復による経済制裁ととらえて、日本は貿易の自由の原則に反していると世界に訴えるでしょう。 世界が日本に味方するか、韓国に味方するか分かりませんが、日本の政府高官や政治家などが徴用工問題などを口にすれば、韓国側に有利となる可能性が高くなると考えます。

 日本では日韓関係は重要な問題ですが、世界では日韓関係なんて悪くなろうがどうなろうが、あまり関心がありません。 日韓関係が悪くなって困るのは米軍ぐらいですから、そこが注目するぐらいでしょう。 世界は日本に味方してくれるはず、なんて思わない方がいいです。

 ちょっとまとまらない文章になりましたね。

【拙稿参照】

韓国では日本の存在感はない    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/02/17/8789342

日韓関係はどうなる?       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/02/25/9040406

李洛淵首相のツイッター発言―天皇は指導者 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/05/01/9066727

韓国が天皇訪韓を望む!?-朝日インタビュー http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/09/23/8681910

慰安婦合意の検証         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/12/31/8758841

韓国の反日外交の定番       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/01/22/7546410

慰安婦問題の日韓合意は混乱を呼ぶか http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/01/02/7968787

児童虐待の暴言「橋の下で拾ってきた子」は日韓共通だが‥2019/07/09

 まだ小学校にも行っていない幼い子に対し、親が「お前は橋の下で拾ってきた子だ」と言うのは風習と言っていいのか分かりませんが、よく聞く話です。武内徹『お前はうちの子ではない 橋の下から拾って来た子だ』(星和書店 1999年11月)によれば、昔から最近に至るまで全国的に広く分布し、男性の35%、女性の60%が親から言われた経験があります。 そんなことを言わなかった親も多数いますが、言ってしまった親も多く、内容は共通して「橋の下」が大半だということです。 また男性よりも女性にその経験が多いのですが、その理由がどうも分からないようです。

 言われた子供は大きな衝撃を受けるので、多くの場合忘れることができず、何十年経っても思い出します。 幼児の記憶は断片的であやふやな場合がほとんどですが、親からのこの言葉だけは鮮明に残っているものです。 親たちは何故こんな酷いことを言うのか、いろいろ説明(言い訳)があります。 一つは「躾け」であり、もう一つは「冗談・からかい」です。

 親からこれを言われると、子供は衝撃のあまりシュンとなってしばらくおとなしくなります。 親からしたら、子供をおとなしくさせるための効果的な言葉ですし、子供は親の言うことを聞くものだと教えようとしたかも知れません。 だから「躾けだ!」と言い張ることになります。

 冗談で言ったとしても、幼い子供には冗談というものが理解できませんし、一番に愛してくれているはずの親から発言ですから、衝撃のあまり号泣してしまいます。 それが面白いのか、近くの橋の名前を出して「あそこの橋の下の河原で見つけたんだぞ」と更にからかって追い打ちをかける親もいます。 親にとっては何かのストレス解消なのでしょうか。

 これは言葉の暴力であって、児童虐待と言ってもいいと思うのですが、問題化しませんねえ。 ところでこれは日本だけのことだと思っていたら、韓国でも全く同じ言い方があることを最近知りました。

 「넌, 다리 밑에서 주워온 아이야!」。 訳すと「お前は橋の下で拾ってきた子だ!」ですから、全く同じです。 親や祖父母が言うようで、子供はショックで泣きます。 そして本当の母親を探して家出をしたりしますが、幼子の家出ですから橋や近所を回って結局は家に帰ることになるようです。 このあたりまでは日韓共通と言えます。

 ところで韓国語では「橋」を「다리(タリ)」というのですが、これにはもう一つ「足」という意味もあります。 もう少し詳しく言いますと、「다리」は腰から下の足の意で、足首から先は「발」です。 漢字では「脚」と「足」の違いですね。 従って「다리 밑에서」は、「橋の下で」という意味と「足(脚)の下で」という二つの意味があります。 「股下・股ぐら」の意味にもなりますね。

 だから「다리는 다린데, 엄마 다리 밑에서 주웠단 말이야!」、つまり「タリはタリでも、お母ちゃんのタリ(足・股)の下で拾ったということだ!」と言い換えられて、「だからお母ちゃんの本当の子という意味なんだよ」と、フォローが可能なのです。 だからなのでしょうか、韓国では日本の場合のような衝撃は小さいように感じられます。

 この言い方が日本と韓国にあることは分かりましたが、世界中にあるのかどうか? インドではガンジス川から拾ってきた、或いはアフリカではサハラ砂漠で拾ってきたというのがあるようです。 ただしこれは‘桃太郎’伝説や‘かぐや姫’伝説のように、「子供は授かりもの」という考え方であるかも知れません。 ヨーロッパでの‘コウノトリが運んできた’伝説も同じでしょう。 こうならば「お前はうちの本当の子ではない」と言われても、衝撃は少ないと考えられます。

 やはり「橋の下で拾ってきた」は「橋の下」に薄汚いイメージがあって真実味もあるせいか、衝撃は非常に大きいと言えます。 韓国では上述のように言い換えて衝撃を和らげることが出来ますが、日本ではそれがありません。 そういう意味で、日本独特の残酷な児童虐待の暴言と言えるのではないかと思います。

 この言葉がその後の成長過程でどのような影響を与えるのかは、よく分かっていないようです。 しかし大人になって、うちの親は昔そんな馬鹿な冗談を言っていたと笑って振り返るような人でも、その時に親が喋った一字一句やその表情まで鮮明に記憶しているものなので、トラウマになっているのは確実でしょう。 ただしトラウマの度合いが個々人で違いがあるように思われます。

 なお本稿は日本では「橋の下」という暴言の衝撃が大きく、韓国では衝撃が小さいということだけです。

 ところで「橋の下」ではありませんが、自分の子供に対する暴言は韓国でも負けず劣らず激しいものがあります。 男尊女卑の厳しいお国柄ですから、特に女の子に対する暴言は甚だしいと思えます。 一例を挙げますと ‘너가 배 속에 있었을 때 딸인 줄 알았으면 지웠을텐데’(お前がお腹にいる時に娘だと分かっていたら堕ろしていたのに)というのがあります。 韓国では出生前診断で「女」と判定されると中絶する場合がよくあります。 特に1980~90年代、今でも第三子でかなり多いようです。 ですから親からのこの暴言は実に真実味があります。

特別永住者数の推移2019/07/16

 在日の特別永住者の数が30万人を切ったと言う人がいて、へー!! もうそんなに減っているのかと思って、久しぶりに調べてみました。

 出入国在留管理庁の統計によりますと、2017年末の韓国籍の特別永住者は29万5826人、朝鮮籍の特別永住者は3万243人で、計32万6069人です。 だから30万人を切ったというのは、韓国籍に限っての数字でした。 ついでに、ここ10年間の特別永住者の数を調べました。 

  特別永住者数(韓国・朝鮮籍)の推移

   2008年   416,309

   2009年   405,571 (10,703減)

   2010年   395,234 (10,337減)

   2011年   385,232 (10,002減)

   2012年   377,351 (7,881減)

   2013年   369,249 (8,102減)

   2014年   354,503 (14,746減)

   2015年   344,744 (9,759減)

   2016年   335,163 (9,581減)

   2017年   326,069 (9,094減)

 昨年(2018年)末の数字は、まだ出ていないようです。 見ての通り、特別永住者数は毎年9,000~1万人程が減っています。 この調子では、33年後の2050年には0になります。 特別永住制度ができたのは平成3年(1991年)でしたが、それまでに法務省の坂中英徳さんでしたか、2050年までに在日は消滅するだろうと見通しを立てていました。 その見通しが、ずばり大当たりしているということになります。

 減少の原因ははっきりしています。 帰化により日本国籍取得者が増えていること、および日本人との婚姻が90%で、その子供のほとんどは日本国籍となって特別永住資格を受け継がないことです。

 在日韓国・朝鮮人のなかに、「自分は日本人でも韓国人でもない、在日だ」なんて言う人がいます。 自分のアイデンティティを主観的にどう考えるかは自由ですが、「在日」を客観的に証明するものは特別永住資格しかありません。 その資格者が消滅しつつあるのです。 そのうちに、自分は日本人だが気持ちは在日だ、とか言う人が出てくるのですかねえ。 

【拙稿参照】

特別永住の経過             http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/08/25/1750381

特別永住制度の変更は非現実的      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/09/01/1762857

在日の法的問題は解決済み        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/09/08/1781500

米国籍などの特別永住者         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/09/15/1798285

在日の特別永住制度           http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/06/14/6864389

トルコ国籍の特別永住者?!―毎日新聞 ― http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/10/27/7870629

『現代韓国を学ぶ』(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/06/08/6472916

これまでの在日とその将来について(仮説) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/05/01/348943

ニューカマーが特別永住者?!―毎日新聞2019/07/21

 7月20日付の毎日新聞に「参院選2019 外国人願う、共生社会実現 日本在住、最多266万人」と題する記事に、ビックリ内容がありました。 https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190720/ddm/041/010/130000c?pid=14509

同中(松戸自主夜間中学)事務局長の高永子(コウヨンジャ)さんは、胡さんらの姿に自分を重ねる。高さんは30年前、20代で韓国から来日した。韓国籍のまま日本で子育てもし、仕事にも打ち込んできたが、特別永住者のため選挙権はない。高さんは「選挙の時だけは外国人だと実感させられる」と話す。

 高さんは「30年前、20代で韓国から来日した」とありますから、いわゆるニューカマーです。 その人が「特別永住者」だとされていたので、ビックリ仰天しました。

 特別永住者は平成3年5月10日法律第71号の「特例法」に、「平和条約国籍離脱者およびその子孫」と定められています。 分かりやすくいえば、戦前から日本に在住してきた旧植民地(朝鮮・台湾)出身者とその子孫という意味です。 そういう人に限り「特別永住」という資格を有することができます。

 つまり本来は、戦後来日した韓国人が取得できる資格ではないのです。 しかし毎日のこの記事をどう読んでも、30年前に来日した韓国人のニューカマーが今、特別永住資格で暮らしていることになります。 こういうことがあり得るのか? あり得るとしたらどういう場合か? ちょっとした頭の体操です。

 まず考えられるのが、親が特別永住(当時は協定永住か126-2-6など)の韓国人で、時々家族と一緒に韓国に帰っていた場合です。 「時々」とは、特別永住資格は1年以上(今は5年以上)日本を離れるとその資格が喪失するからで、1年以内に日本と韓国を行き来する必要があります。

 極端に言えば、1年のうちの数日を日本の家で暮らし、他の3百何十日間は韓国で暮らしていれば、一応特別永住資格は維持されます。 こうなると子供ならば、日本人意識よりも韓国人意識を持つかも知れません。 しかし日本での永住資格を有していますから、韓国での住民登録はできません。 こんな人が20代になって日本にやって来て、今度こそ本格的に日本でずっと生活し続けてきた‥‥ これならば、本人はニューカマーの気持ちだが実際は特別永住者ということになります。

 頭の体操で考えていくとこうなるのですが、どうなんでしょう。 やはり毎日の記事にある「30年前、20代で韓国から来日した特別永住者」は、あり得ない話ですねえ。 おそらくは、この記事を書いた記者は特別永住について知識がなく、いい加減な記事を書いてしまったものと推測します。

 ところで世には特別永住については、誤解が多いですねえ。 いつでしたか、特別永住のトルコ人という新聞記事が出てビックリしたことがありました。 また米国や英国などの外国籍の特別永住者がいることについて、それはあり得ないと反論してきた方がいました。 特別永住の無知にこれまたビックリしました。

 少なくとも報道機関は仕事でやっているのですから、正確な知識を身につけてほしいものです。

【拙稿参照】

トルコ国籍の特別永住者?!―毎日新聞 ― http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/10/27/7870629

米国籍などの特別永住者         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/09/15/1798285

特別永住の経過             http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/08/25/1750381

特別永住制度の変更は非現実的      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/09/01/1762857

在日の法的問題は解決済み        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/09/08/1781500

在日の特別永住制度           http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/06/14/6864389